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0→1 新規事業でリモートでのグループデザインをやってみました

リモートで0→1でサービスを作っていくとき、皆さんはどんなふうに働いていますか?

私は週4で、リモートのグループデザインでやってみました。

コロナ前にリアル職場のプロジェクルームに籠って仕事をしてた感じにしたい

こんにちは、SOMPOの片山です。UXリサーチャー・デザイナー、PdMとして、リサーチ・ユーザー課題抽出、体験設計、画面設計・要件定義、プロダクトマネジメントを担当しています。

私、基本的にリモートで働いているのですが、リモートだと「ちょっと声をかけて気になることを確認する」、「顔を突き合わせて抽象度高めのタスクを行う」といったことがやりにくいなぁ、という悩みがありました。(0→1はただでさえフワッとしてることが多く、日に日に疑問や認識齟齬が増えていく気がしてOMG!って思ってました)

そこで、リモートでもリアルの頃によくやっていた「プロジェクトルームに籠ってみっちりメンバーと仕事する」を実現できないか試してみました。

今作っているサービスの概要と私の役割

サービスの概要と体制を簡単にお話ししますと

サービスリリース前なので詳細は明かせませんが、本サービスはWebサイト/スマホアプリ/ハードプロダクトからなるサービスです。なかなか領域広めです。

メンバーはビジネス、デザイナー、エンジニア合わせて15人程度です。
その中で私はUXリサーチャー・デザイナーとしてサービス全体に関わりつつ、WebサイトのPdMを担当しています。

サービスの開発状況は

サービスの開発状況としては、課題仮説、価値仮説の整理が終わり、βプロダクトを作りPMFを目指している状態です。

※PMF(Product Market Fit):プロダクト(サービスや商品)が特定のマーケットに適合している状態。もう少し噛み砕くと、プロダクトがお客様の課題を解決できていて、かつ、そのようなお客様が多数存在するマーケットに受け入れられている状態


私の役割は

点として存在していたペルソナや課題仮説(原因と課題)、価値仮説(解決策とそれが提供する価値)を線として整理すること。そして、その価値仮説をプロダクトを開発できる状態まで具体に落とし込むことです。
サービスがある程度の具体化でできた段階で、受容性検証も実施しています。

具体的な役割は下記となります。
(これらをどう進めてきたかのお話は、今回は詳細は割愛しますmm)

  • ペルソナ運用

  • サービス全体のバリュープロポジションの整理

  • カスタマージャーニマップ作成・体験設計

  • サービスブループリント作成・業務設計

  • Webサイト要件定義・WF作成

  • Webサイト受容性検証の検証設計、実査、分析、改善


週4で、各回2.5時間のリモートグループデザイン

プロジェクトを進めるうえでの課題

リモートで新規サービスを作っていく中で、下記のような課題感が日に日に強くなっていきました。

  • 時間がない。いずれ必ず時間がなくなるから、なるべく早く進めたい。

  • 「わからないこと(ビジネス要件や他プロダクトの検討・開発状況など)」が多い。価値仮説をプロダクトに落とし込んでいく中で、次から次へと不明点やメンバー感での認識齟齬が生まれていました。

  • メンバーによりタスクの進め方、プロダクトの作り方が違う。CJM一つを取っても定義や意味合が微妙に異なります。それらが重なると手戻りしかねません。

依頼していた成果物が、思ってたのと違う。。大事な要素が抜けてる。。となるとお互い悲しいですよね。

また、定例MTGも週一でしたので、それまで込み入った話ができない、アプトプットも見れない、という微妙な状況でした。(「Slackで聞けばいいじゃん」という話でもあるのですが、当初はタスクの抽象度が高く要点をうまく言語化できないこともあり、認識齟齬が発生することも度々ありました。。)

その打開策として「オンラインでのグループデザイン」を試してみました

やり方は下記となります。

  • 月、火、木、金で午前中に2.5時間のオンラインでのグループデザインを実施しました。

  • 始めた当初は私とUXデザイナーの2名。途中からUIデザイナーも参加し、今は3~5人程度でやっています。

  • 自分に関係するアジェンダの場合はグループデザインに参加、それ以外はもくもくと個人ワークとなります。

  • オンライン会議ツールで実施し、カメラは基本的にオフ。マイクも個人ワーク中はオフにしています。

  • グループデザイン中はmiroを画面共有しながらホワイトボード的に利用することが多いです。

  • チャットで一言もらえれば、個人ワーク中は離席したりお昼ご飯を食べたりもOK。事前に連絡をもらえれば、別件のタスクやMTGにこの時間を使ってもOKです。

工夫したこと

  • 頭がすっきりしてる午前中に実施するのがおすすめです。ルーティンワークや事務作業は午後に行うようにしました。

  • あえてカメラをオフにし参加者の負担を下げました。一般的なオンラインMTGではカメラオンで相手の表情を見ながら進めることも大事かもしれませんが、密にワークをしていて気心が知れてくるとそれも不要になります。逆に、カメラをオフにしてお菓子を食べたり、フェイスマッサージをしたり、適度にゆるく個々人がワークに集中できる状態で参加してもらうのが良いと思っています。

  • 冒頭でサクッとアジェンダを確認し優先順位を決めてからワークに入ります。そして、どのタスクの、どこを、どう進めていこうか、アプトプットはどうしようか、を会話しつつmiroで可視化しながら進めます。

  • 「わからないこと(ビジネス要件や他プロダクトの検討・開発状況など)」が発生したら放置せず、その場でSlackなどで確認を入れちゃいます。込み入った内容の場合は、グループデザインにビズや開発を招くこともあります。

  • アジェンダがないときはスキップすることで、メンバーの自分時間の確保にも配慮しました。


結果は、、、

プロジェクトの抽象度が高い状態から、短期間でスムーズにプロダクトの要件定義とFigmaデザインまで完了できました!

