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スマホはiOSかAndroidではなく、アメリカか、中国かに分かれていく

インターネットは、これからアメリカ率いるクリーンネットワークと中国のおなじみグレートファイアーウォールの2つの世界に分かれていくことになりそうです
そしてこれは私たちが毎日使っているスマホやアプリも、2つのどちらに所属することになるのかもしれません

1.いよいよアメリカの中国排除が本格化

ここのところ、TikTokに象徴されるスマホアプリサービスにおいて、トランプ大統領率いるアメリカ政府による、中国外しのニュースに事欠きません
さらには運営企業との取引の禁止であったり、あろうことか買収した金額からマージンをせしめようみたいな話まで・・・。

Donald Trump(ドナルド・トランプ)大統領は大人気ソーシャルビデオアプリTikTokのオーナーである中国のByteDance対してに、同社からの売却を命じる計画を立てているようだ。このアプリは親会社が中国の企業であり、米国のセキュリティ上の懸念の対象になっている。
この報道に続いて話題になっているのは、米国などの国々でもユーザー数が多い中国のソーシャルネットワークサービスをMicrosoft(マイクロソフト)が買収する商談を行っているというBloombergやThe NewYork Timesの報道だ。TikTokは中国では利用できず、中国のユーザーは代わりにByteDanceが所有する類似アプリであるDouyinを利用している。
米国のハイテク業界観測筋は、TikTokの禁止で大統領令を発出するまでにいたったDonald Trump米大統領の動きにばかり気を取られ、テンセントの提供する「WeChat」の禁止がどのような事態を招くかという点について、さほど時間をかけて考察していなかった。 これに関して、Apple関連情報に詳しいアナリストのMing-Chi Kuo氏がその影響を試算し、禁止令が発効すれば「iPhone」の売上高が世界全体で最大30%減少する可能性があると予測している。また他のApple製品の売上高も、最大25%減少する可能性があるという。
Donald Trump米大統領は米国時間8月6日、動画アプリのTikTokを保有する中国の字節跳動(バイトダンス)との取引を禁止する大統領令を発した。
トランプ政権の5本柱から成るClean Network(クリーンネットワーク)イニシアチブは、中国のスマホメーカーが米国のアプリをプレインストールまたはダウンロードできないようにすることを目的としている。米国の制裁によりHuaweiはすでにGoogleの主要サービスへのアクセスを失い、これにより中国外でのスマホ販売は大打撃を受けている。もしクリーンネットワークが適用されれば、OppoやVivo(ビボ)、Xiaomi、その他の中国スマホメーカーもHuaweiと同じ苦しみを味わうことになる。
ビデオ会議サービスのZoomが、中国の顧客への直接販売を近く中止することを明らかにしている。同社のサービスを継続的に利用したい中国の顧客は、現地のパートナー企業を通じて利用することになる。

アメリカでは、TikTokをはじめとした人気アプリが使えないどころか、
その企業とも取引を禁止されるなど、全面排除に向けて着々と進んでいます

トランプ米大統領が中国の北京字節跳動科技(バイトダンス)傘下の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」に迫っている米国事業売却に関して、自ら前代未聞の要求を突き付けた。売却益の「分け前」を米政府が得るべきだというのだ。

“分け前”はさておき、いわゆるTikTokなどのスマホアプリにおいても、米中関係が色濃く影響を受けざるを得なくなったということは明らかなようです

2.実は中国の方が優位になってきている面も

一つの見方かもしれませんが、
中国企業のテクノロジー面での優位性といったところも無視できません
具体的に言っても、あれだけTikTokが流行るのは、AIによるレコメンドから、スマホに特化したUIまで、他のSNSや動画アプリに比べても、かなり優れているからだという点は否めません。

アメリカは、ファーウェイに何か問題があるから叩いているのではない。ファーウェイが、アメリカのレベルを超えてしまったから叩くのだ。彼らはファーウェイの力を弱体化させ、アメリカの監視下に置かないと気が済まないのだ

TikTokより前に同じくアメリカから批判されたHuaweiスマホをみても、
スマホ単体のスペックで言えば世界最高レベルであることは確かです

ブロックチェーンの都が次の段階に向かうのは間違いない。香港情勢次第では、海南省の貿易の自由はさらに拡大するかも知れない。北京、上海、香港に加え、海南省までウオッチする必要が出てきた。

ハードで言えばHuaweiスマホ、ソフトで言えばTikTokを筆頭に、
はたまた対コロナ対策、さらにはこれからのブロックチェーンまで、
中国の進化は無視できないものがあります

3.フラット化した世界は本当に2分できるのか

ウィズコロナ、アフターコロナの中で、ますます世界はデジタル化、オンライン化が進みます。単にアプリやスマホの世界に止まらず、2極化、分断化は現実の世界をも巻き込みながら、大きく進むことになります
所属するネットワークが異なれば、お互いにやりとりすることも、シェアすることももちろんできません
ジョージ・オーウェルの「1984」では核戦争が起きて、世界は3つの国に分割されてしまったのですが、
現実世界では、戦争などなくたって世界は分割されてしまうのです

