2024年6月25日 広島市議会傍聴メモ(平和記念式典へのイスラエル招待に関する部分のみ)

広島市が訴える平和とは、なんなのか。核兵器廃絶を訴えてきた広島が、今現に世界で起きている、国家による市民の大量殺戮に対し、どういう行動を取るのか。8月6日に、広島の地に眠る声なき声になりかわって、生きているわたしたちが、戦争のなくならない世界に対してどんなメッセージを発するのか。色んな意味で、今年の原爆の日は、「平和都市」を自称してきた広島市にとって大きな曲がり角になるのではないでしょうか。

ロシアは招待しないのに、イスラエルを招待する理由はなぜか。それについて、今日6月25日の広島市議会本会議で一般質問で言及された場面があったので、以下、メモで共有します。なお、他の議員も含め多くの重要な施策についての質問や答弁がありましたが、いったん、このトピックに限ってテキスト起こしをしたものを共有します。

読んでいただいたらわかりますが、広島市側の答弁は、質問議員の問いに答える内容にはまったくと言っていいほど、なっていません。どう感じますか。

(それにしても市長与党の各議員は、広島市の今回の方針についてなんの疑問も抱かないのでしょうか。それがまた、とても不思議です)

大西オサム議員(日本共産党広島市議団):

最初に、広島市の平和行政に関連し、平和記念式典へのイスラエルの招待の問題について質問いたします。

昨年10月、イスラム組織ハマスによってイスラエルへの無差別攻撃が始まり、イスラエルはパレスチナ・ガザ地区への空爆を開始しました。病院や学校への攻撃も今なお、続いています。ガザ保健当局の発表によれば、戦闘開始後のガザ側死者は3万6000人を超え、うち7割は子どもと女性で、今月7日時点では、子どもの死者が1万5517人に上ったとされています。

こういったことに対し、世界の国々と市民からイスラエルはジェノサイドをやめよ、と厳しい非難と停戦を求める声が上がり、国連では繰り返し停戦を求める決議が提起されています。しかし、イスラエル政府は攻撃を継続すると表明しており、ガザ市民は今なおジェノサイドの危機に置かれています。

他方、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻は、一昨年2月以来、今なお続いており、双方の兵士だけでなく、ウクライナ市民の犠牲者も増え続けています。いずれも国連憲章にも国際法にも違反することです。日本には、国際紛争解決の手段としての戦争を永久に放棄した憲法を持つ国としての役割が、求められています。

そのような中、今年の広島市平和記念式典への他国に対する招待をめぐって、招待状をロシアには出さず、イスラエルには出す、という異なった対応に対し、市民からダブルスタンダード、二重基準ではないかと、そういう厳しい批判の声が上がっています。

市長は二重基準ではないとおっしゃいますが、違う判断になった根拠を説明できていません。二重基準は、被爆都市広島の訴えの力を損ない、世界からの信頼を失うことになります。

アメリカ・バイデン政権の二重基準の対応、すなわちロシアに対しては厳しく非難してG7各国を中心とした制裁を主導するが、イスラエルに対しては一貫して擁護し、軍事支援さえ行っていることは、世界を分断する結果にしかならず、かえってロシアを利する結果になるのではないかと思います。

ロシアもイスラエルも野蛮な戦争を継続し、子ども・女性をはじめとした犠牲者を増やし続け、市民生活の場を奪い続けています。ロシアとイスラエルが現に行っていることのどこに招待するしないの判断を分ける基準があるのでしょうか、お答えください。

広島市の二重基準の姿勢は、被爆都市広島の訴えの力を失わせ、8月6日に発する世界に向けての市長のメッセージを空疎なものにしてしまいます。そのような姿勢は避けるべきです。

平岡敬・元市長は、8月6日を核保有国も含むあらゆる国を広島に招待し、戦争を止めようと訴える日にして、戦争中の国にはなおさら来てもらい、78年あまり前の惨劇を思ってほしい。核のない世界を作ろう、戦争止めようという広島の思いを受け止めてもらいたいと発言をされています。日本共産党も同様に考えるが故に、市の招待についての方針の再検討を求めます。どうされるおつもりなのか、お答えください。

(中略・別のトピック)

