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謎々多すぎた『熱帯』by森見登見彦

書店に並んでた森見先生の文庫の新刊という事で読んでみた。

結論から言うと、ちょっと私には合わなかったかな…、という印象。

いつも森見先生の作品は大好きなのだけれど、前に読んだ夜行と比べるとちょっとあまりにもファンタジー過ぎたのかもしれないという印象だった。

ネタバレしちゃうと半減しちゃうので、自分なりの感想をしたためておこうとおもう。

1.物語の視点が移り変わりすぎる

基本、森見先生の小説は1人称で進んでいく。

この物語は、最初は森見先生自身が小説の中で主人公となりそして物語が開始する。

しかし途中で、森見先生の話からある女性の話になる。

そしてその女性の話から、更に違う登場人物の話になり話題が移り変わっていく。

物語はよくできているのだけれど、こういう手法をとるならせめて二人とか、または三人称でかいたりしたほうがわかりやすいんだよなぁって思った。

なぜなら、私の頭が追いつかないのかわからないけど、今誰の視点で物事が進んでるんだっけ?ってなってしまったので残念である…

2.千夜一夜物語の解説が長い

いわゆるアラビアンナイトの元となっている、千夜一夜物語。

きっとこの熱帯は、森見先生版の千夜一夜物語なんだろうなって思うんだけれど、ちょっとこの解説に疲れてしまい読むのが途中で止まってしまって、結末の謎をどうにか知りたいと思いながら全て読み切った。

しかし、わたしはこの本の謎が最後まで解けなかった。

もやもやが残っていいパターンの小説と、もやもやが残って気持ち悪いなと感じる小説があって残念ながら私には後者の方が大きかった。

私の理解不足なのかな、って思ったけれどいつももやもやが残りいい感じに終わる、そんな小説を期待していただけに残念なのだった。

3.登場人物のキャラはとてもよかった

いろんな千夜一夜物語と熱帯という本をめぐって、いろんな人が出てくるのだけれど、その登場人物はとても皆個性的でよかった。

いつも森見先生は、個性的な女性を登場させるのがとてもうまいと思う。

ちょっと不思議な感じの、サブカル世界にいるような、生真面目でコミカルな女性は相変わらず出てきて彼女のキャラはとてもよかったです。

あとそのほかの、不思議なたくさんのキャラクターはとても魅力的。

いや、本当になんだろう…期待してしまったせいか本当にこのキャラクター達がもったいなかったなぁという印象だった…ごめんなさい。

でもそれでも、森見先生は好きです。

ので、次回作に期待しようと思います!

なんだかんだいって、順調に本はよめているなぁ…そろそろ家に本棚がほしいところです。


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