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そこに自由はあるのか③

脳は命令する?
 
よく、心はどこにあるのかと問われて、胸(つまり、心臓?)を指したり、頭を指したりするというシーンを見かけるが、心を含め、心的働きは脳が司っていると一般に考えられている。例えば、「右手を上げなさい」という信号(命令)を脳が出し、神経を介してその信号を受けた右手が上がる。ということになっているが、果たして万事がそうなのだろうか?
 
私は仕事中、無性に口寂しくなり、間食をよくする。ピーナツ入りのあられ(○の種など)なんかは典型的で、食べ出すと止まらなくなる。昼食も済ませ、お腹は全く減っていないというのにボリボリガリガリ止まらない。しょっぱいのを食べた後は、甘いものも食べたくなり、チョコレートを食べ出す。するとこれも止まらなくなる。もちろん一緒にお茶やコーヒーなんかも飲む。
 
かくして夕飯の間際まで間食を続け、夕飯はアルコールの力を借りないと食べられなくなる。そうでもしないと、全然食欲が湧かないのだ。
 
これは一体どうしたことだろうか。お腹は減っていない。これ以上食べるべきではないと十分自覚している。しかし、仕事に没頭している最中にも、ピーナツをぼりぼり食べている自分を想像する自分がいる。私は立ち上がり、菓子袋を取りにキッチンに行く。だが最初は用心して小皿に少量だけ。でもそれを食べ終わると、また取りに行く。今度は袋ごと。
 
自分の意志では、食べるべきではないと思っているのに、脳が意志に反した行動を命令しているのだろうか?まあ、「意志が弱い!」と言われればそれまでですが・・・。
 
だが、この後私は、身体から手痛い反撃を食らうことになる。欲求のままに菓子をむさぼっていたある日、突然腹痛がし、下痢が始まる。それからというもの、間食はもちろん、主食を食べることもままならなくなってしまった。食べ物を身体が受け付けないのだ。これを口にすれば、必ずやあの激痛が襲ってくる。そう思うと、食べることが怖くなる。それからしばらくはお粥を辛うじて口にするだけだった。
 
欲求のままに過剰な食物を身体に取り込ませた結果、身体は、私に腹痛という罰を与え、生存に最低限必要な粥以外、食べられないようにしたのか。或いは、胃腸という一器官が、脳という一器官にNoを突き付けた、器官同士の確執か。このとき、私を支配しているのは、脳なのか、はたまた身体(の別の器官)なのか、という疑問が生じたのであった。ところで、あのー、私の意志はどこ行っちゃったんでしょうね(;^_^)
 
脳が命令して身体を動かすという説に対しては別の疑問もある。それは、睡眠である。私は、週に1回くらい眠れない日がある。昼寝をし過ぎて眠れないならわかるのだが、仕事が忙しくて昼寝をしそこない、床に就くまで眠くて眠くて仕方ない夜、さあ寝るぞと電気を消した途端、頭が俄然冴えてきて、眠れないのだ。
 
何も考えないようにしようと努めるのだが、あれやこれやの心配事や、明日やるべきことなどが次々と浮かんできてしまう。そうするとますます眠れなくなる。ああもう眠らなきゃ、明日やること一杯あるのに、寝よう、寝ようと焦るが、一向に眠れない。眠れないと頭痛もひどくなっていく。
 
これも、私は不思議でしょうがない。脳は身体に「眠れ」と命令する信号を送っているはずなのだ。この場合、私の意志とも完全に合致している。それなのに、何度「眠れ」の信号を送っても眠らない、この身体はどうなっているのだろうか?眠らないことで、頭痛はひどくなるし、明日は有効に使えないしで、身体にとっても何もいいことはないはずなのに。
 
それに睡眠に関してはもう一つ疑問に思っていることがある。それは、眠りを自覚できないことである。私は常々、眠りに入る瞬間を捉えようと試みているのだが、捉えたためしがない。いつの間にか眠っているのだ。そしていつの間にか(大抵アラームの力を借りて)目覚める。この点も制御不可能だ。
 
やっぱり脳が身体を支配しているのではないらしい。
 
だが、よくよく考えてみると、脳だってタンパク質から成る物質なのだ。物質って考えたり、命令を下したりできるんだっけ? 思考する上で、脳は重要な役割を担っているかもしれないが、脳自体は考えないんじゃないかな。そうすると、一体誰が考えているのでしょう?
 
つづく・・・

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