三百二十七話 ばれてる?

本文

「ごきげんよう」「神のご加護を…」

朝の清冽な空気の中、女子生徒の挨拶がこだまする…。

学校の校門をくぐると、そこは身も心も清らかな乙女の園…。

そう、ここは神田ミカエル女学院…。

中庭の大天使ミカエル像が、通う女子生徒たちを守護している…。

天界の大天使ミカエルは、ここに通う女子生徒たちを見て何を思うか…?

その御心は、まさに神のみぞ知るということなのだろう…。

ここに三年間通えば、お淑やかなお嬢様になって卒業できるという…。

制服は翻さないように、静かに歩き…。

清廉潔白で文部両道、それでいて純粋無垢な心を持った乙女たち…。

この学院には、そういった生徒しか存在しないのです…。

否、今日から新たに校門をくぐった、たった一人の生徒を除いて。


神田ミカエル女学院に通っている私だけれど…。

紆余曲折あって、二週間の謹慎になってしまった…。

謹慎だったのだけれど、友達の藍さんと原宿に行ってしまう。

家出した時のお洋服しかなかったんだもん…。

憧れの原宿で、憧れのゴスロリ服を買ってもらった私…。

かわいい白のブラウスに、漆黒のスカート…。

そして、漆黒のマントまで買ってもらった私…。

ズッ友の鈴木藍さんに買ってもらった…。

何かいいバイトしてお金返さないとかなぁ?

でも、このお洋服すごい気に入ってしまうのであった…。


そのあと、すぐに二週間経ってしまい…。

その間、家で勉強したりゴロゴロしてくつろいだりして…。

謹慎もなかなか暇だなぁと思っていたのだけれど…。

あっという間に二週間経ってしまって…。

登校する朝になってしまった…。

私は学校に行くのが結構嫌になってしまい…。

でも、前日に理事長先生から電話があり…。

ちゃんと登校しなさいという旨の電話だったのだ。

理事長先生からそう言われたら登校するしかない…。

しかも早く行って理事長先生の所に行かなければならない。

昨夜は珍しく早く寝れて、どうにか早く起きることができた。

私は今、学校指定の秋冬の制服に着替えている…。

黒いセーラー服で、結構お気に入りなのだけれど。

これから学校に登校だと思うと、憂鬱なのだ。


隣で寝ている藍さんを、優しく起こして…。

(なかなか起きなかったのである…)

やっと起きた藍さんも制服に着替えている…。

藍さんが黒いセーラー服着ると印象がだいぶ違う。

藍さんは金髪でギャル風な人なので…。

黒いセーラー服でも、似合っていた…。

「ノアっち、なに?そんなに見つめて…?」

藍さんのことを見ていることが、すぐにバレる…。

私はすっごい制服似合っているよと伝えた…。

ノアっちこそ、やばいぐらい似合ってるよ!

そう、藍さんが言ってくれた…。

少しは学校に行く憂鬱が晴れた気がする…。

とりあえず、2人は制服に着替えられた…。


そのあと、朝食を食べたわけだけど…。

早く学校に行かなければならないので…。

食パンにジャムを付けた簡単な物で済ました。

久しぶりの学校なので、教科書とか用意して…。

リュックに入れて、学校に行こうとする私…。

「藍さん!そろそろ学校に行こう」

私はまだ眠そうな藍さんの手を引いた…。

「グレモリー、行ってきます〜」

今、お世話になっている女悪魔のグレモリーに言う。

グレモリーの家を後にして、通学路を歩く…。

久しぶりに朝通学路を歩いたけれど…。

この辺りは学校が色々あって…。

いろんな学校の生徒が、ぞろぞろ歩いている。

うちの学校は女子校だし…。

他にも女子校や女子大もあるので…。

ほとんど歩いているのは若い女性ばかりだ…。

女子高生や、私服のお姉さんがいっぱいで…。

なかなか壮観である…。


今日はまだ早い時間に出たので…。

いつもよりは生徒が少ないのだろうけれど…。

部活やサークルに行く人なのだろうか?

なかなかの賑わいだった…。

グレモリーの家から学校まで数分なので。

すぐに学校、神田ミカエル女学院に着いてしまう。

私たちは昇降口で、上履きに履き替え…。

まず理事長室に向かった…。

「ノアっち、うちら理事長先生に怒られるのかな?」

藍さんが不安そうに言う…。

私は怒られることなど、想定していなかった…。

でも、謹慎処分だったわけだし…。

そのことで、怒られることもあるのかな?

今回の謹慎は、訳あって私から申し出たことだけど。

だから、大丈夫だよ、藍さんって笑って言った。

でも、私は内心結構不安になってしまうのだった。


程なくして、理事長室に着いた。

すごい重厚なドアがあり、それをノックする。

重厚すぎて、ノックした手が少し痛かった。

すぐにドアが開いて、どうぞという声がする。

私たちは失礼しますと言って中に入った…。

「おはようございます。真島さん鈴木さん」

理事長先生が立ち上がって挨拶をしてきた。

私たちも挨拶をして、立ちすくむしかなかった。

理事長先生の執務机はとても大きくて…。

その隣には大天使像が立っている…。

壁には有名な名画が飾ってあって…。

理事長室は、入るだけで緊張するのである。

「立ち話も何ですから、座りなさい…」

理事長先生がそう言うので、私たちは座った。

来客用であろう、革張りのソファーも豪勢だ。

理事長先生も自分の椅子に腰掛けた…。


「謹慎が明けて、登校した気分はどうですか?」

理事長先生がこちらに問いかける。

理事長先生は色白で年齢不詳な美人な方なのだが。

髪の色が光の加減で、青のような深緑にも見えて…。

肌の白さも人間離れしたぐらいの真っ白さ。

化粧とかでの白さではないのだろうけれど…。

対峙していると、すごい緊張してしまう…。

「久しぶりの登校で、緊張しています」

私は正直に答えた…。

藍さんは微かに頷いただけであった。

多分、私と同意見なのだろう…。

「謹慎の間、少し外出していたらしいけれど」

理事長先生がいきなりそんなことを言った…。

謹慎初日に原宿に行ったことがバレていたのか?

やっぱり藍さんの言う通り、怒られるのかな?

私は胃がキリキリ痛みだしてしまうのであった…。

よろしければサポートお願いします❗ たいへん励みになります。