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メイドイン能登ブランドの挑戦が、日本の未来をつくる!|クラウドファンディングの舞台裏

能登半島地震が発生した2024年1月1日。甚大な被害を受けたこの地で、まさに歩みはじめようとしていたブランドがありました。

能登の自然素材を活かしたヘルスケアブランド「NAIAナイア」です。

運営しているのはアステナグループのアステナミネルヴァ株式会社。人口減や高齢化といった社会課題を抱える地域の役に立ちたいという思いで、2021年に本社の一部を石川県珠洲市に移転し、社会課題解決に取り組む挑戦をはじめました。

能登地方は世界農業遺産にも選ばれるほどの、濃密な自然素材の宝庫。地域の自然素材や職人さんの力を得て、質の高いものづくりを行ない、全国、世界へ届けていこうとしたその矢先。震災が発生し、ブランドは存続の危機に。

しかし今「TEAM NOTOチーム のと」として再び立ち上がり、能登ブランドの創出を諦めることなく、再生への準備をはじめています。そこに持続的な支援が生まれれば、日本の地域がその土地の持ち味を生かした未来がつくられ、職人さんたちの技術を残し、雇用の創出にもつながります。

ソウルドアウトは「TEAM NOTO」の一員となり、ともにクラウドファンディングにチャレンジしています!今回のnoteでは、そのクラウドファンディングの舞台裏について、チーフクリエイティブオフィサー(CCO)鷹觜 愛郎たかのはし あいろうに聞きました。


クラウドファンディングに挑戦する理由

クラウドファンディングという「装置」を活用して最初の応援団をつくる

─── 2月に相談を受け、4月12日からクラウドファンディングがスタートしたと聞いています。どのような経緯があったのでしょうか?

鷹觜:能登半島地震により、1月に立ち上がる予定のブランドがスタートを切れずに苦戦しているというご相談をいただきました。

日本の社会課題に対して、東京から地域に軸足を移し、能登半島の珠洲市から未来を照らそうとしていたブランド。ただでさえ大変な課題に挑んでいるのに、震災というとてつもない困難に見舞われ二重苦の中にいる……

まずは、珠洲市に胎動しているこの灯を絶対に消してはいけないと思いました。震災からの復興、そしてその先に光を灯すことができる志と仕組みをもったブランドのアクションを、一人でも多くの方に伝わるようにしたいと考えました。

そこで、いきなりインターネットで売っていくのではなく「クラウドファンディング」で最初の支援者を募ろうと考えました。クラウドファンディングのプラットフォームにいるおよそ1,020万(*「CAMPFIRE」2023年9月までの累計支援者数)にブランドを知ってもらい、初期の購入者となってもらえたら、次につなげられると思ったんです。


─── まずは知名度を高めていくためにも、クラウドファンディングを活用したんですね。

鷹觜:そうです。また、震災の「記録機能」としての役割も担ってほしいと考えました。

「NAIA」というブランドの誕生時に起こった震災のことを、風化させずに、なるべくドキュメンタリーとして残したいと思いました。私自身、2011年の東日本大震災の際に、形の残らない「記憶」はそのまま放っておくと、おぼろげになってしまい、風化するスピードはとても早いと実感していました。

そこで、東日本大震災をきっかけに日本で始まったクラウドファンディングに、記録機能としての役割を担ってもらい、加えて「映像記録」を残したいと提案。話をいただいてから半月で企画から詳細の検討事項を詰め、3月に現地のロケハンと撮影行ない、その後インタビューと撮影を実施していきました。

「映像記録」を残して、復興支援の熱を絶やさない

─── どうして映像を残したいと感じられたのでしょうか?

鷹觜文章や写真だけでは伝わらない想いがあります。それを伝えたいと思ったからです。

東日本大震災のときも、多くの人が、津波が実際に押し寄せてくる映像をみて心を大きく動かされ「何かしたい」という気持ちから実際に行動を起こしました。

しかし、被災地は数か月や半年という短期間で完全に元通りになるわけではありません。2年や3年、さらに長い中長期のサポートがあってこそ、生活そして仕事の基盤をやっと再構築することができます。震災直後だけの瞬間風速的な支援ではなく、実際には、その後の持続的支援こそが大切なのです。

持続可能な地域の未来づくりは長い道のりです。当事者だけではなく、様々な関与者が心を通じ合わせていくためにも、映像を残すことが必要だと思いました。


─── 持続的な支援のためには、“気持ちの風化”と戦う必要がありますね。

鷹觜:そうです。復興支援の温度は、刻一刻と変化し、忘れ去られていくもの。実際に、世界各国で起きている様々な出来事も相まって、能登への応援の気持ちは思ったよりも早く冷めはじめている気がします。

例えば、ガザでの戦争や台湾での地震など、能登半島地震が起きて数か月の間に、人々の心を揺るがすニュースが飛び交いました。東日本大震災のときと比べても、かなり早い時間で、復興支援の熱は他に移ってしまっていると思います。

