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難病ALS治療の鍵となるか? 東北大学が明らかにした日本人患者の特徴

この記事は「SOD1遺伝子バリアントを持つ家族性筋萎縮性側索硬化症 (ALS) の特徴が明らかに -遺伝子治療の臨床応用に貢献する成果」をより多くの方に知っていただくため、専門的な内容をできるだけ身近な言葉で説明しています。正しい内容が知りたいという方は、元のプレスリリースをチェックしてくださいね。

みなさん、こんにちは!今回は、東北大学が2024年11月に発表した、とても重要な研究成果をお伝えします。この発見は、難病のALS(筋萎縮性側索硬化症)の治療法開発に大きな一歩になりそうなんです。というのも2023年、アメリカではALSの新しい治療薬が承認され、日本でも2024年5月に承認申請されました。今回の研究は、この新薬を日本人の患者に使う際に役立ちそうな情報なんです。では、内容を見ていきましょう。

そもそもALSってどんな病気なの?

ALSは、体を動かすために欠かせない「運動ニューロン」という神経細胞が、だんだん働かなくなっていく病気です。そのため、手足を動かしたり、話したり、食事をしたりする機能が徐々に失われていきます。国が指定する難病の一つで、効果的な治療法の開発が求められています。

注目の研究成果とは?

東北大学の研究チームは、160の日本人ALS家系を調べ、なんと49家系、56例で重要な発見をしました。具体的には、SOD1という遺伝子の変化(バリアント)が30.6%で見つかったんです。しかも、この中から2つの新しいタイプの遺伝子変化も発見!これは世界でも報告されていない新しい発見なんですよ。もっとすごいのは、見つかった遺伝子変化の中で、特に3つのタイプが全体の38.8%を占めていたこと。これは日本人のALS患者の特徴を示す、とても大切な発見なんです。

遺伝子で変わる症状の出方

上記以外にも研究で分かった興味深い点をあげると、SOD1遺伝子の変化がある患者さんは

  • 平均48.9歳で発症

  • 70%の方が足の症状から始まる

  • 症状の進行期間は平均64.7ヶ月

  • 多くの患者さんで、下位運動ニューロン症候が見られる(筋肉のやせ、ピクピクする感じ、反射が弱くなるなど)

  • 遺伝子の変化の種類によって症状の現れ方が大きく異なる

といった内容でした。

遺伝子の変化で症状も変わる!

それぞれの遺伝子変化によって、症状の出方が違うことも分かってきました。例えば、His47Argという変化では、足から症状が始まってゆっくり進むタイプ。一方、Leu127Serでは、遺伝子の組み合わせによって進み方が変わってきます。ただ、同じ遺伝子変化があっても全く症状が出ない人もいるようです。

待望の新薬

冒頭でも話したように、遺伝子治療薬の「トフェルセン」が、2024年5月に日本でも承認申請されました。この薬は、SOD1遺伝子から作られるタンパク質の量を減らすように設計されています。つまり、病気の原因となる遺伝子に直接働きかける、画期的な治療薬なんです!

今回の研究成果は、この新薬を日本人患者さんに使う際の重要な情報となります。それぞれの患者さんの遺伝子タイプによって、治療効果が違ってくる可能性があるから。

希望につながる発見

東北大学の研究で、日本人ALS患者さんの遺伝子には特徴があることが分かりました。この発見は、新しい治療法の開発につながる大切な一歩。一人一人の患者さんに、より効果的な治療を届けられる日が近づいているのかもしれません。これからも、治療法の開発に向けた研究の進展から目が離せませんね。引き続き注目していきたいです。

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