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日本語は「事実」+「感情」を表す言語他の言語と比較してみよう。

言語の世界で行ったり来たり

猫ちゃんが行ったり来たり


私は、日本語を教える時も、自分が言語を用いる時も、
様々な言語間を行ったり来たりしています。

私が扱える言語は、日本語・中国語・英語の3つです。

私は台湾に15年間住んでいたし、台湾人の夫とも中国語で話しています。
なので、中国語で思考することも多いです。
また、英語が大好きでこの「言語」の世界に飛び込んだので、
現在も英語が大好きで学習を続けています。

日本語の授業は毎日あるので、もちろん日本語の世界にいる時間が一番長く、また探究心を持って日本語と付き合っています

そういう環境の中で、すごく感じることがあります。
それが、
日本語は「事実」+「感情」を表す言語である ということです。

そこを、私が日常的に使っている「中国語」と比較しながら、
以下で詳しく書いていこうと思います。



私は彼にペンを貸してあげました。 「事実」+「感情」



日本語例1:私は彼にペンを貸してあげました。 「事実」+「感情」
中国語例1:我借一隻筆給他了。「事実」
(私は彼にペンを貸しました

上記の例をそれぞれ見てください。
日本語でももちろん、
「私は彼にペンを貸しました。」と言うこともできます。
そうすると、「事実」だけを表しています。
場合や場面によって使い分けますね。
ここでポイントとなるのは、
中国語では、「事実」だけを表す言い方しかできない
ということです。


『彼にペンを貸してあげました。』「事実」+「感情」は、どんな感情を表しているの?

日本語学習者が初級で学ぶ、
「動詞のて形+あげます」は、
『相手のためにそうする』『相手のことを考えてそうする』という意味ですね。

ですので、
二人の関係性や場合によっては、
『感謝しなさいよ』という押し付けにもなります。

これは、敬語を学ぶ際に、

「貸してあげます」という言い方の「あげます」を尊敬語に換えて、
「部長にペンを貸して差し上げます」と言ってしまうと、
目上の人に対して『感謝しなさいよ」という「感情」までもプラスしてしまうので、失礼になる。

と同じ意味ですね。
目上の人に問う場合では、
「ペン、お使いになりますか。」
などというように、別の表現を使ったほうがいいですね。


『子どもを泣かせてしまいました。』「事実」+「感情」は、どんな感情を表しているの?

日本語例2:私は子どもを泣かせてしまいました「事実」+「感情」
中国語例2:我讓小孩子哭了。(私は子どもを泣かせた) 「事実」

同じく初級で習う「動詞のて形+しまいます(しまいました)」の文法。
意味は大きく二つあり、
一つ目は、後悔・残念な気持ち
二つ目は、完了

を表します。
上記の例文の使い方では、「後悔や残念な気持ち」を表していますよね。
中国語では、やはり「事実」だけを述べています。


日本語ペラペラの英語母語話者も感じている!


つまり、
日本語は使う人にとっては、意思疎通にとても便利
それだけ言えば、「感謝の気持」や「残念な気持ち」が直で伝わるからです。
その一方で、学習する段階ではかなり難しいところですよね。

私には、英語母語話者で日本語ペラペラな友人がいます。
彼女は、日本語の漫画を英語に翻訳する仕事をしています。
彼女が以下のように話してくれました。

日本語は、使えるようになると一つの文法表現を使うだけで、そこにもともと含まれている情報が多いから、相手との意思疎通でシンプルに表現できる。「私は子どもを泣かせてしまいました。」のような文を英語に翻訳する場合、後悔や悲しいという「感情」を他で付け加える必要もある

BY友人


授業でも、英語や中国語の訳が載っているテキストを使うことがあります。
気をつけなくてはならないこと。
それは、
日本語ではその「感情」の部分まで入っている文法を使っているのに、
訳にはそこまできちんと表現されていないことが多々あるんです。

学習者は母語の訳を見て、「はい、わかりました。」と言いますが、
それは大きな問題

特に、新出導入の文法がまさにその「+感情」の部分なのに、
訳ではそこが全く表現されず、「事実」止まりということがよくあります。

なので、教える時に教師側の我々が、
訳に頼らず、きちんとその文法や意味を理解させることがとても大事です!

今回は、
日本語は「事実」+「感情」を表す言語である。
言語の世界を行ったり来たりして、
他の言語と比較してみよう!
ということで、主に中国語と比較してみました!



誰かの
思考や日本語の授業のヒントになれたら、嬉しいです!


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