LINEヤフーのデータ連携が地方、中小企業の選択肢を広げる。LINE広告の攻略のカギとは?【LINEヤフー対談】
昨年10月に誕生した「LINEヤフー株式会社」。
LINEとヤフーの統合で、広告主はどのようなマーケティング施策が可能になるのでしょうか?また、昨今話題のCookie規制に対して、LINEヤフーとしてどのような取り組みがされているのでしょうか?
今回、LINEヤフー株式会社より髙橋 雄大さんをお迎えし、ソウルドアウトLINE広告運用チームの上野 卓也と対談を行ないました。
LINE広告での直近のアップデートやトレンド、攻略のために押さえておくべきポイントも伺いました!
プロダクトアップデートに最速で取り組み好事例を展開
─── 最初に、LINEヤフーの髙橋さん、ソウルドアウトの上野さん、自己紹介をお願いします!
髙橋:ADセールス本部パートナーセールス2部に所属し、主にデジタル専業の代理店さまを担当させていただいております。代理店さまを通じて、情報提供や改善提案を行ない、LINE広告およびYahoo!広告の活用推進とパフォーマンス改善をサポートしています。
上野:現在、プラットフォーム戦略推進本部*に所属しています。プラットフォーム戦略推進本部は、LINE広告をはじめとしたディスプレイ広告の運用に特化した専門組織で、私はLINE広告をメインに担当しています。
*プラットフォーム戦略推進本部の紹介記事はコチラ
待望の新機能「プレースメント機能」への期待
─── ではまず、LINE広告の最近の注目トピックを教えてください。
髙橋:新プロダクトだと、3月から「プレースメント機能」が全アカウントでリリースされたことが大きなニュースだと思います。
これまでLINE広告では、配信面を選ぶことができませんでした。ですがこの機能を活用することで、配信面の設定や、それぞれのパフォーマンスの確認ができるようになったんです。
運用レバーが増えるので、効率的な配信がしやすくなります。広告主さまの課題解決を実現する機能として活用いただきたいです。
上野:これは運用者待望の機能です!「ようやく来たか」という感じでしたね。私は先日公式noteで、配信面別のランキングと分析結果を発表しました。今後も、成果事例や研究内容を発信していきます!
髙橋:ありがとうございます!いち早く導入し、発信していただき、より多くの方に活用のヒントを知ってもらえる記事だと思いました。
面を厳選して配信すると、最初は配信量が減少します。ですが、その面のなかで入札の最適化がかかり、結果的により多くの確度の高いユーザーに配信されるようになり、成果が改善した、という事例があがってきていますね。
「成果が悪い面は配信停止して成果を合わせましょう」という縮小最適化の考え方よりも、「面ごとに攻略して、しっかり成果を伸ばして配信量を増やしていきましょう」とお伝えしたいと思っています。
他SNSメディアに負けないよう、動画を攻略
─── 配信面ごとの傾向がわかるようになり、今後様々な施策を行なえそうですね!
上野:そうですね。例えば、この機能によって動画の攻略ができるようになったと思います。
記事でもお伝えしたのですが、獲得目的の動画の場合、LINEファミリーアプリ面*では、獲得率が全配信面のなかで最も悪かったんです。動画との相性が悪いのか、LINE VOOM面やLINE NEWS面であれば獲得につながるはずのものも、LINEファミリーアプリ面に配信してしまうと、全体のCPA(獲得単価)の高騰につながっているケースもありました。
一方、認知目的の場合、視聴単価や視聴完了率は高いので有効に使えそうだ、ということもわかってきました。
─── なるほど。動画は配信面ごとに成果の良し悪しが分かれるにも関わらず、これまでは配信面を選べなかったため、全体の成果が悪ければ、動画広告自体を断念してしまう場合もあったということですか。
上野:そうですね。
昨今では、「縦型ショート動画」がユーザー数の増加とともに、広告の配信量もどんどん増えています。現状、TikTokやInstagramのリールが柱となっていますが、今後はLINEでも他媒体で成果のよかった動画を横展開するなど、チャレンジをしていきたいですね。
社内では、各媒体の縦型ショート動画を攻略するために、部署横断でプロジェクトが進行しています。成果事例を発表できるように検証を進めているところです。
髙橋:LINEヤフーでも力を入れて取り組んでいます。先ほど上野さんがおっしゃっていたように、SNSメディアのなかでもLINEの動画はまだまだこれからです。好事例をつくって展開し、広告主の皆さんにご活用いただきたいですね。
─── LINEヤフーの中で、動画広告に関するトピックはありますか?
