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デザインに役立つかもしれない、人に話したくなる色の雑学10

こんにちは、SOMPO Digital LabデザインチームのUIデザイナー・プロダクトデザイナーの金(https://twitter.com/seikei_kin )です。
デザイナーとして業務をしていると、配色にまつわる色々な雑学・うんちく・小噺などに出会うことも多かったりします。そこで今日はその中から、誰かに話すと面白がってもらえるかもしれない・デザイナーならいつかどこかで仕事に役立てられるかもしれない配色の豆知識をいくつかご紹介したいと思います。
※一般的な配色理論などは登場しませんのでご了承ください。また記事中にも注釈がありますが、一部諸説を含むものもあります。


軽く見えるようにするために引っ越し会社の段ボールの色は白が多い

いろんな引っ越し会社はあれど、概ね引っ越し用の段ボールの色は白(もしくは薄いベージュ)が多いことにお気づきでしょうか。これは明度(色の明るさ)と人が感じる重さの印象との相関関係に拠るものです。色には「軽重感」という要素があり、明るく明度が高い色は軽く、暗く明度が低い色は重く感じるようになっています。見た目だけでも軽さを感じてもらうことで、荷物を運ぶ業者さんの疲労感や心理的負担を軽減する狙いがあるそうです。

[参考例]


リンクカラーが青なのはアクセシビリティに関係ある

ウェブサイトのリンクテキストの色といえば青、というのが一般的なイメージかと思います。理由については諸説あれど、その一つにワールド・ワイド・ウェブ(WWW)を発明した科学者ティム・バーナーズ・リー氏が、青は色覚障害者でも識別しやすい色だからという理由で決定した説があります。
試しにPhotoshopの配色校正機能を使い、通常の方と比べP型(赤の錐体に変異がある)・D型(緑の錐体に変異がある)それぞれの色覚者について、色がどのように見えているかをチェックしてみました。

こうしてみると赤や緑に比べて青は他の色と区別しやすい、どんな人でも見え方に相違が少ない傾向にあることがわかります。
ちなみに最近では赤は障害を持つ方に分かりにくいという同様の理由で、まだコンセプトの段階ではありますが「青い救急車」の制作が検討されたりもしています。

ティム・バーナーズ・リーの件は憶測の域を出ない説ではありますが、青は誰にでも識別しやすいアクセシブルな色であるという意味では、それなりに信憑性があると言えるかもしれません。

[参考記事]


碁石の大きさは黒より白の方が小さい

囲碁の碁石ですが、実は白と黒とでサイズは同じではなく、黒の方が少し大きめに作られています。よく言われる通り白は膨張色で黒は収縮色であり、二つ並べると5%ほど白が大きく見えるそうです。白が大きく見えると盤面上白が占める面積も大きく見えてしまい、結果白の方が優勢に見え戦局に不要な影響を与えかねません。そのため視覚的に両者は同じくらいの大きさ・面積に見えるようになっています。

[参考記事]


手術着が青なのは、人間の目には、見ている色とは反対の色を網膜上に作り出す生理機能があるため

普段は白衣を着ている医師が、手術をする際に青や緑の手術着に着替えるのには理由があります。
疲労や色の刺激をやわらげるために、人間の目には、見ている色とは反対の色を網膜上に作り出す生理機能があります(補色残像現象)。例えば赤色をずっと見た後、パッと白い紙に眼を移すとだんだんと赤の逆の色(補色)である青緑色が現れてきます。
外科医は手術中はずっと赤い血を見ている状態です。そこから目を離した時、そこに手術着など白い背景があれば赤と反対の色=青緑色が視覚に残像としてちらつきます。残像が生じれば、緊急を要する手術にもかかわらず目が慣れるまで手を止めなければなりませんし集中力も妨げられます。こういった事態を回避するため、現代では赤の補色である青や緑が残像として浮かびづらくすため、手術着自体を青や緑にしているそうです。

[参考記事]
あらあら不思議(!)補色残像現象 | カラー、色彩ご提案の東京カラーズ株式会社

世界で一番人気がある色は青

以下はグローバルなデータの収集と分析を専門とするイギリスの調査会社・YouGov社による、世界10か国で実施された人気がある色についての調査結果です。青は各国で一位であることがわかります。


理由は諸説あれど、青空の開放的なイメージ・清涼感・爽やかさなどは万国共通してポジティブに捉えられているということでしょうか。
その結果を裏付けるように、例えば金融ブランドのロゴを調べてみると、青を使用しているものが多いことが窺えます。特にお堅い分野においては人気があり無難であるが故に、信用がある青がよく使われがちということかもしれません。
[参考記事]
Financial _ Bank logos _ 1000 Logos - The Famous Brands and Company Logos in the World.


