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どうにかして、ビリヤニを簡単に作りたい。もはやビリヤニじゃないジェネリックでもいいから。

ビリヤニ、それは単なる米料理というよりも高次概念。

 ビリヤニ、ご存じですね。(有無を言わさない)
 肉や魚とバスマティライス(長粒種の長い米)を香辛料で蒸したり煮たりするインドを中心とした中央アジアの料理だ。
 調理法はかなり色々あるので、調べてもらいたい。

 カレー味のピラフや炊き込みご飯のようなものと紹介されることがあるが、大体想像しているピラフに比べて、ビリヤニは見た目がなにやら違う。大皿にてんこ盛りに乗っていたり、寸胴の中にぎっしり詰まっていたりする。聞いた話によると一斗缶にぱんぱんに詰まったままデリバリーしている店舗もあるそうである。

 そして、食べてみたらぜんぜん違う。ぜんぜん別物だ。そもそもビリヤニを何かで説明するのは難しい。日本にない概念(精神性)の料理である。
 日本でいう、ピラフは味のついた洋風のご飯を食べる料理であって、米(あるいは洋風出汁)が完全に主役になっているが、私にとってビリヤニはスパイスの名のもとに米、油、肉(魚)がローテーションで主役を張る面白い料理だ。

 そもそも米を絶対的な主役に置かないというのは日本にはない概念である。和食洋食中華含め、日本の料理というか、日本の食教育の中では米がやはり主役であり、どんな料理をするにしても米ありきの味付けにすることが多い。
 ラーメンとお好み焼きですら、米があるのだ。(ひどいときは素麺とご飯が出てくるときもある)

 日本人の思惑とは別にして、ビリヤニはスパイスを司令塔としてスクラムを組んでこっちに突っ込んでくる感じだ。米がメインというにはメインなのだが、どっしり構えていて他をうまく支えているのだ。役割をわきまえており、隙がない。
 味はベースとしてとにかく脂っこいのだが、意外に他の味はしつこくない。むしろ塩気が効いているくらいで、カレーのように強烈で複雑なうま味が米を進めるみたいなパワーがあるわけではない。

 むしろ、ビリヤニはスタートダッシュからものすごくうまいというわけではない。しかし、最初は脂味とスパイスの風味が先行して、素材の味がバラバラであるが、噛んでいる内に次第に肉の繊維が口内当たってうま味を認識したところから、ビリヤニの大逆襲が始まる。
 しゃっきりとした米が砕けてくると、米の風味が鼻を抜けていく。
 これは悪くない感じだと思うことが出来たら、今度は肉の繊維と米が噛むたびに全く違うコントラストを与えてくれる。
 日本のピラフや炊き込みご飯に比べて、ビリヤニは米の主張がそこまで激しくない。
 むしろ、前線で戦っている肉と油を、後方のサポートに徹しているイメージである。ピラフや炊き込みご飯の米が主旋律だとすると、ビリヤニの米は通奏低音である。

 油と肉と米に疲れて来たら、アチャールとライタをかけて食べる。
アチャールは香味オイルの入ったスパイス風漬け物、ライタは野菜を刻んで入れた塩味のヨーグルトソースだ。これが口をさっぱりさせて、さらに食欲を増進させる。さらにナッツやドライフルーツを刻んだものを添えると申し分がない。

 肉、いい。
 米、いい。
 スパイスの風味もいい。
 付け合わせで無限の組み合わせだ。組み合わさると別の表情を出してくる。ビリヤニは一皿で味のグラデーションを楽しむ料理だ。この部分は肉が多め、この部分はスパイスの風味が強い、後掛けしたライタの量でさっぱりさが違う。
 噛むたびに新発見と再発見がある。それがビリヤニである。

 人生に一度はビリヤニ熱で頭がおかしくなる時がある。それが今だ。

ジェネリックにするにあたり、ビリヤニのビリヤニっぽさを考える。

 ともあれ、ビリヤニ作るのがめんどくさいのよね。
 ビリヤニはコツさえ覚えれば意外とどうにでもなる。古くからあるレシピだけあって、少しやり方を変えてもアレンジに収まってしまう、おおらかさがある。ビリヤニは懐が深い。
 蒸すという調理はレンジでも作れるからね。
 しかし、正調で作ると、かなりめんどくさい。具材を用意するのが面倒だし、カレーの方が早く作れる。
 結局のところ、長時間スパイスと肉を加熱すると、部屋の中が臭くなるのが許せねえ。ぐぎぎ。夜半過ぎまでビリヤニの匂いである。わしゃ、そのころになると紅茶を飲みたいので、ビリヤニもういいとなりがちだ。あと、家族もうるさい。
 こういうこともあって、ビリヤニを安直に作るのはあきらめて、カレーレベルで手軽に作れるジェネリックの似て非なるレベルの低意識ビリヤニを作ろうと最近思い立ったのであった。
 それにあたって、「ビリヤニを家で作るときにめんどくさいこと」と、「自分がビリヤニのうまいと思っていること」を上げてみて、考察してみることにする。
 要するに、自分マーケティングだ。

ビリヤニ、めんどくさくさポイント

・鍋で炊く(蒸す)
・スパイスの香り出し、テンパリング
・一度に作る量が無駄に多い。
・部屋が臭い。

鍋で炊く

鍋でもう作らないほうがいいのではないか。一応レンジで作ることもできるが、手間がかかる。また、蒸す、炊くという行為は意外と手が離せないので、短時間でちゃちゃっと作ることはできないのだろうか。