髙橋:11,000*を超えるアプリにリーチできるアドネットワーク「LINE広告ネットワーク」への配信でパフォーマンスが少しずつ改善されており、配信在庫量も増えている、といった話があります。(*2023年6月時点)
例えば、動画を視聴し終わると次の漫画を見れる、ゲームができる、といった動画広告を配信していたアカウントで、驚異的な完視聴率を叩き出した、という事例が出ていました。
また、もともとLINE NEWS面で動画広告の配信在庫が多かったのですが、直近ではLINE広告ネットワークでも配信在庫が伸びてきています。
「トークリスト面」の攻略
─── LINE広告の運用レバーとして、今回加わった「プレースメント」のほかに、「クリエイティブ」の観点も大きなインパクトがあると思います。いかがでしょうか?
上野:クリエイティブの攻略では特に、配信比率の高い「Small Image Ad」の攻略に力を入れています。
スモールイメージアドは、トークリストの最上部(*下図)に配信できる静止画の広告フォーマットです。多くのユーザーが日常的に目にするトークリストは、インプレッション(広告の表示回数)が全体の約7割以上を占めます。LINE広告の攻略には、トークリスト面の攻略は絶対です。
とにかくシンプルで、視認性の良いクリエイティブが好まれます。トークリスト面に適したクリエイティブの開発・検証を行なっています。
社内の導入率だと90%は超えていると思います。LINE広告を始める際は、まずスモールイメージアドから始めるように、と口酸っぱく伝えているので(笑)。
髙橋:トークリストの広告表示サイズは、昨年の秋からミドルサイズへと拡大されました。従来の広告表示サイズと比較して、成果の向上も期待できます。
─── LINE広告の攻略には、スモールイメージアドの攻略が欠かせませんね!
上野:そうですね。トークリストには、静止画のスモールイメージアドだけではなく「Animation Ad」も配信することができるので、このフォーマットの攻略も必須です。
スモールイメージアドでうまくいった場合にさらに拡大する、といった意味合いで使うことが多いですね。その際は、スモールイメージアドで成果のよかった静止画にアニメーションを加えて配信していきます。
スモールイメージアドと比較すると、クリック率はやや高い程度であまり変わらないのですが、獲得率が高くなる傾向があると感じています。動きがあることから目に止まりやすく、獲得にもつながりやすいんだと思います。画像の一部を動かすなどの工夫をするだけで、低コストでの制作が可能ですし、今後も押さえておくべき広告フォーマットです。
髙橋:直近では、スモールイメージアド、アニメーションアドに加えて動画も配信できるようになりました。
動画広告をトークリスト面でも配信することで、より多くのユーザーにアプローチできるようになったと思います。業種業界ごとに、ソウルドアウトさんと一緒に事例をつくっていけるといいですね。
「Connect One構想」によるLINEヤフーの可能性
LINEヤフーのデータ連携による広告配信
─── 少し話は変わりますが、昨年10月にLINEヤフーが誕生し「Connect One構想」が発表されました。LINE広告を活用したマーケティング施策において新たに実現することを教えてください!
髙橋:LINEとYahoo! JAPANのデータ連携による広告配信です。
Yahoo!広告で作成されたオーディエンスリストをLINE広告やLINE公式アカウントに連携できるようになります。
例えば、Yahoo! JAPANでの検索履歴、検索クリック履歴など検索行動データを活用したターゲティングやYahoo!広告のディスプレイ広告のデータを活用したターゲティングです。
検索エンジンをもっているのは私たちLINEヤフーの強み。ユーザーの感度が高い状態でターゲティングできるため、精度はかなり高く、従来のLINE広告のオーディエンスと比較しても良い成果が期待できます。
データ連携が進み、サービスを横断したプロモーションやキャンペーンを実施することで、より効果的で最適なコミュニケーションの実現を目指しています。LINE広告は、私たちの生活に必要な情報を届け、欠かせない存在になっていくでしょう。
広告主さまが、このLINEヤフーのデータ連携による広告配信を実現するためには、データ活用基盤「ビジネスマネージャー」が必要となります。
ビジネスマネージャーの開設は必須
─── ビジネスマネージャーとは何でしょうか?どのようなメリットがありますか?