一例ですが、私とUXデザイナーで要件を詰めつつ、UIデザイナーがそれを聞きながらその場でFigmaに落と仕込み、それを見ながら会話しデザインをさらに作り込む。ということを行っていました。

途中から参加したベテランUIデザイナーからも「オンボーディングからデザイン完了まで働きやすかった」と言ってもらえました。(とても嬉しいです!)

ですので、本プロジェクトでは今のところうまく回っています。


リモートグループデザインの向き・不向き

もちろん、全ての人やタスクにこの進め方が適しているわけではないと思います。私が感じた向き・不向きを簡単に整理してみました。

  • 人と一緒にワークすることが前提なので、1人で考えることを好む人には向かないと思います。

  • 場をさばく必要があるので、一定のファシリテーション力が必要となります。(これはUXデザイナーやPdMの必須スキルでもありますね)

  • 人数は多くて5人が限界かもしれません。それ以上になると1ツールでは1会話しかできないので、meet+Slackハドルなど併用が必要になります。それか人数が多い場合は、基本は任意参加、アジェンダに関係のある人を必須参加とする運用ならいけるかもしれません。

  • 2.5時間は長いので、3つ4つのプロジェクトを掛け持ちしてるような人には物理的に時間が取れずハマらないと思います。その場合は頻度を減らしたり、時間を短くしてみるのが良いと思います。

  • すでにやるべきことが明確になっている仕事やルーティンワークは、おそらく1人で対応した方が効率が良いでしょう。

  • スピードやイテレーションを求めない仕事も、上に同じです。


良かったこと・気づき

  • スムーズさ・スピードが改善される

    • 「どの課題の、どこを、どう進めていこうか、アプトプットはどうしようか」を会話しながら進められるので手戻りがなくスムーズに進められる。未経験者の育成などにも有効な気がしています。

    • スピードと精度の天敵である「わからないこと」を潰していくので、スピードと精度ともに上がります。チームとしても「わからないこと」をどんどん挙げていくことが良いこと、という考えが身についてきたのも良かったです。

    • 枠を2.5時間に定めたことと相手がいることで、その時間内に終わらせてしまおうという意識になり、スピードが上がる気がしました。

  • 人を巻き込む思考サイクルが身に付く

    • 1人で考え込む時間を減らせます。1人で1時間考えても半日考えても質に大差はないけど、ついつい考え込んでしまいがち(自戒も含めて)。粗々でもいいのでサクッとカタチにして、他者にぶつけてFBもらって、それを修正していくほうが効率がいいと思っています。

    • どこまでは1人で考えて、どこからは他者を巻き込むのが良さそうか。その際はどんな段取りとアウトプットをすると、よりスムーズに進められるか。といった点が徐々に身に付いてきます。

  • 対面よりも楽な部分もいろいろあった

    • むしろ対面よりリモートのほうが色々と楽かもしれないと感じました。とくにペアワークと個人ワーク切り替えが楽です。対面だと目の前に相手がいるのでどうしても目線が気になったりしてしまうので。音声だけでゆるく繋がっている感じがちょうど良いと思っています。

    • 他プロジェクトを含め、自分のタスクのスケジューリングが楽になりました。何かタスクが発生したらこの枠内でやろうとなるので、タスク管理に使う労力が削減された気がしています。(カレンダーに潜ませる「ブロック枠」のような感じです)


今後もいろいろと試しながら進めていきます

リモートでのグループデザインを始めて数ヶ月立ち、プロジェクト・タスクの解像度が上がってきたので、頻度を落としてみても良いかと考えています。

また、この仕組みは新卒社員や未経験者のOJTにもハマるのではと思っています。これからも職場の様々な課題に応じて、柔軟な働き方を試していきたいです。

子育てや介護、移動時間が無駄に感じる、などの理由で自宅で過ごす時間をできるだけ確保したい方も多いと思います。ここ数年でリモートワークのツールや知見も溜まってきたので、個人的な想いとしては今後もリモートと出社のバランスをうまく取りながら働いていければ良いなと考えています。


以上、今回の記事ではSOMPOデザイナーの働き方一例の紹介となりました。少しでも、読んでいただいた方の参考になればと思います。

なお、弊社ではデザイナーを絶賛募集中です。少しでもご興味を持っていただけた方はご連絡いただけますと幸いです。まずはライトにカジュアル面談しましょう!