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私はこうやって組織設計を選びました(意匠設計の会社選び・上編)

今日も投稿を頑張ります。

意匠設計で就職活動をしている学生は、結局何を基準にして会社を選べばいいか、自分の経験を振り返ることをメインに書いていきます。

○ 就活までの経緯

私は一度二流大学の建築学科に入りました。3年間勉強したあと、事情と衝動でその大学を中退しました。スキ放題やりたいことやっているうちに、やっぱり建築をやり直したいと、もう一度大学受験の勉強をし、最初より少しいい大学の建築学科に入り直しました。

中退してフリーの頃は、知人の設計事務所で1年間弱働いていました。

組織設計事務所ピラミッドの底にいるポジションで、ひたずら図面を引いたりモデリングしたりした一年間でした。事実上CAD製図工なので、プライド的にせつなく感じるところがありました。(くだらないプライドだと自覚してますが、なかなか抜け出せないのは人間かもしれません。製図工やCADオペレーターはもちろん立派な仕事だと思ってます)

そんな私は色々回り道をして、もう一度建築学科に入り直すと決心しました。そこからもう一度大学受験勉強し、そこそこの名門大学で6年間そこそこ頑張ってきました。設計課題は時々講評に上がる、設計演習は年度3位をとる、卒業式で優秀卒業論文賞で表彰に上がる、でも卒業設計やコンペは負けてました。中途半端の出来の割には、経歴からくる自分へのプレッシャーやくだらないプライドが重荷になっていました。

かれこれ10年以上建築を勉強して、たくさん回り道をして、結局設計事務所に入って製図工になるのか、と自分への問いかけはずっとありました(いまだに)。

前置きが長くなってしまいました。

そんなわけで、建築設計は好きだけど、もっと広い視野で自分の適性を考えようと、ゼネコン、組織、アトリエだけでなく、ハウスメーカー、ディスプレイ、インテリアと関連分野の企業にもたくさん足を運びました。

○ アトリエ

名門大学出て有名建築家のアトリエに入って、激安の給料で毎日終電か徹夜泊まり込みの日々を過ごし、3〜5年修行して独立するという、いわゆるオーソドックスな建築家コース。

それは王道だと学部2年ぐらいまで信じていました。そしていくつかの有名建築家アトリエで様々な形で働いてみました。

東京都最低賃金の時給を出すところはまだ結構ホワイトでした。担当者のこだわりで8時間かけて模型の木を一本作っただけの日もありました。時給で計算すると絶対添景屋さんに頼んだほうがいいと思ったりして。

3ヶ月のインターンシップが終わったあと、時給500円で呼び戻されました。インターンは無給なので、案外500円でも自分の価値が認められたと思い込んで嬉しかったりして、つい頑張ってしまったことも。

オープンデスクという名のタダ働きが当たり前という空気にやられて、結果2日しか行かなかったところもありました(もちろん交通費すら出ない)。

夢と情熱だけで成り立っているシステム。

確か世界中の建築学生が名高い建築家のもとに集まってくるけど、それは仕事に対して対価を払わない理由にはならないと思ってますし、払わないのが当たり前の雰囲気が私には向いてなかったのでした。

学内では学部3年生の夏休みに有名アトリエでアルバイトしたら、そのまま大学退学して働き始めた人もいました。かっこいいなと羨ましかったです。私は子供を養う責任があって、もう自由勝手に生きるのはできなくなりました。

○ ゼネコン

アトリエの次に志望したのは大手ゼネコンでした。

各社ゼネコンの就活イベントに参加したり、OB訪問でポートフォリオを見てもらったりしました。

大きいプロジェクトに携われるし、厚生福利も安定して残業代も出ます。OBの方もみんな熱心に作品を見てくれるし、建築好きが伝わって好感度が高い。

しかしそこで、私は情報弱者として弾かれました。私は歴史研究室に所属していて、大手ゼネコンの意匠設計ポストは事前にコネのある意匠設計研究室にだけ情報を回していました。11月の時点で学内選考で内々定がほとんど決まってました。

就活イベントはほとんど企業宣伝のパフォーマンスになっているのではないか!

信頼している研究室にだけ情報を流し、一般の学生はエントリーシートを出すことすらできません。一万人以上の巨大会社組織は怖いと心から思いました。そして戦ってもないのにもう負けていることを悔しく思っていました。

とりあえず準大手や中堅ゼネコンもいくつ回ってみました。いいなと思う会社も複数ありました。特に中堅ゼネコンに誠実さがあって高感度高かった。しかし、ゼネコンはやっぱり施工が売上を支えているので、設計がどうしても二の次になってしまうところが、私の中でかなり引っかかっていました。大手から妥協して中堅で、また設計も妥協しなければいけないと考えると、モチベーションが上がりません。

