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ダンスについて考える〜シンクロダンスって何が"揃ってる"の??

みなさん、こんにちは。ソノです♡
今回は、というか今回も、、、シンクロダンスについて少しだけ。

シンクロダンスとは言わば "そろっている" ダンス
複数人のダンサーがピタッと揃う瞬間は、
観る者に快感を与えます。

では、シンクロダンスの示す"揃っている"ってなんなんでしょう。
なにが"揃っている"んでしょう。

このテーマを書こうと思ったきっかけは、
アイリッシュダンスの動画を目にしたから。
スライド・ステップ・アイリッシュダンス・カンパニーの動画です。

アイリッシュダンスとは、足を踏み鳴らして踊るアイルランド発祥のダンスです。
映画タイタニックでもアイルランド人?役の俳優さんがタップダンスを披露していますね。
厳密にはタップとは異なり、上半身はほとんど動かさないのがアイリッシュダンスの特徴です。

スライドステップの動画では、男女数人(ものによりますが、6〜8人ぐらい?)のダンサーが足のステップと、よくそろった足音を披露しています。
私のイメージではアイリッシュダンスの衣装は広がったスカートでしたが、ここでは全身黒のタイトなパンツスタイルでした。

【画像】360 Entertainment YouTubeチャンネルより
『Slide Step iIrish Dance  Company』

等間隔のフォーメーションずれずに聞こえる足音がかっこいい〜〜!!

ここで、突然、
あるアイドルの動画を思い出しました。
まさに"シンクロダンス"を売りに掲げるTravis JapanのInstagramの動画です。
コメントには、たくさんのファンからの「足音が揃ってて気持ちいい〜、さすが!」の声。
足音って、シンクロダンスにおいてどのぐらいシンクロしているかを認識する重要なポイントなのかもしれません。 


いやいや、しかし、
シンクロダンスといえば、バレエのコールド(群舞)や、
ロケッツ、宝塚、ミュージカル映画によく見られる
ラインダンスのようなショーダンス
間違いなく "シンクロダンス" と言えるでしょう。


しかし、バレエなんかは間違っても足音は立てません
揃えようにも… 

バレエのコールドにおける"揃っている"はいわゆるフォーメーションタイミング
そして、最も大きくダンサーを支配するのは特有の「美的基準」です。
バレエダンサーには足の角度、体の向き、手の形に至るまでメソッドに基づく理想形が存在します。これらが踏み込みのタイミングやフォーメーションの基礎となっていると言っても過言ではありません。

足音を頼りにしなくても「美的基準」がそろっていさえすればシンクロは可能になるのです。
この基準が叩き込まれた肉体が、タイミングとフォーメーションを揃える。これがコールドバレエのシンクロです。

【画像】谷桃子バレエ団公式HPより
『ラ・バヤデール』


きっと、ショーダンスのラインダンサーにも同じことが起こっているのではないでしょうか
"揃っている"の実現には、フォーメーション、タイミング、そして「美的基準」(足の高さやステップの方法、手足の長さといったスタイルに関わっていると思います。)
この3つは必ず必要でしょう。

私は、ダンサーが職業になる理由、すごいと言われる理由に「特別な身体性を持っているから」ということが挙げれると思っています。
ですので、ダンサーの日々の訓練は、「美的基準を同じくするための訓練」でもあると思います。


聞こえてくる足音やステップに踏み出すタイミングは、観客の目や耳にわかりやすく伝わるポイントです。
フォーメーションも実際の舞台では特に、わかりやすく"揃っている"を感じられる箇所でしょう。
これらは誰の目でも確認できます。

しかし、注目すべきは
彼らがどのような美的基準を彼ら同士、彼女ら同士で共有しているのかということです
"すごい" シンクロダンスになれるか否かは、ここをいかに共有できているかにかかっているのではないでしょうか。


最後に、「美的基準の共有」がシンクロに関わるとお伝えしてきましたが、「美的基準の共有」という仕組みは時にダンスの発展に反するかもしれません。
この仕組みはジャンル間の壁を強くします。新たな動きの誕生を遅延させるかもしれません。画一性を強くしスターシステムを阻みます。

この記事は、"シンクロダンス"が良い悪いという話ではありません。
また「美的基準の共有」をすべきという話でもありません。ただ、肉体の表現の周りにはあらゆる仕組みが関わっているという話です。


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