白銀の花、静かに降り積もる二度目の恋(後篇)

 クリスマスパーティー当日。

 新装開店したわんだほうに、いつもの顔ぶれが集う。クリスマスイブ独特の高揚感は、大人になった今でも変わらない。その中で一際、華やいだ声が響いた。

 「春田くーん!久しぶりー!」

 「蝶子さん!お久しぶりです!」

 マロとの結婚式以来なので、会うのは数ヶ月ぶりだ。

 「私も招待状を貰って来たの。ホラ、素敵なカード」

 春田にも届いた、深い紺色の美しいクリスマスカードだ。

 「すごく凝ったデザインで素敵ですよね〜。私、部屋に飾ってます」

 近くに居たアッキーも賛同する。どうやら女子受けするデザインらしい。

 「それは俺がデザインしたんです」

 低い艶のある声でさりげなく会話に混ざって来たのは武川の恋人、高村だ。スラリとしたモデル体型の男だが、甘いマスクにやわらかな物腰で、全く威圧感がなかった。狸穴とはまだ違った大人の男の色香がある。

 「初めまして。高村陽介です。武川の旧い〝友人〟で、フリーランスのグラフィックデザイナーをやっています」

 流れるような所作で名刺を取り出すと、それぞれに手渡した。

 「このクリスマスカード、素敵なデザインですね。とっても気に入ってます」

 アッキーが目を輝かせて言う。

 「ありがとうございます。これは狸穴さんに頼まれてデザインしたんですよ」

 「狸穴さんに?」

 仕事関係の知り合いだとは聞いていたが、狸穴と高村の関係性が掴めず、春田が素朴な疑問を投げかける。

 「天空不動産さんは大事なクライアントなんです。だから狸穴さんにも大変お世話になっているんです。今日は天空不動産第二営業所のメンバーの方々にお会い出来ると聞いて、参加させて頂きました。しがないフリーのデザイナーですからね、こうして営業を兼ねて顔を売ってるんですよ」

 物腰が低く謙遜した物言いではあったが、その言葉には裏付けされた自信が満ちていた。ひとつ間違えば傲慢とも受け取れる態度だが、落ち着いた艶のある声と独特な雰囲気に呑まれ、その場にいる誰の耳にもそれは心地良く響いた。 


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 宴は大いに盛り上がり、皆がほろ酔い気分になった頃、幹事の狸穴が声をかけた。

 「では皆さん、お待ちかねの寸劇を始めたいと思います。タイトルは『黒澤組VS狸穴組、仁義なき戦い』仁侠モノです。兄弟の盃を交わした二人の、美しくも哀しいストーリーです。配役は皆さんにお渡ししたプログラムをご覧下さい」

● 狸穴組 ●
組長…狸穴五郎
若頭…狸穴 迅
舎弟頭…高村陽介
● 黒澤組 ●
組長…黒澤武蔵
若頭…牧 凌太
舎弟頭…武川政宗

 「よっ!黒澤ー!」

 マロがここぞとばかりに盛り上げる。

 「タイトルからしてベタねぇ」

 蝶子はツボにハマったのかケラケラと笑い、いかにも仁侠モノというBGMが流れ、寸劇がスタートした。

 「なぁ、ジャス、若頭ってなんとなく聞くけど、コレって何?」

 春田はプログラムを指差しながら、隣のジャスに疑問を投げかけた。

 「これは〝しゃていがしら〟ですよ。上から順に偉い人です。若頭は組長に次ぐ実力No.2で、舎弟頭は幹部クラスです」

 「へ〜良く知ってんなぁ〜」

 「ニンジャ、ニンキョウ、ゲイシャ。ジャパニーズ・サブカルチャーは海外で人気があるんです」

 あらすじには『明日を約束されていない殺伐とした世界で、組の跡目として期待され常に嫉妬と好奇の目に晒されている若き雄才と、その右腕として影で彼を支える男との深い絆を描いた物語である』と書かれていた。


❄️


 物語は終盤に差し掛かり、今日一番の盛り上がりを見せていた。

 「黒澤の、お前んとこの若頭さんがうちのメンツを丸潰してくれたらしいの」

 「さあな、一体なんの話だ?」

 「とぼけるんじゃねぇ。迅、説明しろ」

 「はい。黒澤組長とそのおつきの方々、お初にお目にかかります。私、狸穴組の若頭を務めさせて頂いております、狸穴 迅と申します。丸潰れにされたというのは、ファイブスターのことですよ」

