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450円で作るCV/gate 8step シーケンサー-モジュラーシンセ自作

CD4022 ロジックICを用いて、モジュラーシンセサイザー CV/gate 8step シーケンサーを自作したので、その備忘録。

背景
自作モジュラーシンセの20作品目。
今まで、プログラミングの勉強のためにマイコンを使ったモジュールを設計してきたが、今回は初めてプログラミング無しでのモジュール自作に挑戦した。

時は遡ること約5年、駆け出しのエンジニアだった私は、電子回路の勉強したいと思い、KORG MS-20miniを制御するためのステップシーケンサを作ったのだ。その際に購入したCD4022BEという8step シーケンサICの在庫が、最近になって発掘されたのだ。

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当時はユーロラック規格を知らなかったので、ユニバーサルボードに組んだ。今回はそれをモジュラーシンセにしてしまおうという企画。

とはいえ、同じ回路の8step シーケンサは「baby 8 sequencer」という名前で、既に世の中に知れ渡っている。
私のオリジナルな要素を加えるため、Gate出力をスイッチ無しで実装することにした。

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制作物のスペック
ユーロラック規格 3U 6HPサイズ
電源:16mA ( at 5V ) / 20mA ( at12V )
5V単電源で動作可能。または12V単電源で動作可能。

8step CV/gate制御
クロック回路内蔵、外部クロック同期可能(スイッチで切り替え)
CVは8つのツマミで調整。
gateはツマミを右に回し切るとOFFされる。

出力電圧
CV:4.6V
gate:NE555の出力電圧、または外部クロックの出力電圧に依存

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製作費
総額450円
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CD4022BE 70円
パネル 100円
オペアンプ 30円
555タイマーIC 30円
電源モジュール 30円
可変抵抗(8個セット) 40円
etc

電源モジュール、可変抵抗はAliexpressから購入。安すぎ。
電源モジュールは12Vから5Vを作り出す。消費電力は小さいので、小型の電源モジュールで良い。
1個当たり20円~30円で購入できる。しかし、出力電圧の誤差が大きい。私が購入したものは4.7V出力で、0.3Vも誤差があった。デジタル回路には使わないほうがよい。

キャプチャ

ハードウェア
NE555で内部クロックを生成する。
そのクロックをCD4022BEという8stepシーケンサ用ロジックICに入力する。
CD4022BEの各ピンの出力を可変抵抗で分圧してやる。
CV出力にはオペアンプのボルテージフォロワーで分圧による出力インピーダンスをリセットしてやる。
Gate出力も同じく、オペアンプのボルテージフォロワーを経由してPNPトランジスタでクロックの外部出力のON/OFFを制御している。

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*上の回路図の電源は5Vを想定している。

注意が必要なのは、NE555タイマーICのクロック電圧が、IC仕様やVcc電圧で大きく変化することだ。
CV出力する分には問題ないのだが、gate出力はクロック電圧がPNPトランジスタのON/OFFに大きく影響する。オペアンプとPNPトランジスタの間にある、ダイオード(電圧降下用)と抵抗値をチューニングする必要がある。

また、gate出力回路にある0.47Fのコンデンサは、PNPトランジスタのスイッチングの遅れから生じる、意図しない微細な出力をカットするためにある。
こいつのチューニングも必要かもしれない。

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