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オススメ映画を紹介するよ! この辺りで城定秀夫監督作品を一旦まとめておくよ編

城定秀夫監督の評価は自分の中ではよくまとまっていません。例えば今泉力哉監督なら、こういう作品を撮る人ですよ、と人に薦められます。城定監督はピンク系映画から青春ストーリーまで、作品の幅が広すぎて、特徴も掴めていないのが実際です。「職人監督」とも言われる城定秀夫監督の作品について、ごそっと紹介します。気がつかないうちに見た映画が増えてしまいました。

恋のいばら

図書館に勤める富田桃は、自分を振った元恋人・湯川健太朗のSNSを見て、彼に真島莉子という新しい恋人がいることを知る。自分とは正反対の洗練された莉子に興味を抱いた桃は本人を特定し、ある理由から彼女に直接会いに行く。桃は莉子に、健太朗が撮った自分との秘密の写真データを取り返したいと話し、桃と莉子は秘密の共犯関係に陥っていく。

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個人的に桃役の松本穂香は、出演映画で幸せになる確率の低い人だと思っています。この作品でもハッピーエンドとは言い切れませんが、玉城ティナ演じる莉子とは良い関係を築いていく、いわゆるバディムービー(ちょっと百合的)なので救われた気がします。香港映画が原作ということで、ちょっとしたドンデン返しも織り交ぜながら、飽きずに見られる作品です。2人の標的となる健太朗も、おばあちゃんを労っていたりと憎めない面もあり、極悪人が出てこないところもいいですね。

放課後アングラーライフ

高校でイジメに遭っていた追川めざしは、父の転勤により港町の女子高に転校することに。クラスメイトの椎羅は「めざし」という名前に運命を感じ、自身が会長を務める海釣り同好会「アングラー女子会」にめざしを強引に入会させる。これまで自分の殻に閉じこもって生きてきためざしだったが、個性的なメンバーたちと行動をともにするうちに、釣りの楽しさや仲間と過ごすことの喜びを知っていく。

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女子高生が釣りに夢中になるのか?と疑問を持ち始めてしまうと元も子もないですが、舞台となるような港町なら、あり得るかもって思います。女子高生4人は世間的にはそれほど有名でないメンバー。演技的にはまだまだとは言え、城定監督が上手く演出しているのでしょう、違和感なく共感できる物語となっています。新しい学校のリーダーズのSUZUKAっぽい凪役の森ふた葉がちょっと気になって調べたら一応ミュージシャン枠の方なんですね。

自分、Twitterにはこんな感想書いていました。

短めの青春釣り映画。主人公の成長と過去からの脱却が爽やかに描かれます。西村知美や中山忍が出ていたり、「渚のハイカラ人魚」のカラオケシーンが出てきたり、懐かしさもあり。

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いじめのシーンは他の映画でもそうなんだけど、類型的。最近はSNS(TwitterではなくLINEなどクローズドな環境で)が多いのでは。あんなあからさまではすぐ訴えられると思うし、学校も昔より丁寧に対応しているのでは。

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愛なのに

古本屋の店主・多田は、店に通う女子高生・岬から求婚されるが、多田には一花という忘れられない存在の女性がいた。一方、結婚式の準備に追われる一花は、婚約相手の亮介とウェディングプランナーの美樹が男女の関係になっていることを知らずにいた。

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城定秀夫と今泉力哉が、互い脚本を提供してもらって監督するR15+のラブストーリーという企画の作品。脚本が今泉力哉で城定秀夫が監督しています。対となるのが城定秀夫脚本・今泉力哉監督の「猫は逃げた」。別記事で紹介しています。


「愛なのに」では、今泉力哉脚本っぽい、告白するのかしないのか、もどかしくも爽やかな愛の形が描かれます。R15+ですが。

今をときめく河合優実が初々しい女子高生役で登場。独自の恋愛観で古書店店主の瀬戸康史に迫ります。R15+部分を担当するのはさとうほなみakaほないこか。演技もできるしドラマーも一線級だし、凄い人ですね。

