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15年台湾に住んだ私が思う日本と台湾 #2【台湾におけるLGBTQ+】

日本は【みんなで無理しよう】
台湾は【みんなそれぞれでいいよ】

BY染

これが、私が感じる台湾と日本の違い。

台湾の【みんなそれぞれでいいよ】を多角的に見てみる。

ということで、昨日の#1では、
1.ママも気楽に生きられる
について見てみました。



2.台湾におけるLGBTQ+


台湾では2019年5月24日、アジアで初めて同性婚を認める特別法が施行されました。台湾の合法化初年の同性婚件数は2939組でした。


2-1.私の周りのLGBTQ+


ここはかなり台湾と日本が違うところです!
台湾で私の周りには、
パッと思い出せるだけでも、5人くらいLGBTQ+の知人・友人がいます。
日本では、LGBTQ+の知人・友人は1人もいません
日本では、公表していない場合もあるかもしれません。それにしても、少ないです。


これは私の周りに限ったことではありません。

私の日本語レッスンを受けている学生さんたちとも、その話題について話したことがあります。どの学生さんに聞いても、皆さんの周りにも平均して5,6人くらいはいるようでした。

本当に「周りにいるのが普通」というのが、台湾の状況です。
一方、日本ではなかなか出会わないのではないでしょうか。

LGBTQ+がどのくらい身近であるかを表す、もう一つの話があります。

私のある学生さん・陳さん(仮名)が話してくれました。
陳さんは、台北に住んでいる50代前半の男性で、高校生の娘さんが1人います。

陳さんとも台湾のLGBTQ+の話になり、私が「陳さんの周りにもLGBTQ+の人がいますか?」と聞いたんです。そしたら、

たくさんいますよ。娘の同級生にもたくさんいるみたいです。台湾ではごく普通のことだと言えます。
どのくらい普通かというと、ご近所さんとか娘の同級生の親に、「あなたのお子さん、同性愛者でしょ?」と聞いて、その後普通に話が続けられるくらい普通のことですよ。

なるほどー。おもしろい。

まあ、台湾人はけっこう世話焼きというかお節介な人が多いです。なので、他人の家族・仕事・結婚・収入などなどについて、かなり突っ込んで聞いてくるというのがあるから、その辺りも出ていると言えるかもしれませんが。




2-2.あるフランス人同性愛者の自死が台湾社会を動かした


2015年に台湾大学のフランス人教授が自殺するという事件がありました。

彼は35年間、台湾人男性とパートナー関係にありましたが、パートナーが先に亡くなってしまいました。男性パートナーが亡くなったことで、このフランス人教授はアパートから追い出されました。

そして、パートナーとの最期、治療方針に家族としてかかわれず、精神病を患い、自殺に至ったのです。

これが、同性間の婚姻が認められないことによる悲劇として、大きな社会的反響を呼びました


もともと台湾は、LGBTフレンドリーではなく、日本よりも抑圧的だったそうです。警察による取り締まりが横行していたと聞きました。




2-3.オードリー・タン氏「おせっかいでうるさい価値観があるが、マイノリティーにも耳を傾ける土壌がある」


上で私も書きましたが、台湾人はおせっかいなんです。


トランスジェンダーを公表している、台湾IT大臣のオードリー・タンさん

タンさんについて、以前私も投稿しています。



タンさん曰く、

私の仕事は非常に明確で、様々な異なる立場の人たちに対して、共通の価値を見つけるお手伝いをすることです。
いったん共通の価値が見つかれば、異なるやり方の中から、みなさんが受け入れられるような新しいイノベーションが生まれます。

https://president.jp/articles/-/40845


もう一つ面白くてとても有名なエピソードがあります。

台湾ではコロナ禍で、中央感染症指揮センター(新型コロナウイルスの対策本部に相当)をいち早く設置。同センターは開設以来、土日も休むことなく毎日定例記者会見を開き、新型コロナウイルスの感染拡大状況を国民に伝えてきた。

インターネットのライブ配信だけでも毎日10万人以上が同時に視聴していたそうです。


ある母親からの悩みが、新型コロナウイルス対策のホットラインに寄せられたことがありました。

「自分の息子がピンクのマスクをしていたら、学校で笑われて恥ずかしい思いをした。」
少し説明を加えると、当時マスク不足で、その家族が購入できたマスクがピンク色しかなかったそうです。

その訴えを聞いた同センターの指揮官たちは、翌日の記者会見に全員がピンクのマスクをして臨みました。
そして、「ピンクは良い色ですよ」と報道陣に向かって語りかけたのです。

https://www.ys-consulting.com.tw/news/89432.html


その後SNS上では、多くの台湾企業や個人が起業ロゴやプロフィール画像の背景をピンクに塗り替えて、政府を支持する動きまで出てきました。これにより、誰もがピンクのマスクを受け入れるようになったのです。

https://www.pen-online.jp/article/003071.html


台湾でも「ピンクは女の子の色」というのがもともとありました。だから、前述の男の子は、ピンクのマスクをして学校に行ったら、笑われてしまったんですよね。

ですが、政府機関のコロナ対策指揮官の人たちが、こうやって公の場でわざわざ一家庭の男の子の悩みにもちゃんと答える。もちろんそれは、マスク不足を憂う国民の不満への対策とも言えるのですが。

そしてそれを企業や団体がサポートして、社会全体の雰囲気をも変えていく。

私は人と人とを区別する「境界線」は存在しないと考えています。
これは性別についても同じです。
(中略)
このように、台湾には寛容とインクルージョン(包括)の精神があります。「マイノリティの人たちが多数派に対して具体的な提案を行えば、多数派は喜んで耳を傾ける」という土壌が存在するのです。

https://president.jp/articles/-/40845?page=2



台湾の国土は日本の九州ほどです。また、人口は約2,340万人(2021年12月)ほど。

小さいからこそでしょうか、まだまだ隣近所同士の会話があります。お節介と思われるほど、他人のことに首を突っ込んできます。

でもこうやって改めて、台湾について調べ、見つめ直してみて気づいたことがあります。

それは、

他人ごとは自分ごと

BY染

そうやって思っているからこそ、他人の言葉にも耳を傾ける。そして多様性も受け入れる。

そういうお節介な人たちが創り上げている土地だからこそ、マイノリティーにも耳を傾ける土壌ができるのだと、私も改めて感じました。


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