見出し画像

旧友からの連絡

ピロン!

スマートフォンの通知音が久しぶりに鳴った。
もう着信もLINEも会社からしか来ないから、普通の人(?)から連絡が来るのは本当いつ以来だろう。

「久しぶり!◯◯中で同じやった、角野やで!」

メッセージにはそう書かれていた。

角野。
小学校の頃に、数回だけ他の友だちと混じって遊んだことがある。
中学校に上がってからは、全くといって絡みがなかった。

バレー部のエースだった彼は、僕とは真逆の人物で、THE陽キャを体現していた。

そんな彼が一体僕に何の用だろう?

「博人から連絡先教えてもらったんやけど、合ってる?」

他人から連絡先を教えてもらってまで、メッセージを寄越して来るなんて、これはきっと同窓会やそれらの類いの連絡に違いない。

角野。
高校は別々になったから、実に15年ぶりのやり取りになる。バレーの特待生として、他県の強豪校に進学し、ファンクラブも存在していたと噂されている。

こんな陰キャの僕にまで、ちゃんと連絡をしてくれるなんて、なんて彼はイケメンなんだろう。

「俺、◯◯生命で働いてて、みんなに話を聞いてもらってるんやって!押し売りとかそんなんせんで、後日1時間だけ時間もらえんかなと思って連絡してん!」

◯ね(直球)

いや、勝手に期待してた俺が悪い。
これは角野に罪はない。

でもね、悲しかったよ。
僕のことをあてにしている角野も。
連絡先を勝手に教えて博人も。

角野。
俺は限界独身アラサーだ。
お前は営業相手を間違えている。

角野には「すまないが役に立てそうにない」と連絡した。

「いきなり連絡してごめん」と返ってきたメッセージに「同窓会の連絡ならいつでもウェルカムやで!」と返せたなら、きっと僕はこんなはずじゃなかったんだろうな。

少しずつ、前に進んでいきたい。

おわり