トンネルの照明の色は入り口と出口で違う

厳密には色についてではないですが、人の視覚の働きを利用し安全・快適な体験を向上させる施策の一つとして、トンネルの照明があります。
トンネル入口で明るいところから暗いところに急に行くと目が暗さについていけず、見づらさを感じます。逆に出口付近では、暗さに慣れた後の光は視界が真っ白になり外の様子が識別しづらくなります。こうした現象を防ぐべく、トンネルの入口と出口においては意図して照明を増やし、内外の明るさに差が出ないようにして、スムーズに運転ができるように工夫されています。
ちなみにトンネル内照明はオレンジ色のイメージがありますが、これは昔は排ガス規制がそれほど厳しくなかった名残です。昔のトンネル内では排気ガスが充満しがちで、それ故ガス・塵等の影響を受けにくい(光を通りやすい)性質があるオレンジ光が望まれたそうです。排ガス規制は進んだ現在は煙の量が減り、結果トンネル内の見通しが良くなったことに加え、効率の良いLED光源が開発されたことで、徐々に白いランプが採用されるようになっています。

事故に遭いにくい車の色はシルバー

こちらも諸説ありますが、事故に遭いにくい車の色はグレーやシルバーと言われています。シルバーの車はその塗装方法(メタリック塗装という微細なアルミ片などの入った塗料を用いた塗装)の関係上光を反射しやすく、それ故昼夜問わず目立つため事故を避けやすいのだそう(但し、雪や霧が濃い地域ではグレーの車は見えにくくなりますので注意が必要です)。 ちなみにブルーやグリーンの寒色系の色は後退色と呼ばれ、実際の距離よりも遠くに見える=車間距離がたくさんある様に錯覚してしまうため、事故に遭いやすいと言われています。

[参考記事]


赤いユニホームのサッカーチームは強い

強そうなスポーツユニフォームの色は、と聞かれると何色を思い浮かべるでしょうか?みなさんなんとなく赤というイメージがあると思いますが、このイメージを裏付けるべく、実際にサッカーチームのユニフォームの色と勝率の関係について調査した例があります。 2008年、英ダラム大学(Durham University)と英プリマス大学(University of Plymouth)の専門家からなる研究チームが第2次世界大戦以降のイングランド・プレミアリーグの、赤・白・青・黄・オレンジのユニフォームの色別勝率を調べたところ、赤がもっとも高かったそう。
さらにプレミアリーグで最多優勝(13回)を記録しているのはマンチェスター・ユナイテッドであり、そのユニフォームの色は赤で愛称は「赤い悪魔」です。また、ヨーロッパ・カップで連続優勝したイングランドのチームはリヴァプールとノッティンガム・フォレストの2チームのみですが、どちらのチームも赤いユニフォームを着ています。
もちろん、これらの結果をそのまま間に受けてユニフォームを赤にさえすれば勝てるわけではないですが、赤と勝率の相関関係やデータは、人を興奮させる・欲望を刺激する・闘争心を駆り立てる、といった赤という色が持つ効果を裏付ける一つの例と言えるかもしれません。

[参考記事]

ガソリンはあえて着色している

都市ガスは漏れた時に気付きやすいようあえて匂いをつけている、というのは聞いたことがあるかもしれませんが、配色においても同じような施策があります。もともとガソリンは無色透明なのですが、同じく透明色の灯油と間違えないように、あえてオレンジ色に着色されています。実際、冬に灯油だと誤認して暖房器具にガソリンを入れてしまい爆発する事故なども起こっているため、危険を察知させるためにあえて色で識別させているそうです。

[参考記事]

色彩のみからなる商標がある

商標とは一般的にはネーミングや目印(アイコン・図形)、ロゴのことを指しますが、単色もしくは複数の色の組合せも商標として登録できます。色の組み合わせなので商品の形状等に応じて、輪郭なくその色彩を使用することができます。これは2015年に導入された新しいタイプの商標で、その背景にはデジタルの発展や販売戦略の多様化に伴い、ブランドの示す対象や使われ方も従来より拡大・多岐にわたってきているという社会的実態があります。
例えば実際に登録されている例をあげます。これを見るだけでみなさんいくつか具体的な企業名・ブランド名を想起されることかと思います。

色彩商標の例

商標ですのでこれらの配色自体を盗用・無断引用したり、使用する時に配色を変えたりすると商標侵害の恐れがある、ということですね。最近では配色自体も企業のブランドアイデンティティとなっているというお話でした。

[参考記事]
色彩のみの商標-商標登録ドットコム™


以上、知っていると役立つかもしれない色彩にまつわる雑学をご紹介しました。UIデザインの配色設計に、ちょっとしたアイスブレイクに、思い出して役立てていただければ幸いです!

[参考文献]


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