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解剖研修日記⑥

こんにちは!滋賀・大阪ボイストレーナーの安田結衣です。
解剖研修2日目が終わりました。私の興味や視点での気付きや学びをシェアした日記です。解剖研修についてのご理解があり、声と身体の繋がりついて真摯に学ばれたい方以外の閲覧はご遠慮ください。もし文章中に気になる点やご指摘があれば真摯に受け止める所存ですので、お手数をおかけしますがご指摘いただけると幸いです。

今日からは昨日よりも長時間の解剖となる。朝ごはんもしっかり食べ、心身ともに昨日よりも少しコンディションが良くなっているのを感じた。
2日目大きなテーマとなるのはKENに沢山ついた脂肪や背中側の皮膚や脂肪を取り除き、全身の筋膜が見えるようにすることと。その上で歌う時の動きで身体がどんな繋がりを持っているかを見ることだ。
・マイクを持つ時や弾き語り時の息の吐きやすさはどうか
・大殿筋と広背筋の繋がり
・広頚筋前の脂肪層を取る
などの視点で観察した。

朝のトムの講義は人の身体にある層がどのような見方をされているか。。
現代の課題としてどのようにしてストレスを抑える副交感神経を作るかという考えがある。
今は内臓器が脳をコントロールするかについての研究が進んでいるらしい。神経については正直勉強不足だったのだが、腸を整えるとうつ病などの症状が改善するという本を読んだことがある。他の参加者も腸の英訳が(Guts ガッツ)だということから、脳は腸からコントロールするのかという質問が上がったが、あくまで消化器系全体であり腸単体の活動ではないとのこと。

亡くなるの6ヶ月や3ヶ月前にどのような生活や食生活を送っていたかを御献体から判断することが難しいという事が伝えられた。理由は死後も皮膚や脂肪などに変化が起こる事があるからだそうだ。
だとすれば昨日の気づきにあったKENの姿勢についても撤回しなければならない。
筋腹が大きいから脂肪が多いから姿勢が〜という単純なものでもなさそう。ますます気になるKENの身体。
今日のボディワークはチーターと人の頭の振る舞いの違いについて。チーターは獲物を定めながら走るために胸鎖乳突筋が積極的に使われ、頭はピクリとも動かないようになっている。
一方で人間の頭はそれより下の構造が安定する事で様々に動かせるそう。試しに胸鎖乳突筋を張らせると足の前後の動きがし辛くなった。また骨盤と大腿骨からカルシウムを抜いた際の動画で、驚くほどグニグニに曲がっていたのには驚いた。骨や軟骨も筋膜と捉える見方もあるそうだ。トムはそれらをどのような名称がで呼ぶかの議論には興味がないよう。それよりも実際の身体がどのように動くのかを見る事が大切だという。

今日の講義やラボでの出来事によって、私の中の筋肉や姿勢の考え方がまた大きく変わった。

まずは御献体を台の上に座らせて息を吐く動きを見たのだが、肋間筋単体の動きでなく腕周りの筋肉が全体として動いていた。御献体の肋骨を押しながら腕を動かしていくと、腕を上げた時が一番押し出しやすく感じる。息を吐く時の筋肉で有名な内肋間筋は大胸筋の下なので、どのような動きになっているかは次回見ていきたい。ただ確認できたのは皮膚のすぐ下にある大胸筋や僧帽筋等の背筋も呼気に関わっていることを忘れないようにしたい。
歌うときにマイクを持つ時や楽器を持つ時は腕が前に出て、上腕の重さが肋骨にかかるということなので脇を締めて持つのか、脇を広げて持つのか、肩甲骨から支えているイメージなのか、目線はどこを向くのかなど自分が息を吐きやすい位置を探す事が大切だと感じた。
また広背筋という背中の浅層で下3分の2を占める筋肉とお尻の筋肉の筋繊維の連動性も目で確認できた。骨盤の傾きによって背中の張りも生まれる。僧帽筋が5Kgという重さのある頭を支えるだけでも相当な負荷がかかっているのに、下の広背筋まで余裕がない状態になる。そうなると影響してしまうのは呼吸のしにくさ、テキストネック(スマホっ首)などだ。それらをほどよく余裕を持たせるためには骨盤の扱い方も工夫していく必要がある。
骨の関係を見られるのはかなり最後の方になると思う。KENはやや骨盤の傾きや背骨のカーブが正常ではないので、骨盤と背骨、肋骨の3Dの動きに注目したい。
そして広頚筋だ。KENは皮膚がある時点で頭を回していく際に右の胸鎖乳突筋が分厚く動きが鈍い印象だった。皮膚を取ると広頚筋が自動的に取れいよいよ胸鎖乳突筋を見る事ができるかと思ったが、予想に反して皮下脂肪がかなり多い状態だった。痩せ型の女性だと喉頭や舌骨まで触れる状態に来てもいいはずだが、KENの場合は男性なのに喉頭が出ていないほどだった。脂肪を取ってみると、繊維はもも肉の皮のように薄いものではなく、ホルモンの皮のような硬い弾力性があった。身体の中で脂肪がつく状態というのは、常に衝撃がかかる踵などを守ったり体温を保つ役割もあるが、使われていない場所にどんどん溜まっていくという後天的なものもある。その判断は難しいが、他の御献体に比べ広頚筋や大胸筋に脂肪が多く乗っていた事や、その下の胸骨筋の筋腹の大きさをみると恐らく肋骨や首の動きがかなり制限されていたと想像する。努力して呼吸をしていたことによる胸鎖乳突筋の張りというのも考えられる。
御献体を解剖させていただく中で、筋肉や骨以外の皮膚や脂肪から伝わってくるメッセージというものの重要性をとても感じた。第一印象で肋骨挙上の左右差や首の回旋の左右差に気づき、奥に進むほどその原因が何だったのかが分かってくる。
生徒さんの姿勢で表面だけの印象を変えようとしても、その下の脂肪や筋肉や筋膜、骨の動きにより元に戻ろうとするのは当然のことだ。骨の状態に合わせた機能的な動きをしているのであれば、無理に姿勢を変えようとすることは良くないだろう。
ただ健康体の状態で何らかの動きにくい繊維がある場合は、表面から伝わるメッセージをキャッチして皮膚を広範囲に動かしたりしてなるべく硬い繊維が生まれないようにすることも大切だと感じた。
明日は広頚筋を外し、外喉頭筋が見れそう。

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