女子高生に殺されたい

女子高生に殺されたいという理由で高校教師になった東山春人は、人気教師として日常生活を送りながらも、「完全犯罪であること」「全力で殺されること」が条件の理想的な殺され方を実現するため、9年間にわたって完璧な計画を練り上げてきた。平和な学園内で、着実に計画を進めていく東山だったが……。

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だいぶ前に見たので忘れてしまっています。Twitterでの感想はこちら。

タイトルよりはずっと真面目なサスペンスではあります。「この子は邪悪」でも不安定な女の子を演じた南沙良さん良いですね。田中圭氏の先生には違和感ありまくりだけど、一番許せないのは春に咲いている彼岸花です。

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なるほど。大島優子が保健室の先生役で良い演技をしていたように思います。またここでも河合優実が出演。城定監督に信頼されているようです。

欲しがり奈々ちゃん 〜ひとくち、ちょうだい〜

小さなころから他人が食べているモノや持っているモノが素敵に見てしまう奈々。大人になったいまも相変わらずな彼女は、「真剣に誰かを大事にしている男性」がどうしても魅力的に見えてしまい……。

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もともとピンク映画が主戦場だったりした城定秀夫監督。今回紹介する作品の中では最もピンク寄りの作品。主演も大人の女優の架乃ゆら。演技自体は素朴な感じですが、ストーリーが進むにつれて味わいが増していきます。その面白さを出しているのは、監督の手腕もさることながら、脚本の良さではないでしょうか。コチラの脚本、書いたのは首藤凛。彼女は、知る人ぞ知る名作にして個人的暫定ナンバーワン映画「ひらいて」の監督です。「ひらいて」でも一途で複雑な女の子の心情をゴリゴリに描いていただけあって、コチラの作品でも主人公の造形が大変面白く仕上がっています。勿論ピンク寄りの映画ですので、そちらの方を期待される方も満足できるのでは。

ビリーバーズ

とある無人島で暮らす2人の男と1人の女。宗教的な団体・ニコニコ人生センターに所属する彼らは、互いをオペレーター、副議長、議長と呼び合い共同生活を送っている。瞑想、見た夢の報告、テレパシーの実験など、メールで送られてくる様々な指令を実行しながら、時折届くわずかな食料でギリギリの生活を保つ日々。それは俗世の汚れを浄化し、安住の地を目指すための修行とされていた。そんな彼らの日常はほんの些細な問題から綻びを見せはじめ、互いの本能と欲望が暴き出されていく。

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山本直樹の漫画が原作。予告編を見ても何がなんだかわからないので、是非本編見てください。ほぼ3人だけの前半から、後半は「ミッドサマー」もなんのというほどのカルト宗教の惨劇に。漫画・映画とは言え、現実にあった事件を思い出させます。ただその騒乱ぶりが主題なのではなく、特に主人公の内面を掘り下げている、そちらが主題のような気がします。

荒々しくかつ生々しく身体を重ねるシーンも衝撃的です。北村優衣、磯村勇斗のまさに熱演。宇野祥平の飄々として不気味な怪演も見ものです。

銀平町シネマブルース

青春時代を過ごした街・銀平町に帰ってきた一文無しの青年・近藤は、映画好きの路上生活者の佐藤と、商店街の一角にある映画館・銀平スカラ座の支配人・梶原と知り合ったことをきっかけに、銀平スカラ座でアルバイトとして働くことに。同僚のスタッフや、老練な映写技師、売れない役者やミュージシャン、映画の世界に夢を見ている中学生など、個性豊かな常連客との出会いを通じて、近藤はかつての自分と向き合い始める。

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このnote書いているさなかにアマプラに入ったので駆け込みで見ました。ひとことで言ってしまうと「映画って本当にいいものですね」って感じ。それから「ミニシアター万歳!」でしょうか。

不祥事のあった小出恵介の復帰作。彼の境遇を彷彿とさせる主人公であるのは、監督の優しさかもしれません。眉村さんも大好き藤原さくら、脱がなくても存在感たっぷりのさとうほなみakaほないこか、ここでも重要な役として起用されている宇野祥平、ミニシアター系で出まくっている中島歩、エンドロールでRIPを送られた渡辺裕之など、出演者も多彩。60周年イベントの幕間で繰り広げられる告白長回しなど、群像劇側面もあり。小粒ながら映画好きにはたまらない一本です。

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