髙橋:LINEヤフーのサービスデータやアカウントを横断的かつ簡単に利用するためのプラットフォームです。
ビジネスマネージャーができた背景としては、昨今のCookie規制も関係しています。プライバシーの保護を重視する動きが進み、広告の効果測定やオーディエンスデータの取得が厳しくなりました。企業とユーザーの双方にとって透明性のあるデータ活用の仕組みの構築が必要となり、提供が開始されました。
─── 昨今話題のCookie規制への対策にも欠かせないものなんですね。
髙橋:そうです。ビジネスマネージャーの開設によって、データ連携のほかに「コンバージョンAPI」の導入も可能になります。
コンバージョンAPIとは、広告主のサーバーから媒体のサーバーへ、直接データを送信し、Cookieに依存せずに広告の計測や配信ができる仕組みです。
Cookie規制への対策としてかなり有効ですが、ビジネスマネージャーの開設後に利用可能ということもあって、あまり導入が進んでいないのが現状です。
加えて、プライバシーポリシー関連の整備が必要であり、技術的な問題もあります。
ソウルドアウトさんでは、社内にテクノロジー専門のチームがあり、かつ、ソリューションとして「DATA CONTROL」を開発・提供されていらっしゃいますよね。先日、Yahoo!広告のコンバージョンAPIと、DATA CONTROLを連携した事例をインタビューさせていただきました。一緒に協力してビジネスマネージャーの開設、ならびにコンバージョンAPIの導入を進めていければと思います!
上野:ありがとうございます。DATA CONTROLは、社内でも数多くの成果事例が生まれています。
コンバージョンAPIは、Meta広告で初めてリリースされました。なので、DATA CONTROLを導入する場合、Metaで既に導入していれば「LINEも」というようにスムーズに進む傾向があったんです。
しかし、髙橋さんがおっしゃっていたように、今後はLINEヤフーのデータ連携をする上でもビジネスマネージャーは必須になります。DATA CONTROLの導入も進めやすくなると思うので、今後さらに導入を推進していきたいです!
LINEヤフーのデータ連携に注目
─── では最後に、上野さんから、LINEヤフーに期待していることを教えてください。
上野:やはり、LINEヤフーのデータ連携による広告配信の最適化ですね!
これまで、SNS広告というとMeta広告の優先度が高く、LINE広告はその次でした。ですが今後は、「Yahoo!広告のデータを使ってLINE広告もやってみよう」というようにセットで取り組むようになると思います。国内最大級のデータを活かした広告配信で、さらに広告主さまの課題解決に結び付けていきたいですね。
髙橋:中長期的には、広告プラットフォームの統合も検討しています。LINE広告とYahoo!広告は別媒体ではなく、同一媒体だという考え方になり境目がなくなります。媒体横断でできることはますます増えてくると思うので、今後に期待しておいてください!
─── これからのLINEヤフーに目が離せませんね。最後に読者へのメッセージをどうぞ!
上野:LINE広告は、広告を配信して売上を上げたい、というご要望はもちろんのこと、認知を広げたい、お客さまとのコミュニケーションを取りたいなど、多様なニーズに応え、マーケティング課題を解決できる点が強みです。
そして、地方企業さまや、広告予算が潤沢にはない企業さまであっても、今後はLINEヤフーのデータを使ってLINE広告を攻略して成果を出しやすくなるはずです。
私たちソウルドアウトには、幅広い業種業界において、LINE広告のソリューションを活用してきたナレッジやノウハウがあります。たくさんの企業さまの成長に伴走していきたいです!
髙橋:企業の皆さまは、デジタル化やEC化の中で、顧客の顔が見えづらくなっている状況もあると思います。そういったときに、顧客との接点としてLINEのソリューションをぜひ活用していただきたいですね。
私たちLINEヤフーは、日本全国の企業の皆さまが、商品・サービスを世の中に広めたいと思われたときに選んでもらえる存在でありたいと考えています。ソウルドアウトさん、今後ともよろしくお願いします!
編集後記
今後可能になる「LINEとYahoo! JAPANのデータ連携による広告配信」は、社内でもかなり注目度が高まっています!公式noteでも、いち早く情報をキャッチして、続報を追っていこうと思います。乞うご期待!
【インタビュー・執筆・編集:みやたけ(@udon_miyatake)】
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