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$4 Clock divider with 4040 Binary Counter-DIY Eurorack Modular Synthesizer

バイナリカウンターロジックICを使用してモジュラーシンセサイザー のクロックディバイダーを自作したので、その備忘録。

背景

自作モジュラーシンセの49作品目。
2022年現在、半導体不足によりMCU(マイコン)の価格が上昇している。2021年頃は200円でarduino nano互換品を買うことが出来たが、今は700円に上昇している。
幸い、私は大量のarduino nano互換品の在庫を持っているため、割高な値段をarduino nanoを買うに至ってはいない。

しかし、いつ半導体の値段が下がるか分からないので、MCUに依存しないモジュールを設計していきたいと思い、手始めにクロックディバイダーを作ることにした。

制作物のスペック

ユーロラック規格 3U 6HPサイズ
電源:10mA ( at 5V ) 

CLK_IN:分割対象となるクロック入力。0-5Vを想定。
RST:リセット入力。HIGHが入力されるとカウントをリセットする。
divide output:2分周~512分周の分周クロックをパラレルで出力する。LEDインジケータで出力状況を視認できる。出力電圧は0-5V。

製作費

総額約400円
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フロントパネル 100円
Toshiba TC4040BP バイナリカウンターIC 120円
3.5mmジャック 8円*11pcs
他(汎用部品は下記リンク先参照)

過電圧保護、及び負電圧保護はIC内蔵回路を有効活用することで、外部の保護部品を削減。コストダウンと回路の簡略化に貢献している。

ハードウェア

TC4040BP

コアになるのは東芝製TC4040BPというバイナリカウンターである。
クロック信号が入力する度に、2進数でカウントアップし、その結果を出力する。

CLOCK IN回路

CLOCK IN回路のトランジスタは、NOT回路として機能する。
TC4040BPは信号がHIGH→LOWの時にカウントアップするが、モジュラーシンセではLOW→HIGHにカウントアップしてほしい。よって、NOT回路でロジックを逆転させている。

保護回路の削減

ICは過電圧や負電圧に弱く、通常は保護用ダイオードを入出力回路に設置したり、トランジスタによるバッファを設置することが好ましい。今回は、その保護部品を削除している。
理由はIC内部に保護ダイオードを内蔵しているからだ。

TC4040BPのアプリケーションノートには、ICの入力回路と出力回路に保護ダイオードを内蔵している旨の記載がある。とはいえ、この保護ダイオードに電流を流しすぎると故障してしまうため、適切な制限抵抗を選定している。

実際に回路を組んだ状態で信頼性評価試験を実施した。
クロックディバイダーの動作中に、各入出力pinに+12Vを3分間、-12Vを3分間印加し続け、ICの異常な発熱や、印加後の動作に問題ないことを確認した。
Eurorackで使用する-12V~+12Vの電圧では、故障することはなさそうだ。

信頼性試験の様子、テスターが印加電圧を示している

TC4040BP以外にもバイナリカウンターICは存在する。
例えばTC74HC4040APは同じ東芝製で、IC内蔵の保護ダイオードが±20mAまで保証できるとデータシートに記述がある。安心して使用できると思われる。(未検証)

半導体メーカー各社が販売しているCD4040Bでも動作すると思われるが、IC内蔵の保護回路が東芝製と同様に機能するかは不明だ。偽物も多く出回っているので、信頼できる店から購入した、大手半導体メーカーの部品を使用をお勧めする。
また、先述の信頼性評価を実施するとなお良い。

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