 「ファイブスター?例のドラッグか」

 「そうです。黒澤組長、忘れたとは言わせませんよ。瀬川組と暗に進めていたドラッグビジネスの芽を、そちらの麗しき若頭さんに潰されたんです。噂では大層、腕っぷしが良く頭も切れるお方だそうで」

 「その話なら瀬川組の組長と話がついているはずだ」

 静かに牧がそう返す。

 「フ…瀬川組?その瀬川組は狸穴組と盃を交わし、兄弟の関係になりましたよ。チャイナに横流しするシノギが減って、瀬川組の人間は大変な目に遭いましたからね。一人や二人、海に沈んだんじゃないですか。こちらもその尻拭いをさせられて大損失を被りました。で、若頭さんはこの落とし前をどうつけて下さるんでしょうね」

 少々オーバー気味な言い回しではあるが、普段から人前で話すことに慣れている狸穴は堂に入っていた。招待されているメンバーは彼の迫力ある演技に圧倒されてしまう。

 「ここは若頭のタマで帳消しとしましょうか。高村、殺れ」

 ことさら低い声で狸穴がそう指示すると、静かに高村がピストルを構えた。と同時にそんなことは日常茶飯事とばかりに、武川が牧の前に立ちはだかった。

 「どけろ、武川」

 牧は顔色ひとつ変えず、冷ややかな声で武川に命じる。

 「いえ、ボンとオヤジをお守りするのが俺の役目ですから!」

 その言葉には一点の曇りもなく、全てを投げ打つ覚悟が見て取れた。

 「いいからどけろ!」

 「高村、殺れ」

 パーン!パーン!パーン!

 乾いた銃声が鳴り響き、牧を庇った武川がその場に崩れ落ちた。

 「武川ー!」

 前のめりに倒れ込んだ武川を牧が抱き起こすと、すえた火薬の臭いがした。

 「おい!武川!」

 牧にそう呼びかけられると武川は苦しそうに顔を歪め、ゴフッと咳き込んだ。口元が赤く染まり吐血したのだとわかる。武川は牧の腕を強く握り締めると弱々しい声で告げた。

 「ボンが…無事で…ハァ…良かっ、た…」

 「武川!俺を置いて逝くなー!」


 どんどんボルテージが上がって行くメンバーとは対照的に、マロが半笑いで隣に座っている蝶子に耳打ちした。

 「ちょっ…展開超早いッスね。これが昭和クオリティーってヤツですか?」

 間髪入れず、蝶子の鉄拳が飛ぶ。


 「ボン…俺は……ハァ…ハァ…今まで一緒に過ごせて…し…」

 「武川ぁぁぁー!」

 牧は武川を強く抱き締め叫んだ。ダラリと武川の腕が力なく垂れ下がる。悲しげなBGMが流れ、牧の慟哭が響く。

 ここからいよいよ黒澤組の報復が始まり、怒涛のクライマックスを迎えるという場面で、狸穴の後ろに佇んでいた高村が急に飛び出した。彼は無言で牧の腕の中から武川を奪い取ると、そのまま熱烈なキスをした。「キャー!」という女性陣の黄色い声が響く。

 「高村!ちょっ、おい!お前なにやって!」

 狸穴が叫ぶ。

 「なんてこった!」

 黒澤も叫ぶ。

 「ホント最期に…良かったわねぇ…うぅ…」

 蝶子はハンカチで目頭を押さえて泣き崩れ、マロはとりあえず盛り上げる。

 「よっ!高村!」

 一体何が起こったのか分からない牧はその場で固まり、展開について行けない春田は「え?なに?どういうこと?!」と周囲に尋ね、ジャスは「これがジャパニーズマフィアってヤツですか?!あがるぅぅぅー」と目をキラキラ輝かせていた。

 一方、いきなりキスをされた武川は、高村を全力で引き剥がすと、顔を真っ赤にして叫んだ。

 「陽介!!」


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 キネマの天地が流れる中、寸劇は大盛り上がりで幕を下ろした。

