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【連続小説】 Secret - 秘密の捜査 - # 1

序章

ー この世には、たくさんの秘密が溢れている ー
私にも秘密がある。でもそれは、誰にも理解できない世界を揺るがす大きな秘密で、誰にも知られてはいけないのだ。

夜の繁華街。そのネオンが反射する路地裏に、雨が降り注ぐ。
1人の男が怪我を負いながら逃げ惑っている。ハードケースを抱き抱え、スマートフォンで誰かと連絡を取ろうと必死だ。
しかし、2人の追手が男の前に立ちはだかる。

次の瞬間、男のハードケースは、追手の1人に目にも止まらぬ速さで奪われた。一瞬の出来事だが、明かに人の動きではない。速すぎて目で追うことが出来なかったのだ。
倒れた男が驚いた様子で問いかける。
「 強化型!すでに存在していたのか! 私の見解よりも、貴様らは先へ進んでいるのか? 」 

「 刑事さん、あなたが知ってしまった秘密の代償は、あなたの娘さんが追うことになる。娘さんのSecretは、いずれ私達の組織が探し出す 」追手の1人はそう言い放ち、男に一発の銃弾を浴びせた。

銃弾は男の心臓を的確に射抜いている様子だった。もう助からない。。。
雨が降り注ぐ路面に倒れ込んだ男は、自らの死を悟り、「 アオイごめんな 」と呟き息絶えた。

2日後。場所が変わり、1人の女の子が葬式会場で佇んでいる。
目の前には大きな祭壇があり、遺影がたくさんの花に囲まれている。
周囲には警官の制服を着た者が多くおり、亡くなった人間が警察関係者であることは、参列した者全員が理解できる。

「 アオイちゃん。何もしてやれなくてごめんな 」1人の警官が女の子に話しかける。身長は180cmぐらいで、筋肉質なガタイに短髪とスポーツマンな印象を連想させる男だ。
「 サトシおじちゃん。来てくれてありがとう 」女の子が疲れた優しい笑みで返事をする。警官はバツが悪そうだが、女の子を気遣おうと必死だ。

「 君のお父さんの仇は俺が絶対にとる。だから、君は自分の人生を生きろ。君までがお父さんの後を追ってはいけないよ 」そう言って、警官は女の子の元から去った。

その日の夕方、テレビや新聞、ネットニュースに「 日本で刑事が銃殺された 」と驚愕の内容でニュース速報が全国へ流れた。
法治国家であるこの日本で、銃撃によって刑事が殺害されたこの事件は、未解決事件としてその後、7年の月日が流れることになる。

そしてこの事件は、これから起こる巨大な陰謀の始まりに過ぎなかったのだ。


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