スパイスの香り出し、テンパリング

スパイスの香り出しはしない。テンパリングなんかしてられねえ。鍋が増えちゃう。鍋が一個増えるとスーパーめんどくさい。フライドオニオンとかでごまかせるならごまかした方がいい気がする。

一度に作る量が無駄に多い。

これ、ワシの問題じゃない? でも、少ないとあまりおいしくないのも事実。一度に多く作るからこそのうまさはあります。そのあたりの塩梅がむずかしいんですな。

部屋が臭い

長時間加熱しない。匂いは好きだけど、別に部屋に充満させたいわけじゃない。ホットプレートで焼肉したくないポジションだね。

ビリヤニ、うまうまポイント

ビリヤニのうまさを考えると、以下の通りになった。
・肉、米、油
・スパイスとあっさりした味付け
・付け合わせ(ライタとアチャール)で味のバランスを調整。

肉、米、油

とにかくビリヤニの三大要素は、肉、米、油である。この聖なるトライアングルを食うために作っているといっても過言ではない。

肉(というか具材)
 肉は多いほうがいい。大きな肉をほぐすという醍醐味があるが、しっかり加熱するのがめんどくさい。ここは、安易にひき肉か切り落としを細切れにして使うべきだろう。
 また、肉以外に、魚もある。サバかパンガシウスあたりを使ってみたい気もするが、高いんじゃないかしらね。パンガシウスあたりは身が柔らかいので、買ってきた半身のまま出してみるというのも手。カレー味のムニエルみたいにするのもいいのではないか。あとはエビタコイカカイ。多分高い。
 豆はうまいんだろうけど、水煮缶以外だと用意がしんどい。レンズマメがあれば入れたいけども値段的に大豆か小豆(ささげ)あたりになるんじゃないかと思う。


 米は長粒種か中粒種がいいわけであるが、基本的に日本米以外の米は高い。多分倍以上の差がある。短粒種で我慢せざるを得ない。近くの業務スーパーだと、バスマティライスが800円/kgぐらいした。安いのあれば、それ使ったほうがうまいと思う。
 日本の米は粘り気と甘みに特化している。日本米を使ったパエリアのときと同じように研がずに使用するのが吉か。固めに炊くというのはマストだろう。


風味を強化する目的で使いたい。あと入れでバターを入れる?
炒め油はほとんど香りはないので、肉の脂を利用してうま味を足す。

スパイスとあっさりした味付け


 ここはあまり迷う必要がないし、どこまで妥協するかという問題になるだろう。以外に調味料的なところで苦労しないのがビリヤニである。味付け自体が洗練されていて、あまり考える余地がない。どれかが欠けると明らかに味が落ちると思う。
 うま味を多く含む食材であるトマトとショウガとニンニク、レモン汁、ヨーグルトぐらいだろうか。
 スパイス選びはかなり難しいと思うが、結局金銭的な問題が発生するので、カレー粉にシナモン、クミン、ターメリックを足すあたりが妥当かなと思う。
 

付け合わせ(ライタとアチャール)で味のバランスを調整。


 一気に異国に連れて行ってくれる存在。ジェネリックビリヤニということで、それ本体にパワーがあるわけではない。どうにかしてごまかす必要があるのだが、ライタとアチャールは救世主になるかもしれない。
 ライタもアチャールも刻んで漬けて放置するだけである。
 個人的にはライタをつまみにするほど気に入っているので、これ作っとけば満足するとさえ思っている。肉料理ならなんでも合うと思う。
 また、食べている内にドライフルーツかナッツがあればいいのになと思うので、小袋でもいいから買っておくといい気がする。

以上からジェネリックビリヤニを考えてみる。

とにかく、鍋やフライパンでビリヤニを作りたくないという意思が強い。
とにかく、時間はかけない。
食材は安くてもうまく作れるものにする。
スパイスはカレー粉とどこでも手に入るスパイスで済ませる。
多少の失敗やビリヤニっぽくなさは付け合わせでごまかす。

以上のことを考えると、
カレーを濃縮したビリヤニの素みたいなものを作っておき、それを後から混ぜ合わせることで成立させればよいのではないかと思う。
いわゆるカレー混ぜご飯のようにするのだ。
今それを作ってみたのだが、ひき肉を多めに使ったので、味は近いものの、野菜を多めに使ったせいか全体的にべちゃっとなっていて、蒸された米の感じとは程遠い感じである。あとはスパイスの香りがない。辛うじて玉ねぎとピーマンで作ったライタでカバーしたものの、満足度としては低い。というか、これドライカレー(濃厚な奴をかけるタイプ)だ。
いっそ、ひき肉のカレー粉炒めに油を足したものを作っておいて、炊いたご飯を後から合わせるというのが妥当なのだろうか。


どちらかというと、ビリヤニはカレーチャーハンのようなドライカレーである。(チキンライスの素みたいに炒めて食べるアレ)
ん? カレーチャーハン? 
これが正解なんではないか?
要するにジェネリックビリヤニとは、カレーチャーハンをどうにかこうにかしたものなのではないかと思う。具材をスパイスで炊くということを避けると、出来合いのものを合わせて炒めるということになるのではないだろうか。

今後、再現する考案する際の大きなヒントになりそうであるので、ここにメモ書きしておく。
思いついたら、続きを書くかもしれない。

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