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六十話 ガパオライスとアクアパッツァ

翼さんの部屋に案内され、夕食を作ってもらっている私。
翼さんのエプロン姿と、ミニスカにドキドキしちゃう私。
翼さんは、パパッと料理を作り終えた。
翼さんが作ってくれたのは、ガパオライスとアクアパッツァ。
私は名前しか知らなかった、そのお洒落な料理に感動していた。
こんな凄い料理を、すぐ作ってしまう翼さんってすごい!
私はそんな翼さんに、羨望の眼差しを向けてしまうのだった…。

「さぁ、ノアちゃん召し上がれ♡」
満面の笑みで、翼さんが料理を勧めてくれる。
「い、いただきます…」
私はまだ少し緊張しながらも、いただくことにした。
まずガパオライスを食べた。うまい!
スパイシーな味付けのライスに刻んだパプリカが上手く混ざり合っている。
パプリカの自然な甘みが、ライスと合わさり、究極なハーモニーを奏でている。
そして、その上に乗っている半熟の卵焼きをスプーンで割る。
たちまちトロトロの黄身が溢れ出て、ガパオライスを覆ってしまった。
今度は黄金の黄身に包まれたガパオライスを、食べてみる。
スパイシーなガパオライスに、芳醇な旨味を蓄えた黄身の味が組み合わさる。
全く違う味に生まれ変わったガパオライスが、私の口の中で誕生した瞬間だった。
一品で、違う味が楽しめる翼さんのガパオライスだった。

「どう?美味しい?」
翼さんは私の向かいに座り、尋ねてきた。
「お、美味しいでしゅ!」
私は、あまりの美味しさに思わず噛んでしまった。
は、恥ずかしい…。
「うふふ、よかった。ノアちゃんやっぱり可愛くていい子ね…!」
翼さんは頬杖をつき、目を細めこちらを見ている。
もちろん翼さんの分の料理も、置かれている。
けれども、翼さんはそれにあまり口をつけず、こちらをずっと見ている。
私の食べている様子を、ずっと見ているのだ。
食べてるところを、凝視されてるとすごい恥ずかしい。
「ノアちゃん、口のところついてるわよ」
ふぇ?口に何かついてる!?
私は慌てて、手の甲で口元を拭った。
「あぁ、ダメよ、手で拭いちゃ…」
翼さんは、椅子から半立ちになり、ティッシュを取った。
そのティッシュで、私の口元を拭いてくれるようだ。

「うぅ、ちょっと届かないわ…」
そう言うと翼さんは、私の立ち上がり、私の後ろに立った。
翼さん?なんで私の後ろに、立ったんだ?
翼さんは、私の肩に手をつき、後ろから覗き込むように顔を突き出した。
そして、私の口元に翼さんの唇を合わせた。
そして、私の口元についていた黄身を舐めとってくれた。
「ノアちゃん取れたわよ…」
え?え?これってキスだよね?
好きな人と、キスしちゃった…!
やばい、やばいどうしよう!?

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