私が珠洲市を訪れた3月、瓦礫は全く片付いておらず、水道の復旧は3%ほどでした。現地はまだまだ非常事態の中にあり、大変な状況の中で未来を模索しています。「何とかしなければならない」と思いましたし、この状況を多くの人に伝えなければならないと強く感じました。

アステナホールディングスの本社屋
櫻田酒造
櫻田酒造

「TEAM NOTO」を目印に、持続的な復興支援を

長期的な支援こそが能登の未来を生み出す

─── クラウドファンディングを皮切りに、持続的な支援をしてほしいと思われているんですね。

鷹觜:そうです。フェイスパックをはじめとした「NAIA」の商品は、一度きりではなく、繰り返し購入することができます。使い続けていただくことが、持続的な能登への支援につながります。

「NAIA」は、酒粕を提供してくれる能登の酒蔵さんや、奥能登で菊炭を作る炭焼き職人さん、歴史のある能登ヒバの生産者など、多くのパートナーが関わってできあがっています。少しずつでも買い続けていただければ、能登の雇用創出や職人さんたちの仕事を守ることにつながります。

このクラウドファンディングで終わりではなく、ここからがスタートです。

─── 終わりではなく始まり。持続的な支援のためには、多くの人に知ってもらい、関わってもらうことが大切ですね。

鷹觜つくり手と、使ってくださるお客さまとが、「ひとつのチーム」となって能登に循環型の未来を生み出していくことをマークに込めました。
 
TEAM NOTO with NAIA」です。

つくる側も、使う側も、多くの人が関わり、循環していく。「TEAM NOTO」は、「with NAIA」には限りません。メイドイン能登の商品・サービスを提供する人が、このマークを使う。そして、その商品・サービスを利用した人がSNSで拡散する。

昨今では、自分たちの「いい未来」のために行動しようと思う人が増えています。一人ひとりがSNSを活用して情報を発信できる時代、どんなに小さな地域のブランドであっても、シェアする価値があれば、多くの人に応援してもらうことができます。

そんな未来が能登に起こることを願っています。

地域の課題を解決し、能登から日本の未来をつくる

これからも珠洲でチャレンジを続ける理由

─── メイドイン能登の商品・サービスの再生によって、能登の仕事づくりにもつながっていきますね。

鷹觜:実は、このチャレンジを応援する理由はもう一つあります。それが、ブランドオーナーであるアステナホールディングス株式会社の4代目代表で、現在取締役の岩城 慶太郎いわき けいたろう氏の考えに共感したことです。

ーーー日本が抱える課題を解決するためには、地域課題の解決が不可欠である。人口減や高齢化、東京への一極集中。そういった難しい課題に対して逆張りし、これを全国に流通できれば、日本の未来のモデルケースになる。
そういった思いで、「NAIA」は奥能登の珠洲市に誕生しました。

震災のあるなしに関わらず、課題を抱える地域はたくさんあります。そして、遅かれ早かれ、このままだと日本の地域はもっと厳しい状況を迎えます。震災でそのスピードは早まってしまいました。しかし、地域の未来を考える機会を、前倒しでもらえたという捉え方もできるかもしれません。

「NAIA」は、能登半島地震を機に、存続を諦めざるを得ない状況から再生の道を歩み出しました。このチャレンジは、厳しい状況にある日本の多くの地域にとって、次へと向かう希望を灯す活動になると考えます。

クラウドファンディングでは、地域から日本の未来をつくるためにスタートを切った「NAIA」を、応援していただけるとうれしいです。

🔔クラウドファンディングは5月21日まで🔔

ご支援いただいた資金は、リターン品のノベルティ製作費用、全壊した原料供給元の企業支援、私たちの復興支援に充てたいと考えています。また、どこにどのように使われるのか、1円単位までお出しすることで、支援者の方に「自分のアクションがどのような支援につながったのか」をお伝えします。

地域が持続していくための私たちの取り組みは、クラウドファンディングが終わっても、復興した「その後」も、続いていきます。今後、公式noteでは「NAIA」のその後や、アステナミネルヴァ社代表の清水氏との対談・インタビューなどを予定しています!

社会課題に取り組む私たち「TEAM NOTO」へ、応援よろしくお願いいたします。

【インタビュー・執筆・編集:みやたけ(@udon_miyatake)】


[ インタビュイー ]
鷹觜 愛郎(たかのはし あいろう)/ チーフクリエイティブオフィサー(CCO)

2011年、東日本大震災を支援する「浜のミサンガ」で仙台クリエイターオブザイヤー・グランプリ受賞。2014年、「rice-code」がカンヌ、ロンドン、ニューヨークADC、ADSTARS、スパイクス等で世界の最高賞を受賞。その他施策合わせて78の海外賞受賞。東京在籍後も、地域課題と向き合うクリエイティブを実践。趣味はDJと落語。 


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