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「イライラエンジニア」を「ニコニコエンジニア」にするコミュニケーション

「どうして、コイツはいつもエンジニアの気持ちを逆撫でするようなことばかり言うのだろう」
IT業界でエンジニアをしていた時代、私は営業や企画など他部署とのコミュニケーションにストレスを感じ、いつも憤慨していた。

エンジニアとそれ以外の職能との衝突は、IT業界ではよくある光景。
ふとした一言がエンジニアの逆鱗に触れ、それがきっかけでプロジェクトが破綻(または半壊)。
そんな経験がある方も、少なくないはず。
かくいう私のプロジェクトも人間関係が原因で2回崩壊した。

今回はそんな経験を活かして、エンジニアを「イラっとさせるNGワード」と、「オススメの言い方」を紹介したい。
エンジニアとのコミュニケーションにお悩みの方は、ぜひ参考にしてほしい。

NGワード1「いつまでにできる?」

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キレ具合★★★★☆
エンジニアが最も嫌う言葉のひとつ。
理由はシンプルに、「やってみないとわからない」から。
システム開発とは、往々にしてトライ&エラーの繰り返し。
他人が作ったクソコードの解析から着手しないといけないものもあれば、
並のプログラマが手を加えたら瓦解してしまうような繊細なコードまで、
振れ幅が大きい。

どこかの誰かがこねくり回したコードを目の前に、
影響範囲を調査しながら、システムに手を加える。
これ自体そもそもハードルがバカ高い。先が見えないこともある。
一方で「3日はかかるだろう」と見積もっていたものが、
意外と30分でできちゃったりすることもある。当然、逆もある。

つまり、やってみないとわからないので、
「いつまで」と無責任なことを生真面目なエンジニアは言い切れない。
無論、「今日中にできる?」なんて期限を切るのは間違いなく
反感を食らうので気を付けよう。

★オススメの言い方
「いつ頃できそうか、わかったら教えてね」
明確に期限を切らないことで、心に余裕を持たせてあげることを強く勧める。但し、無期限だと仕事は進まない。仕事とは納期が定められているものなので、なるはやのニュアンスをチラつかせ、缶コーヒーの1本でも持っていこう。

NGワード2「こんなイメージでお願いしたいんだけど」

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キレ具合★★★☆☆
他部署の人間が「こんなイメージで」と持ってきた図案は、
大体実現不能である。
話は聞く。でも実は聞いているフリをしている。
そして頭の中では「無理」「できる」「どう誤魔化すか」のどれかに分類している。

最も厄介なのは、目上の人間が「いいアイデアだろ?(ドヤァ)」と
自信満々にアイデアを披露してくること。
そこにはハリウッド映画のような壮大な世界観が描かれているが、
いざ実現可能な範囲で落とし込もうとすると、ジャパニーズショートコントが良い着地点。
それなりの予算と、スタッフ(人手)がなければハリウッド映画にはなり得ない。
それをひとりでやらせようとするのだから、たまらない。

★オススメの言い方
「こういうのやりたいんだけど、どうすればできると思う?」
課題が与えられたら解決したくなるのがエンジニアという生き物。きっとあらゆる手段を模索し、前向きに解決策を提示してくれるだろう。当然、理想に近いシステムをつくろうとすれば、相応の予算と人員を要求されるのは覚悟すべき。それでも理想論でなく建設的な話ができるのでこのコミュニケーションはオススメだ。

NGワード3「この修正、多分簡単だと思う」

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キレ具合★★★★☆
非エンジニアが何を基準に「簡単」と判断しているのか謎だ。
その自信はどこからくるのか。
詳しく話を聞くと、ブラウザ上の画面表示を一部変更したいとのこと。
しかし、該当の表示箇所は他のデータベースとも密接に連動しており、
簡単に変更できるようなものではない。
画面上ではただのテキストだから、文字修正のように簡単に直せるように見えてしまう気持ちもわかる。

「多分簡単だと思う」はマジで殺傷力が高い。
システムリテラシーが低い新人営業ほどコレを使ってくるから、尚更タチが悪い。
素人が「簡単だと思っているもの」を簡単にできないと、
「なんでできないの?(=技術力ないんじゃないの?)」と思われてしまう可能性をエンジニアは危惧する。
故に、半強制的に努力を“させられる”状況に追い込まれるわけだ。
まさにIT界の追い込み漁。

いざ苦労して直しても、「ほらね、簡単だったじゃん」という追い打ちに襲われる。
見た目はテキスト表示が変わっているようにしか見えないからね。
クッソォオオオ!!!!!!!!!!

★オススメの言い方
「この修正、多分難しいと思うんだけどできるかな?」
難しいんじゃない?と言われると、「やってやろうじゃん」と、やる気になるのがエンジニア。プライドの高さを逆手に取ろう。もちろん、ちゃんとできたときは感謝の言葉も忘れずに。

NGワード4「思ってたのと違うんだけど」

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キレ具合★★★★★
最高に喧嘩を売られている気分になる。
「う~ん。ここに検索ボタンがあると思ったんだけど」って、
仕様書に書いてないことを、さも当たり前かのように言われると頭がフットーしちゃう。
あくまでエンジニアは仕様書に基づいてつくっているので、
余計な機能を勝手につけたりしない。というか、つけちゃいけない。

「仕様書にはなかったけど、AIとかでできると思った」とか平気で言ってくるから恐ろしい。
“AIとか”ってなんだよ!

★オススメの言い方
「うん、いい。凄くいい。ありがとう。“まずは”これで確認するね」
成果物に対する評価と、感謝の気持ちをまずは伝えよう。そして、“まずは”問題なく仕様通りに作られているか確認しよう。なんか物足りなくね?と思ってもツッコんだり要求してはいけない。エンジニアの気持ちを逆撫でし、間違いなく「仕様書になかったですから」と返ってくる。“まずは”成果物を確認し、必要な機能が本当に仕様書に盛り込まれているかを判断。そして、追加の見積もりで対応可能か、追って相談していこう。

最後に

非エンジニアに、エンジニアの気持ちを100%理解するのは難しい。
でも、相手を思いやる気持ちとちょっとばかりの配慮があれば、きっと良い結果が出せるはず。
プロジェクトを成功に導くのは、“エンジニアの腕”だけではない。
周囲の理解と協力が必要不可欠なのだ。

【プロフィール】Game&Watch
新卒で入社したのはゲームやウェブサービスの会社。約3年勤め退職後はカメラマン兼ライターとして人材業界の広告代理店に入社。ITやガジェット、ゲームが大好き。パソコンはお友達。テクノロジーのトレンドや働く意味を常に考え続けている。

「ITやモノづくりの世界を身近に感じてもらいたい」そんな思いでこのnoteを始めました。書き手は全員転職経験者。実体験にもとづくエピソードや、転職に役立つかもしれない小ネタ、気になるニュースなどをざっくばらんに更新していきます。気に入っていただけたら、ぜひサポートをお願いします!