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十四話

「明日の朝まで、そのままでいなさい!少しは頭を冷やす事も必要ですわよ」
姉は、亀甲縛りされた私を冷ややかに見つめながら言った。

「朝になれば精神病院の黄色い救急車が来ますわ。大人しく待っているように…」
黄色い救急車!?まさか現実にあったとは!?
キグルイを収容するためだけにある黄色い救急車。都市伝説だと思っていた。
姉は言い残すと、私の部屋を出て行った。

どうにかして、朝までに家を抜け出さないといけない。
そうしないと、精神病院にある矯正施設に入れられてしまう!
それだけは、どうしても避けないと!
私は芋虫のようにクネクネともがいた。
しかし、姉の言うように、もがけばもがくほど紐が食い込んでくる。
い、痛い!全身に紐が食い込んで痺れるような痛みが走った。
特に胸の周りに紐が、ギュッと私の未発達な胸を揉みしだくように食い込む。
食い込む事で、胸が盛り上がり、大きくなったような気がする。
一瞬嬉しくなったが、結構痛い。
服の上から縛られているが、どんどん紐が食い込んでくる…。

「痛い、紐が食い込んで痛い…。痛すぎるよぉ」
モゾモゾと動けば動くほど、紐は食い込んでくる…。
ダメだ、もがけばもがくほど身体に食い込んで痛くて動けない。
姉は勉強でも運動でも、そつなくこなす秀才だけれど…。
まさかの縄紐を縛るのも得意だとは…?
多分、一生姉には頭が上がらないのだろう…。
私は本当に姉が苦手だった…。

あまり頭の出来がよろしくない私と、秀才の姉…。
比べられるの嫌だけれど、何かと私のことを気にかけてくれるのが。
正直、うざいのである。それが姉の優しさだとわかっているのだけれど。
わかっている、わかっているんだけれど…。
私が思春期で、家族のそういう優しさが鬱陶しい年頃なんだろう。
お姉ちゃんすっごいいい人なんだけれどなぁ。
私が闇属性なら、姉は光属性なんだろう…。
私が夜中に闇ポエムを書いてる時、姉はずっと勉強をしている。
姉は多分夕食を食べたあと、ずっと勉強をしているのだ。
もしかしたら、ご飯の前もいつでも勉強しているのかもしれない。
なんで、そんなに勉強できるかわからない。
もともと頭のいい人がそんなに努力したら太刀打ちできない。

だから、私は冷酷な親と秀才な姉から離れるためにも…。
家出しないといけないのだ…。
身体に縄が食い込んで痛いけれど、頑張って窓の所まで動いた。
窓を開けて、そこから縛られたまま脱出しようと思っている。
二階から落ちてしまう形になるが、庭の土が柔らかいから平気だろう。
さすがにそのままだとアレなので、布団にくるまって落ちようと思う。
手も縛られているので、窓を開けることがまず苦難だろう。
けれども、私は家出することにドキドキしてしまい…。
苦難してでも、家出しようと決心するのであった…。

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