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SBG 15 作り笑いでもいいからスマイルしよう!

♬いつでもスマイルしようねー
 とんでもないことが起きても
 さあ...(途中省略)
 ...こどもじゃないならねー

                                                       *「スマイル」作詞:渡辺慎 作曲:渡辺慎

ホフディランが歌い、森七菜が歌い、炭酸飲料のテレビCMにも使われたこの歌の歌詞とメロディーが頭から離れません。CMの効果、恐るべし!

 このスマイルすることがストレスの軽減につながるという実験結果*があります。以下のような3通りに箸を咥えさせて、ストレスの度合いの変化を観たものです。
①笑顔になるくわえ方
②口角だけがあがるくわえ方
③笑顔にならないくわえ方
最も簡潔に結論を言うと、①のくわえ方、実験として無理矢理笑顔を作らされているわけですが、であってもストレスは軽減されたということです。また、その笑顔を見た相手のストレスも軽減効果があったということでした。このことから、たとえ作り笑いであっても笑顔でいることは自分をポジティブな方向へと導き、ストレスを軽減できる可能性を示しました。*Tara L Kraft, Sarah D. Pressman, Grin and bear it: the influence of manipulated facial expression on the stress response

 また、ペンホールディン グ法*というよく似た研究もあります。ペンホールディング法とは,ペンを咥えることによって参加者に笑顔を作っているという意識や認識を生じさせることなく笑顔を作る方法です。ペンを上下の前歯でかむようにして咥えることで笑顔に似 た表情を作る条件と、ペンを唇で咥えることで笑顔とは異なる表情を作る条件を設定し、風刺漫画の面白さ評定を比較しました。その結果,笑顔条件において風刺漫画の面白さ評定が高かったのでした。この結果から、本人は笑顔を作っているという意識がなくとも、その笑顔が心身に影響が及ぼす可能性が考えられます。(* Strack, Martin & Stepper, 1988)

 自己のストレス軽減以外のもう一つの笑顔が生む効用は、コミュニケーションにおいてです。自分が笑顔で相手と接すると、当然相手の警戒心の緩和であったり、初対面であっても相手が話しやすい状況づくりに貢献するということに有効です。これは人類が進化の上で獲得してきたことによります。 

 脊椎動物の魚類の鰓(エラ)の名残から、表情筋へと繋がるもので、犬もこの筋肉を持っていますが、猿や人には及びません。ヒトはこれらを最も発達させて、より複雑なコミュニケーションを取ります。

 わたし達が「笑顔」に惹かれるのには、最も大切な進化に基づいたものなのです。笑顔って、いいですよね。そして、その効用は相手に対してだけではなく、たとえその笑顔が作り笑いであっても、笑顔でいることが物事に対するポジティブな発想を刺激して内面の姿勢、すなわち心構えにも良い変化を与えうるということです。最初はできる限り笑顔を作るということから始めてみましょう。

ここがサスティナブル!
「笑う門には福来る」と言い聞かせて、笑顔を続ければ、内面性にも影響を与え、内面が変われば、年齢を重ねても内なる「カワイイ」を保ち続けれる。


コラム

笑顔にも二通りある
脳科学者の中野信子氏は著書「ペルソナ」(講談社現代新書)の中で、ボトムアップ型とトップダウン型の2種類の笑顔について触れています。前者は、思わずわらってしまうもので、後者は、社会的な場面に合わせて、儀礼的に表面上作られたもの、意志による命令として作られたものと分類しています。そして、日本人の笑顔は後者の笑いが多いとし、欧米人なら絶対に浮かべないであろう「笑って誤魔化す」に例えられる緊張緩和作用を持った笑みを戦略的に使っているのだと指摘します。
 強いプレッシャー下で、深刻な顔を作らず、別のペルソナを仮に作り出し、心理的ダメージを最小限にとどめようとするのです。日本人にとって笑顔は単なる感情表現にとどまらず、社会性を形成する要素で、日本社会で生きていく為のスキルの一つとなっているのです。
 無理に笑顔を作り続けているうちに、笑顔の仮面を外すことができなくなり、ストレスの症状を出す*人もいます。(*夏目誠「スマイル仮面症候群」)
 
中野氏は、(以下原文引用)
脳が作り出した笑いの仮面を使いこなして、巧みに世間を渡りきることができるさまを、日本人は「美しい」という。美しさを取るのか、ただ思うままに振舞う爽快さに身を委ねるのか、多様な生存戦略の絡み合うさまそのもの」(以下中途省略、引用終わり)とし、趣深いと述べています。
 
 キミならどういう戦略を取って、これからの社会を生きていきますか。

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