納得解を導く
教員から市役所職員に転職したときに、僕がつまずいたのは「世の中には『グレーゾーン』がある」ということです。
教員時代の僕は、社会科教諭だったにも関わらず、世の中のことを全く分かっていませんでした。
今振り返ると、学校の勉強って、基本的に「正解」か「不正解」のどちらかしかないので、仕事でも「白か黒か」しかないと思っていたのだと思います(もちろん、学校が悪いのではなく、僕の理解不足です)。
ところが、実際に転職して初めて「グレーゾーン」の存在を知り、「正解」だけが正しいのではなく、関係者間で調整し、みんなが納得する形(納得解)を目指すことも求められるということをようやく学びました。
「正解」の求め方は一つかもしれませんが、「納得解」の求め方は何通りもあると思います。
例えば、「ある商品を、上司から100円で売るように指示を受けたが、顧客は50円で売ってくれと言っている」という場合。
上司の指示だからと、無理矢理100円で売りつけると、二度とその顧客は商品を買ってくれなくなるかもしれません。
あるいは、50円で売ってしまうと、会社の業績は下がり、上司の評価も下がってしまうでしょう。
かといって、間を取って75円で売ったとしても、上司の指示も顧客のニーズもどちらも満たしていないことになります。
商売でたとえましたが、こういう「答えのない問題」が、公務員の世界でもたくさんあります。
むしろ、「答えのない問題」のほうが多いです。
例題のケースでは、「今回は100円で買ってもらう代わりに、継続購入してもらえれば割引する」とか、「50円で売る代わりに、別の商品も合わせて発注してもらう」といったように、お互いがwin-winになるような形(納得解)を探る必要があるでしょう。
僕が教員時代に、ここを理解できていたら、もっと違った授業ができたのかなと、少し後悔しています。
とはいえ、社会人になってから学んでもいいと思うので、これから先に出会う後輩たちに伝えていけたらいいなと思います。
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