夢はあるけど生活が厳しいアトリエ、福利厚生がいいけど設計の地位が低いゼネコン、私にはどちらも違いました。

大手ゼネコンの学内コンペで一位を取った同級生が近くにいました。彼はその内々定を蹴ってアトリエに行きました。みんなアトリエやめてゼネコンや組織に行くのはおかしいと言ってました。普通に羨ましいと思っていましたし、多少妬みもありました。でも私はどちらも行けない状況にありました。

○ ハウスメーカー

住宅にはずっと興味がありました。建築を志す人なら住宅はほとんど原点のようなものではないでしょうか。お客さんと直接話し合いながら設計を考え、また現場を通いながら出来上がる過程見る。このサイクルが短いスパンで回せるのは、私にとって大きな魅力でした。

2つタイプの違うハウスメーカーを選んで行ってみたがほとんど場違いでした。

一つは定番の大手、4人の集団面接で私だけ院生でした。学生生活について聞かれて、そのまま学校でやった課題や自分の問題意識からゼミ活動の概要を一通り説明したが、他の3人は建築のけの字もでない、部活とサークルの話でした。その時、なぜかほかの3人にすごく迷惑をかけた気持ちになりまして、その後の選考を辞退しました。

もう一つはベンチャーで実力主義の会社で、ブラックを覚悟した上で臨みました。職場体験と名付けた簡単な設計ごっこがあって、先輩社員がお客さん役で、就活生がその場で要望を聞きエスキス案を作るという内容でした。またまた4人グループで。そして参加した他の3名が、驚くぐらい絵が描けないのでした。私は大していいエスキスを描いてないけど、大げさに褒められました。挙句の果てに、その後の面接で、「2回も建築学科で勉強して大学院まで行って設計もできて、なんでうちに?」と人事があきれた顔を見て、またまた迷惑をかけてしまったと気まずくなりました。もちろん選考は落ちていました。

お客さんと対話しながら住宅を作るのが楽しそうですが、ハウスメーカーも私には違いました。

○ ディスプレイ、インテリア

ソフトなところで直接空間体験を作れるので、ディスプレイやインテリアも視野に入れて、ゼネコンの子会社から独立系まで一通り回りました。

しかしみんな揃いも揃って、うちはサブで建築屋さんが偉い的な言い方が、担当者の口から溢れる。そして説明会の流れが極めて事務的で、話している担当者も楽しそうに見えなかった。

私のセレクトにも偏りがあったかもしれないが、ディスプレイでもインテリアでも、もっと高いプライドをもって就活イベントで広報してほしかったと、少しがっかりしました。

ディスプレイやインテリアも違いました。

○ 組織設計

設計はしっかりやりたい。福利厚生もしっかりしてほしい。子供の面倒もしっかりみてライフワークバランスをうまく取りたい。

たくさん見てきた中で、だんだん組織設計が私に一番合ってると分かってきました。

そこまで輪を広げてたくさんの企業を見てきたわけで、組織設計と決めた以上、今度は売上上位30社全部洗い出しました。行けるところは全部行って、エントリーシート出せるところは全部出しました。なぜなら、そもそもエントリーシートを出す資格がないところも結構ありました。

年齢制限でした。2回目の建築学科なので、理論上は新卒とは言え、年齢的には20代後半に差し掛かっていました。大手ほど年齢制限を設けるのが多いのでした。またまた大手ゼネコンの状況と同じで、戦わずに負けていました。2回目大学受験も、年齢制限のせいで一番行きたい大学に挑戦する資格すらなかった。悔しいけど、どうにもならない。年齢で可能性を殺してしまうような会社なら、私には合わないのだと諦めがついて、応募資格のあるところ、出せるところは全部出すことにしました。

結果。いいなと思ってるけど書類選考すら通らなかった会社2社あって、だめだと思ってるけど練習台として受け続けた会社も3社あって、あと十数社は内定さえ貰えば行くつもりでした。

「どこでもいいから、引っかかてくれれば」と切に思っていました。

毎日作品シートの調整、エントリーシートの作成、ポートフォリオのブラッシュアップ、お礼や挨拶のメール、朝一最寄りの郵便局や深夜12時に消印を押してくれる郵便局に駆けつけたり、そのあとは来る日も来る日も即日設計と面接。「どこでもいいから、引っかかてくれれば」だったのが、気づいたら「これ以上受け続けたら辞退が苦痛すぎる」となりました。

3個目の内定は、自分で分析して一番適性の高い会社でした。その時、進行中はまだ10社ほどあった時期でした。もらった3社の内定はそれぞれすでに人事の方やOBOGの方にたくさんのお世話になっていました。辞退するのは非常に罪悪感がありました。面接の時はどこでも第一志望ですと言い張った罪悪感もありました。

翌日、進行中の企業一旦すべて辞退し、さらに2日ほど迷いました。何しろ内定手続の期限がもう迫ってきていました。最終的に、今の会社に入りました。

そろそろ12時ですので投稿します。
切りの悪いところですみません。

組織設計選びの詳細、また今度。


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