 「まぁーラストは無茶苦茶だったけど、迫真の演技は良かったんじゃねーか?いやぁーいい作品になりました!皆さん、ありがとうございます!」

 鉄平が満足げに言う。

 「それはそうと、こんな熱烈なキスは春田の送別会以来だな」

 「え?なんですか?それ」

 狸穴が興味深々といった顔で鉄平に尋ねる。

 「あー!!もうそれはいいです!今日はもう遅いんで、片付けはまた後日ということで。じゃ、解散!皆さん、お疲れ様でした!」

 牧はそう捲し立てると無理やりお開きにした。

 「俺、薫子さんが待ってるんで、お先に失礼しまぁす!」

 ジャスは勢い良く敬礼をして踵を返す。

 「俺は、蝶子と帰ります✨」

 「何カッコつけてんのよ。それじゃぁ皆さん、少し早いけど良いお年を〜」

 マロは蝶子の肩を抱いてエスコートすると、軽やかな足取りでわんだほうを後にした。

 「俺たちは明日の仕込みもあるし、な、マイマイ」

 「ウフフ。じゃ、そういうことで。皆さーん、良いお年を〜」

 その隣で誰に聞かれるでもなく、ちずが口を開く。

 「べ、別に誰かと一緒に過ごすのがクリスマスってわけじゃないし!って言っても何の予定もないんだけどさぁ」

 「しょーがねぇーなぁ。兄ちゃんが一緒に居てやるよ」

 「もちろん私も♡」

 「え?なんかお邪魔虫なんだけど。んじゃあ、お言葉に甘えて。私はこのままアニキたちを手伝います」

 それぞれが仕舞い支度をしている中、狸穴が武川に声をかけた。

 「じゃあ、武川さん、これから店を替えてご一緒にどうで…」

 「生憎、政宗は俺と先約があるんで、失礼します」

 「っおい、高村っ」

 武川は急に腕を引かれてバランスを崩したが、高村に受け止められる形で抱きすくめられた。実に分かり易いマウントの取り方である。

 「いやぁ、これは野暮だったかな〜。じゃぁ黒澤部長!ご一緒に!」

 「おお!付き合おう!」

 「俺は誘わねえのかよ」

 「フ…じゃあ、親父も」

 「俺たちもうちに帰ります。皆さん、お疲れ様でした〜」

 そう春田と牧も皆に挨拶を済ませると、わんだほうを後にした。


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 「お前、なんであんなことをしたんだよ」

 わんだほうから自宅へと向かうタクシーの車内で、武川が隣に座る高村に向かって言った。高村は運転手に声が届かぬよう、武川の耳元でそっと囁いた。


 「たとえ芝居でも、お前が誰かに想いを寄せていながらそれを秘めて逝くシーンを見ていたら、そんなの我慢できる訳ないだろ。それが昔の男ならなおのこと」


 「……!!」


 高村の的確な指摘とストレートな愛情表現に返す言葉が見つからず詰まってしまう。カッと顔に血が昇るのを感じ、慌てて視線を逸らした。高村の前では武川はいつもこんな調子だ。


 「それにお前が俺のことを〝友人〟として紹介しているから、ちょっとした仕返しってとこだな。むしろいい機会だったじゃないか」 

 高村は全く悪びれた様子もなくさらりと言ってのける。

 「だからってお前、あんなやり方で…」

 「なあ、政宗。お前は花吐き病を知ってるか?」

 武川の言葉を遮り、高村が唐突に切り出す。


 「あ?なんだ、いきなり。花吐き病?病気なのか?」


 「ん、まあ、架空のな。そういう小説が一時、ネットで流行ったんだよ。若者の流行を掴むのはマーケティング戦略の定石だからな」


 花吐き病関連の作品は若者を中心に人気があり、小説から映画化、関連書籍発売と、一通りのメディアミックスを展開した。高村はそのプロジェクトメンバーのひとりとして、外部から参加したのだ。

 「とある少女が青年に恋をした。だが、それは決して許されぬ恋で、その青年を想うあまり少女は花吐き病にかかってしまう。花吐き病は不治の病だ。片想いの人を想い焦がれるあまりその想いが抑え切れなくなると、口から血のような赤い花弁を吐き出すようになる。言葉を喪い、食事も摂れず、やがて衰弱して死んでしまう。そんな奇病」


