三百五十一話 やっぱり美味しい

「ごきげんよう」「神のご加護を…」

朝の清冽な空気の中、女子生徒の挨拶がこだまする…。

学校の校門をくぐると、そこは身も心も清らかな乙女の園…。

そう、ここは神田ミカエル女学院…。

中庭の大天使ミカエル像が、通う女子生徒たちを守護している…。

天界の大天使ミカエルは、ここに通う女子生徒たちを見て何を思うか…?

その御心は、まさに神のみぞ知るということなのだろう…。

ここに三年間通えば、お淑やかなお嬢様になって卒業できるという…。

制服は翻さないように、静かに歩き…。

清廉潔白で文部両道、それでいて純粋無垢な心を持った乙女たち…。

この学院には、そういった生徒しか存在しないのです…。

否、今日から新たに校門をくぐった、たった一人の生徒を除いて。


私は寮に住んでる花子さんの部屋にお呼ばれされた…。

しかし、花子さんの生命エネルギーは低下しており。

私は花子さんを助ける決意をした…。

しかし、私は花子さんを助ける液体を飲ませたが…。

花子さんの半透明な身体が、透明になっていって…。

透明な身体の端々が、光の粒子になっていった…。

花子さんは私と過ごした時間が楽しかったという。

私もいつしか涙が溢れ出ていた…。

花子さんは、また会いましょうと言って消えつつある…。

そして、花子さんの身体は光の粒子になり虚空に消えていった…。


花子さんが消えてしまった…。

私は泣きながら途方に暮れてしまった…。

何分かそれとも何時間か…。

時間の経緯はわからないぐらい泣いたけど…。

私は何故か泣きながら花子さんの作った唐揚げを…。

リュックに詰めたのである…。

花子さんがせっかく作ってくれた唐揚げ…。

ここに残しておくにはもったいない…。

そう思ったのかもしれない…。

あと、花子さんの制服も抱きしめて持って帰ろう…。

そう思った…。


私は泣きながら、グレモリーの家に帰ったのだが…。

なんと、そこには消えたはずの花子さんが…。

呑気にカップ麺を啜って、存在していたのである…。

どう言うことか、私は全く理解できなかったが…。

グレモリーの説明によると…。

花子さんの消えかけた魂をこの家に固定したという。

どうにかアストラル体をここに固定できて…。


というか、アストラル体ってなんなのだろう?

グレモリーが説明してくれたのだが…。

アストラル体とは神智学の体系の一つで…。

精神活動における感情を主に司る…。

身体の精妙なる部分のことで…。

主に情緒体、または感情体、感覚体、星辰体などという。

人間だと感情や欲望、発想、恐怖などを司るもので。

花子さんは特に感情や欲望が強く…。

花子さんの魂が消えようとしたその時…。

グレモリーは魔法でアストラル体だけを固定したという。

人間の身体はアストラル体をはじめとして…。

何層にも不思議な層が重なっており…。

他にもエーテル体とメンタル体と言う層があって。

本当はエーテル体を残そうと思ったのだけれど…。

魂が希薄すぎて無理だったという…。


花子さんがアストラル体になったというのは…。

なんとなくわかった…。

結局、花子さんは生と死の狭間にいるような状態?

でも、消えて無くならなくてよかった…。

私は、リュックに入れた唐揚げをお皿に出した…。

そして、電子レンジでチンをする…。

アツアツになった唐揚げ…。美味しそう…。

「この唐揚げ、花子さんが作ってくれたんだ」

私はみんなで食べようと食卓に唐揚げを出した…。

あとでリュックの中を除菌消臭の液体を吹きかけておいた。

これで綺麗になった…!ヨシ…!

ご飯はなかったので、カップ麺と唐揚げを食べた…。

ジューシーで脂身たっぷりの唐揚げ美味しい…。

みんなもうまい!うまい!うまい!と食べた…。

花子さんの唐揚げはとてもうまい…!

花子さんにそのことを言うと…。

すごく嬉しそうに微笑んでくれるのであった…。


花子さんはそれからはグレモリーの家からは出れないらしく。

学校の方では行方不明という扱いになった…。

花子さんは神出鬼没で…。

私が着替えていると、突然出てきたり…。

お風呂に入ってる時にも、突然出てきたり…。

突然、出てくるので勘弁して欲しい物である…。

考えても取り止めもないので…。

あまり考えるのをやめた…。

とりあえず、家では花子さんがいてくれるので…。

私は本当に良かったと思うのであった…。

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