・アメリカが先ごろ発表した計画は、中国国内の人々がほとんどのアメリカのウェブサイトやアプリにアクセスできないようにしている中国の「グレート・ファイアウォール」に対抗している。
・この発表がテック業界を揺るがす一方で、シリコンバレーのリーダーたちは、かなり前からWWWが分断されて「スプリンターネット(splinternet)」化することに警鐘を鳴らしてきた。
最終的に、今回の大統領令はデジタル界のさらなる分裂を加速することになる。ヒューマン・ライツ・ウォッチの王は、「インターネットの二分化が進み、情報通信分野におけるふたつの並行世界の形成がますます顕著になっている状況です」と語る。
いままでのブロック圏経済は、言うまでもなく米ソ対立で冷戦下は特にドル決済圏とルーブルその他決済圏とで分かれておったわけですけれども、新しい米中対立はさらに「データをどこに置くか」で対立軸が決まるという点が新たな論点になるんだと思います。日本の場合はいうまでもなくアメリカ側につかざるを得ない前提ですので、アメリカの「クリーンネットワーク」陣営に入れてもらうために法律を作り中華資本をICT関連からパージしましょうという流れは加速することになります。

一方で、これはハードの面でも同じことが進んでいます
たとえばiPhoneはこれまでは中国で製造されるというのがもっぱらでしたが、その実態も変わりつつあるようです

依然として中国での生産割合が高いとはいえ、リウ会長は「インドでも、東南アジアでも、アメリカでも、どこにでも製造エコシステムは作れる」と自信を示し「もはや、中国は世界の工場としての役割を終えた」と語っています。

たとえば今後中国内で販売するiPhoneは中国で。
でもアメリカなどそれ以外で販売するiPhoneは中国外で製造するという世界になるのでしょう。
そのときに2つは同じiPhoneと呼ばれるのかどうか、誰もわかりません

もはやスマホはiOSかAndroidかといったOSベースの話ではなく、
グレートファイアーウォールにつながるスマホなのか、
クリーン・ネットワークにつながるスマホなのかで語られる時代になるのかもしれません

もちろん一足飛びに2つの分断の世界が訪れるわけではありません
世界はあまりにフラットに複雑に絡み合っています

ブラッカーがTikTokの有力な競合としてあげるのが、「Likee」と呼ばれるアプリだ。Likeeの米国でのダウンロード数は、ここ数カ月で2倍に伸び、トリラーを上回っている。
ここで注目したいのは、Likeeもまた中国企業のアプリだという点だ。このアプリのリリース元はBIGO Technologyとされているが、運営元は米国のナスダック市場に上場する中国企業のJOYY(旧社名:YY)だ。JOYYはライブ動画プラットフォームのYYで知られる、バイトダンスの競合企業だ。

フラット化はある意味で経済の必然の流れ。当然ながらおもしろいアプリは世界中から飛びつくわけです
また安い労働力は世界中から引く手あまたというのも一つの真実です
フラット化とそれに反する2極化の相克はしばらく続きそうです

4.世界の2極化を象徴するのが普段使っているスマホ

2極化の象徴が、私たちが手のひらの上で使っているスマホです
これまではiOSかAndroidで語られて、それでもお互いのやりとりはできたわけですが、今度は、アメリカのスマホか中国のスマホか、アメリカのアプリか中国のアプリかの2つの世界に分かれていくことになります
しかも互いに別の世界のスマホ、アプリ、ユーザー同士は交流もできません

スマホメーカー、ソフトメーカー、プラットフォーム、国家、そして私たちの日常レベルまで大きく影響する話になっていきます

アメリカ主導の中国アプリ排除の動きには、安全保障上のリスクに対する懸念だけでなく、アメリカ企業のシェアを食おうとしている中国企業の力をそぎたいという思いも垣間見える。
その動きは中国企業のグローバル戦略に抜本的な見直しを迫るとともに、日本企業や日本人にとっても、経済上の損失をもたらす可能性は大きい。日本のサービス業は中国人消費者向けに、中国モバイル決済の導入を拡大してきた。それらが使えなくなったとしたら、数年間の投資も無に帰すこととなる。

果たして私たちが毎日肌感覚で使っているスマホはどうなるのでしょうか?
仮にアメリカワールドをTwitter、Facebook、Google、Instagram、さらにはMicrosoftのOfficeアプリ…
中国ワールドとしてTikTok、Weibo、Whchat、ここにZoomを入れる?
その他としてはLINE…さらには日本の支払いアプリのPay Pay、メルペイ…
これらが一つのスマホに混在することができなくなったとしたら…

現状でいえば、日本はアメリカワールドにならざるを得ないでしょう
一方で、中国スマホ・アプリの世界は厳然と一つの別世界を築いていく
そしてお互いに同じソフトを使って通信することもできなくなってしまうのかもしれません
これから個人が持つスマホはどっちに?子どもたちのスマホはどっち?会社から支給されるスマホはどっちになっていくのでしょうか

そして、まさしく今がそうなのですが、両者ごちゃ混ぜの混在ワールドもおそらく存在すると思います

私たちが、分割された世界でどのように振る舞うべきなのでしょうか
どちらかの世界に安住するべきなのか?それとも2つの世界をある意味俯瞰し、ある意味渡り歩き、さらに遠くに飛躍できるのでしょうか

単純な方法の一つは両方の世界のスマホを使うことでしょう
そして、片方の世界のみに安住することなく、

両方の世界の情報を入手し、両方の世界の住人になることかもしれません

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