 武川はかつての自分に重ね、黙ってそれを聞いていた。


 「お前が吐血した場面…ま、実際はケチャップだが、あれはまるでお前の口から零れ落ちた花弁だなぁと。まあ、俺から見れば退廃的な色気があって愉しめたがな」


 「バッ!」


 「ははは、まあ、そう怒るな。この話にはまだ続きがある。永遠に届くと思っていなかった少女の想いは青年へと届き、彼と両想いになった瞬間、彼女の口からは白銀の桜の花弁が零れ落ちる。実は花吐き病は相手に想いが通じると白銀の百合を吐き出して完治するらしい。そして二人は永遠の愛を誓いハッピーエンド。なかなかロマンチックな話だろ?」


 「少女が吐き出したのは、なぜ桜の花弁なんだ?」


 「さあね、よほど桜に思い入れでもあったんじゃないか。どのみち現実の世界では白銀の花など存在しないのだから、その方が日本人の心に響くと思ったんじゃないか」

 高村はおもむろに鞄から一枚のクリスマスカードを取り出すと、それを武川に手渡した。

 「このクリスマスカードの雪は、恋が叶った恋人たちの白銀の花弁なんだよ」

 「そうなのか?」

 高村がそっとカードを指差す。武川は何事かとその先に視線を向けると、そこには雪の結晶ではなく白銀の花弁が空を舞っていた。


 「そうじゃなきゃ個人的な狸穴さんの依頼を俺が受けるわけないだろ。他のカードは雪の結晶だが、この一枚だけはデザインが違うんだ。これはお前のために作ったんだよ。指輪の代わりにしては、なかなかの趣向だろ?」

 そう高村は甘く囁くと、武川のしなやかな指にそっと手を乗せ、そのまま柔らかく包み込んだ。

 「全く…詩人なんだか、仕事熱心なんだか」


 「ん?惚れ直したか?」


 顔を覗き込んで面白そうに微笑みかける高村は、惚れた欲目を差し引いても魅惑的だった。どう言い逃れしようかと一瞬、武川は考えを巡らせたが、あっさりと白旗を上げた。ゆっくりと穏やかな笑みを浮かべると、高村の手を強く握り返した。


 「ああ、全くお前はいい男だよ」


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 「あ、雪」


 「ホントだ。今年はホワイトクリスマスですね」


 春田と牧は家へと向かう足を止めて、昏い夜空を見上げた。「ふわぁ〜」と嬉しそうな声をあげている春田に牧が声をかける。


 「ダッフル、似合ってますね」


 紺色のそれは闇に溶け込むイルミネーションの光に映えて、まるで彼の一部のように馴染んでいた。牧の瞳は寒さで少し潤み、鼻の頭もほんのりピンク色に染まっている。冷え込みが厳しい深夜過ぎ。それでも春田の心は温かく綻んでいた。


 「凌太が選んでくれたから」


 本人ですら忘れていたことを言われ、牧は照れ臭そうに笑うと「行きましょ」と小さく零し春田の少し前を歩き出した。それは彼の照れ隠しだと分かる。流石の春田にも分かるようになった。春田は牧の腕を掴むと「手、繋いで帰ろう?」と真っ直ぐに伝えた。


 「はい」


 ある夏の夜にも牧は春田にそう言われた。その時は恥ずかしくないのかと抵抗した。それも今では些細なことのように思える。


 それぞれの想いを胸に、白銀の花は愛しい者たちにやさしく降り積もる……。


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画像1

 →右から読むと牧の武川さんへの想い
 →左から読むと武川さんの高村への想い




✨❄️ Merry Xmas ❄️✨




 あとがき(長いです)

 公式が冬の話を作ってくれなかったので捏造しました。大事なことなので二度言います。公式がクリスマスという恋人たちの一大イベントを、天空メンバーでドラマ化してくれなかったので、ついカッっとなって書きました。これで一通りの季節を書き終えたのでとても満足です。