村上慎一郎・市民局長:
広島市の平和記念式典へのイスラエルへの招待について2点のご質問にまとめてお答えします。

まず、ロシアもイスラエルも戦争を継続して犠牲者を増やし、市民生活の場を奪い続けているが、両国が行っていることのどこに招待するしないの判断を分ける基準があるのか、また戦争中の国も含めあらゆる国を招待し、広島の思いを受け止めてもらいたいと考えており、市の招待についての方針の再検討を求めるなどかについて、です。

平和記念式典への各国の代表者招待については、被爆者の「こんな思いを他の誰にもさせてはならない」という平和のメッセージに触れていただくことが、核兵器のない平和な世界の実現に繋がるという思いのもと、平成18年以降、紛争地域であるかないかに関わらず一貫して全ての駐日大使を始めとした各国の代表者を招待してきました。

一方で、本市は、原爆死没者の慰霊と世界恒久平和の実現を祈念するという式典の目的を達成するため、主催者として、安全安心かつ円滑に式典を挙行する責任を有しています。ロシアおよびベラルーシの招待に関しては、主にウクライナ侵攻や核兵器の使用、威嚇に関する同国関係者の発言等を考慮すると、円滑な式典の挙行に影響を及ぼす可能性があると判断したことから、令和4年以降、やむを得ず見送っているところであり、現時点でそうした対応を変更する状況にはないと考えています。また、両国に対しては紛争を一刻も早く平和裡に解決し、本市に来て、被爆の実相に触れていただきたいという思いを書簡にてお伝えしているところです。以上です。

(中略・別のトピック)

大西議員:
いくつか再質問をさせていただきます。最初に、広島市平和記念式典へのイスラエルへの招待について、やはりなぜダブルスタンダード二重基準なのか、違う判断になった根拠は何なのか、ということについてはよくわかりませんでした。

そこで再度お尋ねします。招待しないロシアとベラルーシを仮に招待した場合、どういう問題が起こるとお考えなのか。先ほどのお話では、式典の安全安心な挙行に影響を及ぼすであろう可能性というお話がありましたが、具体的にはどういうことなのか。また、イスラエルを招待した場合は同様の問題が生じないとお考えなのか、お答えいただければと思います。

市民局長:
先ほど平和記念式典へのイスラエルへの招待についての再質問にお答えします。

ロシアとベラルーシを仮に招待した場合、どういった問題が生じると考えているのか。またイスラエルについてはそういった問題は生じないのかについて、でございます。

まず先ほどもご答弁しましたけれども、平和記念式典の目的というのが、原爆死没者の慰霊と平和世界恒久平和の実現を記念するとこういった目的で開催しているものです。そうした中で、ロシアおよびベラルーシへの式典招待につきましては、令和4年から招待を見送っておりますけども、これまでの両国の言動、ウクライナ侵攻以降ですけども、ウクライナ侵攻の正当化ですとか、核兵器の使用・威嚇についての言動・発言が繰り返された、繰り返されてきたこと、そしてまた、あの、そうした発言をですね、大使館の関係者に指摘をしましても、それを否定されたと、そういったこともございまして、そういったことを考慮しまして、考慮しますと、式典、式典中はないとしましても、式典当日にですね、ウクライナ侵攻についての事実に反する主張をされる。されます。

そういったことによりまして、誤ったメッセージが世界に発信される可能性がある。そうしたことによって、式典の、式典におけるですね、先ほど申しました原爆死没者の慰霊と世界恒久平和の実現といった、そういった平和の発信、とりわけ核兵器の廃絶に向けた機運の醸成という、そういう本来の目的がですね、達成できなくなるという可能性があると考えたものです。

一方で、イスラエルを招待した場合にはこういった問題は生じないと考えております

なお、式典への招待につきましては、これも先ほどご答弁しましたけれども、紛争中であるないに関わらず、全ての国を対象とすることを基本としております。そうした中で、ロシアベラルーシ両国につきましては、先ほどの述べた理由によりまして、例外的に招待を見送っているものでありまして、同じく紛争中のイスラエルを招待する一方で、両国を招待しないというのは二重基準であるといったご指摘は、当たらないと考えております。以上です。


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