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【超短編】ウダネ村には、猫はいない

 この張り紙、あなたがしたのですか?
 見つからないかもしれませんよ。あなたの猫。
 
 外飼いですか? 室内飼いですか?
 えっ? 室内飼いで、時々外に出す?
 
 あっそれはもう探しても無駄です。
 やめなさい。
  この村では猫は見つからないです。
 いったん消えたら……
 猫は殺されているのです。
 
 誰かが猫を捕まえて、殺しているのです。
 
 うちの猫も、近くの飼い猫もみ〜んな、猫という猫がいなくなりました。
 この村には、猫はいないのです。
 
 警察? 動きませんよ。警察自体あまりこないのですよ。
 この辺鄙な村へは。
 
 誰でもペットが欲しかったら犬を飼うのですよ。
 この村には犬のブリーダーもいますからね〜。
 
 そう、みんなおんなじ種類の犬を飼っているのはそのせいです。
 
 えっ、誰もそのブリーダーを疑わないのか?
 言われてみたらそうですね。
 でも彼は立派な人ですからね。
 前はここの村長さんだったのですよ。
 今は引退していますがね。
 
 でも気になる?
 今度その人の後でもつけて調べたらどうですか?
 何があるかわかりませんが……。 
 
 えっ、まだ探したいのですか?
 いや、もうその、あなたの猫はいませんよ。
 
 やめなさい。
 無駄なことです。
 
 この村では犬を飼った方が利口です。
 同じ顔をした犬を……。




『最上シオリ』というペンネームで、小説を書いてみました。
とりあえず、物語の短いものをこのマガジンに収めていく予定です。
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