 とにかく楽しく書きました!実はこれはヤクザモノパロ、天高くシリーズの続きものとして温めていたネタです。それがなかなか展開するのが難しくて断念。今回、天空不動産のメンバーが成り代わり、高村にキーパーソンになって貰って実現出来ました(ほら、春田じゃ無理だから笑)。感無量です✨

 花吐き病のことは花屋の高村に言わせようと思っていたので、だいたいの流れは同じです。ヤクザの配役もそのまま、ファイブスターも天高くシリーズに出て来たドラッグの事です。BL的なんちゃってヤクザなので、色々細かいことはお許しを。咄嗟にケチャップを仕込む武川さん、出来る男です笑(寸劇がコント仕立てなのはご愛敬)。

 新装開店わんだほう、どんだけ広い店なんだって話ですよね笑。鉄平兄がバンドの練習をするために小さなステージがあるんですよ(という裏設定)。図らずもやさしい夜に、君ととリンクする形となりました。うちの天空メンバーこんなことばっかり笑。

 高村はずっと狸穴さんと仲良く喧嘩してて欲しいです。色気のある大人を書くのは楽しい。そして武川さんはポンコツ気味で、ずっと高村に振り回されてただひたすら愛されていて欲しい。タクシーの中でイチャイチャすんなよって感じですね。運転手さん大変。すみません、自分が楽しいだけなんです。二人はセレブなのでタクシーで帰宅。どちらかの部屋で甘い夜を過ごしたんじゃないですかね笑。

 自分は過激派ではないですが、どうしても牧には春田という未来しか描けず、武川さんの中で牧は大切なの存在のまま、牧もまた、武川さんの存在が大切なまま、新しい恋へと踏み出す武川さんが(本当は公式で)見たかったんです。

 ちょっとポンコツで笑うと目尻に皺が寄るのも愛おしくて、スパダリじゃない可愛い武川さんがありのままの姿で受け入れられる場所と、手に入れた小さな幸せと、それをまた祝福してくれる牧や天空不動産のみんなと、そんな未来しか描けません。たったそれだけのことを望むことはそんなに罪ですかね。

 春田と牧は相変わらずな感じです。キラキラデートで手を振り払った春田が、Revivalで牧と手を繋いで帰ろうと言い、炎の告白ではしっかりとその手を取り、今作では牧も抵抗しません。ゆっくりだけれど、確実にその絆は深く確かなものになっています。牧が選んだ春田のダッフルは運る命で選んだ物です。

 最初は牧→春田だったものが春田→牧となり、やがて牧→←春田となって往く過程を描きたかったのです。恋にもパワーバランスがあって、どちらかが強過ぎるとバランスを崩してしまう。そして人は愛によって育ち変わって往くもの。そう思うのです😌

 過去作に散りばめた伏線が回収出来て、そりゃーもう楽しかったです。ずっとふわふわしていたくて、ギリギリまで加筆修正をしていました。自分の中では画が動いていますが、ぜひ実写化して欲しい笑。これもかなりお気に入りの作品になりました。ちなみに1位は天高くシリーズ、同率で青い空と珈琲シリーズ、3位が白銀の花です。ほぼ、武川さんメイン笑。どんだけ好きなのって話です。

 文体が気に入っているのと、武川さんと牧との関係性と、深く傷ついた大人(武川さん)が再生する姿が好きなのです。元々オヤジスキーで、おっさんずラブも武川さんのナカノヒト目当てで見たのが始まりなので。

 個人的にキスはおろか、ハグすらなくてもいいんです。春田にも、牧にも、武川さんにも、ただ笑っていて欲しい。今回手を繋ぐシーンが2カップルともに出て来ますが、手を繋ぐという行為は神聖で大きな意味を持つものだと思っています。キラキラデートの時と、炎の告白の時の手の演出の対比は素晴らしかった。2021年からAmazon primeで劇場版も観られますね。新規さんが増えるといいなぁ。

 おっさんずラブに出会うまで、自分がこんなにSSやテキストを書いたり、レジン作品を作るとは思っていませんでした。反応を頂けるのが大変嬉しく、ずっとそれを励みにやっていました。ひとまずはここで区切りをつけますが、また、何か出来たらお披露目します。閲覧して下さった方々に最大級の感謝の気持ちを込めて💐


 皆さま良いクリスマスをお過ごし下さい😌



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