見出し画像

温泉ワーケーションだから確保したい「脱デジタル時間」

私も含め、多くのビジネスパーソンにとって、スマホやPCはなくてはならない存在である。もしスマホを家に忘れて出勤したら、心許なくて、一日中そわそわしてしまうのではないだろうか。

しかし、スマホやPCを通じてネットにつながっている私たちは、つねに仕事や人間関係といった「何か」に縛られている。それは、知らず知らずのうちにストレスとして蓄積されているかもしれない。

そこで、温泉ワーケーションのあり方のひとつとして、あえてスマホやPCと距離をとる、つまりデジタルデトックスを実践することをおすすめしたい。

「業務をしていない=休んでいる」という勘違い

あなたは本気で休んでいるだろうか?

「もちろん休日はある」と反論されそうだが、本当に、その休日にしっかり休息をとれているだろうか? 休日でも仕事のメールの対応したり、SNSのやりとりに明け暮れていないだろうか。必要以上に家族サービスをして疲弊していないだろうか。

平日休日問わず、ふだんの生活の中にも、何もせずにだらだらしている時間はある。「だから休んでいる」という人もいるかもしれない。

しかし、スマホをいじっていたり、テレビを見ていたり、ゲームをしていたり、結局、有意義なことをしていないだけで、「何か」をしているのではないだろうか。それは日常の延長でしかない。

日常から離れた空間で、何もすることなく、時が流れるのに身を任せ、自分自身の電源をオフにする時間。私は、これを「空白の時間」と呼んでいる。

私もそうだが、多くのビジネスパーソンは、「業務をしていない=休んでいる」と勘違いしているように思える。休むとは、業務をしていない時間ではない。「空白の時間」を過ごすことだ。これこそが「本気で休む」ことだと考えている。

日常生活の中で、この「空白の時間」を手に入れるのはきわめてむずかしい。忙しいビジネスパーソンはつねに仕事のことを考え、臨戦態勢。疲れて家に帰っても気が張っていて、本当の意味で「休む」ことはできない。休日も仕事のことや考えたり、家の雑事に時間を費やすことになる。

忙しいビジネスパーソンこそ、本気の休息、すなわち「空白の時間」が必要だ。

温泉でつくる「空白の時間」

そこで、温泉の出番だ。温泉地に行き、ただただ湯と向き合う。スマホを手放して仕事と人間関係のスイッチを切る。そうすることで、本物の「空白の時間」をつくることができる

「空白の時間」を得ることは、心と体を整えることにもつながる。ストレス過多の現代社会では緊張や興奮をつかさどる交感神経ばかりが活性化して、リラックスのための副交感神経がうまく働いていないケースも多い。

温泉でただただリラックスして副交感神経を十分に働かせる。そうすれば自律神経のバランスがよくなり、心身ともに「整う」。

せっかく「温泉ワーケーション」に出かけるなら、温泉を利用して「空白の時間」をつくり、心身を休ませることを選択肢に入れてもいいだろう。

もちろん、ワーケーションである以上、しっかり仕事もする。しかし、仕事をしていないバケーションの時間帯では、「空白の時間」の創出に専念するのだ。

「脱デジタル」の時間をスケジュールに組み込む

「空白の時間」をつくり、本気で休むためには、スマホやPCから距離をとることが欠かせない。そのため、仕事モードでないときは、「スマホを見ない」「PCを開かない」といったルールを決めるといいだろう。「脱デジタル」の時間をワーケーションに組み込むのである

意図的に「空白の時間」をつくるポイントは、ネットやSNSにつながらない時間を決めること。手持無沙汰から見てしまわないように、可能であればスマホなどのツールの電源も切ってしまいたい。

たとえば、4日間のスケジュールで「温泉ワーケーション」をするなら、前半の2日間はしっかり仕事をして、後半の2日間はデジタルデトックスをしながら「空白の時間」を過ごす。

あるいは、仕事とネットにつながるのは午前中だけで、午後からは温泉に入りながらデジタルデトックスをするのもいいだろう。

「スマホ圏外の宿」でワーケーション

デジタルデトックスに重きをおいた「温泉ワーケーション」にしたいのであれば、スマホ圏外の宿に滞在することも選択肢のひとつだ。

ネット環境がないとワーケーションが成立しないケースは難しいが、「インプット中心の滞在にしたい」「じっくり考えることに集中したい」「本気で休息をとりたい」という人にとっては、絶好の環境となる。

たとえば、青荷温泉(青森県)はランプの宿として知られ、スマホの電波はおろか、電気も通っていない。当然、テレビもコンセントもない。風情のある浴室とピュアで透明な源泉もすばらしく、人間関係をはじめさまざまなスイッチをオフにするにはもってこいの環境である。

そのほか「日本三秘湯」のひとつである谷地温泉(青森県:ロビーでのみWi-Fi利用可)、トロッコ電車でしかアクセスできない黒部峡谷の黒薙温泉旅館(富山県)などもスマホ圏外の宿である。

ワーケーションの半分の期間はネットができる温泉宿に滞在し、もう半分はスマホ圏外の宿に移動するといった設計にしてもいいだろう。

圏外ではないが、近年では「スマホ断ち」をサービスとして取り入れている宿もある。星野リゾートが展開する「星のや」は、「脱デジタル滞在」をテーマにしたプランを提供している。

宿泊者はチェックインと同時にデジタル機器を宿に預け、自然の中の散策や乗馬などを体験する。デジタル機器を受け取るのはチェックアウト時だ。人気リゾートホテルでこのようなサービスが提供されているのは、一定のニーズがある証しだ。

「空白の時間」は非日常の温泉地だからつくれる。オンとオフの切り替えをきっちり行うワーケーションは、きっと生産性も高まるはずだ。


サポートいただけたら大変ありがたいです。サポートは温泉めぐりの資金とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。