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$5 Reverse step sequencer with CDT7350-0-DIY Eurorack Modular Synthesizer

LED driver IC CDT7350-0を使用してモジュラーシンセサイザー の8step sequencerを自作したので、その備忘録。

背景

自作モジュラーシンセの52作品目。
半導体の価格が上昇しており、マイコンを使わないモジュールを作りたいと考えていた。面白い動作ができるシーケンサを作れないか考えていたところ、LEDドライバーICを使ったシーケンサを思いついた。

制作物のスペック

ユーロラック規格 3U 8HPサイズ
電源:20mA ( at 5V )
5V単電源で動作可能。

リバースステップ機能付き8step CVシーケンサ。
クロックソースは内蔵、又は外部クロック同期。

CV POT:合計8個。各ステップの出力電圧を制御する。
LEDインジケータ:現在ステップを表示する。

CV OUT:CV出力。電圧範囲は0~4.3V。
GATE OUT:GATE出力。電圧は0-5V。各ステップのGATE ON/OFFは制御できない。

TRIG IN:外部クロック入力。クロックソース側はプッシュプル回路だと安定して動作する。
RESET IN:ステップを1に戻す。リバースモードの場合、リセットINのステップからステップがリバースする。

リバースSW(BACK SW):リバースモードをONにする。リバースモードがOFFの場合、ステップは順送りになる。8ステップに到達するか、リセット入力がHIGHになると1ステップに戻る。
リバースモードがONの場合、ステップは往復する。8ステップに到達するか、リセット入力がHIGHになったステップから往復を開始する。

INTERNAL CLOCK SW:クロックソースを外部トリガー又は内部クロックで切り替える。

INTERNAL CLOCK RATE:内部クロックの周波数を変更する。

リバースモードとリセット入力を組み合わせることで、おもしろいCVシーケンスを作ることが出来る。
リバース機能を使わない場合は、baby8シーケンサと呼ばれるシーケンサと動作は変わらないので、baby8を使ったほうが楽だ。私も過去に作成している。

今回のモジュールに限らず、HAGIWOモジュールによくある事だが、機能やモジュールの名称が一致してない。
今回のモジュール名称は、パネル上には「LED Drive sequencer」とあるが、ブログのタイトルは「Reverse step sequencer」となっている。
リバースモードのスイッチがパネル上では「BACK SW」と書いてあったり、回路図では「MODE SW」と書いてあったり、一貫性がない。

2週間に1モジュールの頻度で設計をしていると、名称を気にかけている時間がないのだ。全体の雰囲気から、機能と名称は察してほしい。

製作費

総額約600円
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フロントパネル 150円
LED driver IC CDT7350-0 150円
オペアンプ MPC6232 45円
可変抵抗 5円*8pcs
トグルSW 20円*2pcs
3.5mmジャック 8円*4pcs
他(汎用部品は下記リンク先参照)

CDT7350-0は秋月電子通商から購入した。
クロックソース内蔵の10stepシーケンサ。LEDを駆動するためのICなので、面白い順序で光らせることができる。
欠点はデータシートが無いこと。アプリケーションシートはあるが、中国語で誤記もある。
例えば、ICのpin配置は1pinがVDDと記載されてるが、1pinはRESETと記載されている。正しくは1pinがリセットだ。電源pinの誤記は勘弁してほしい。


https://akizukidenshi.com/catalog/g/gI-03189/


ハードウェア

CDT7350-0は、クロックがHIGH→LOWのときにステップが1進む。TRIG_IN回路はトランジスタによるNOT回路にすることで、ロジックを反転させている。

3pinのGO端子は、リバースモードの切り替えに使用している。
8pinのコンデンサが無いとICの動作が不安定になるので、必ずコンデンサを設置する必要がある。

回路の右側はbaby8シーケンサと同様だ。
CV_OUTの電圧範囲はVDD-Vf(1N4148=0.7V)=4.3Vとなる。1N4148ではなく、Vfの小さいBAT43等のショットキーバリアダイオードを使用すれば電圧範囲を広げることができる。

トランジスタは耐電圧に優れるため、保護回路は設定していない。(制限抵抗は設置している)
オペアンプとCDT7350-0は耐電圧が劣るため、ショットキーバリアダイオードによる保護回路を設置している。

シーケンサはフロントパネル上の部品が多いため、半田付けが難しい。

欠点

INTERNAL CLOCK SWの切り替え時に、シーケンサの動作が不安定になることがある。また、モジュールを起動する際は、INTERNAL CLOCK SWをON(内部クロック)にしてやると、起動が安定する。

TRIG_INに入力されるクロックは、PUSH-PULL回路だと安定して動作する。一方、LFO等をクロックソースにした場合、クロックを読み取ることができない。原因は2SA1015のPNPトランジスタ回路にあると思われる。
抵抗値を調整したり、プルダウン抵抗を追加したり、プッシュプル回路を追加すれば動作が安定すると思われる。

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