見出し画像

足が痛くて歩きづらい…もしかして痛風!?

ある日の明け方、就寝中のことだった。
左足の外反母趾のあたりに、痛みを感じた。

朝になって、起きてもまだ左足に痛みが残っていて、多少の歩きづらさを感じた。
このときはまだ「なんかちょっと足が痛いなー」くらいの感覚で、そこまで深刻には考えていなかった私。

この日は外出だったので、自分が持っている靴のなかでいちばん歩きやすい靴を履いて出かけた。
しかし、時間が経つにつれて、だんだん痛みが増してきて歩きづらくなってくるではないか。

だけど、3年前にひどくなったあのときの外反母趾の痛みよりはずっと軽い。ちょっと足を引きずる感じだけど、歩こうと思えばまだ歩ける。
とっても痛いけど、我慢できないほどの痛みではない。

「いったいどうしちゃったんだろうな?」なんて思いながら、私は歩き続けた。

帰宅後、靴と靴下を脱いで足を確認。
すると、左足だけ、足の甲と裏が大きく腫れあがっていた。右足と比べると、その違いは一目瞭然だった。

腫れと痛みはひどいが、赤みはそれほどない。
その日の夜は、オロナイン軟膏を少しだけ塗って就寝した。


発症の翌日。金曜日。

前日ほどではないものの、かなりの腫れと痛みと歩きづらさがある。

寝ているときに左足だけ布団から出して、足の甲がずっと床に触れてたから、そのとき虫にでも刺されたんかなぁ?
それとも、何かのアレルギーかなぁ??

こんなの初めてなんだけど。
様子を見るしかないか。


発症から3日目。土曜日。

腫れはほぼ引いた。痛みもそれほど感じない。
歩いたり足を動かしたりしたときに、若干痛みを感じる程度。
入浴時に、左足にシャワーが当たると少し痛い。
入浴後しばらくすると、左足にかゆみを感じるようになった。

なんとなく、ある考えが、私の頭をよぎった。

「もしかしてこれって……『痛風』ってやつなんじゃ……?」

症状が、痛風のそれに似ているような気がする。
考え始めると気になってしまって、ネットでめちゃくちゃ調べまくった。たしかに、ネットの情報を見る限りでは、症状は痛風に近いような気がする。

痛風のリスク要因としては、以下のようなものがあげられるんだそうだ。

・高尿酸血症(尿酸値が高い)
・プリン体を多く含む食品の過剰摂取
・アルコールの過剰摂取
・肥満体型
・運動不足
・遺伝的要因(痛風や高尿酸血症の親族がいる場合、痛風になりやすい)
・体質的要因(体質や代謝によって、尿酸が過剰に生成されたり、尿酸の排泄が正常にできなかったりすることで、高尿酸血症のリスクが高まる)
・水分不足
・過度なストレス
・男性のほうが女性よりも痛風になりやすい

私はこれまで、尿酸値について指摘を受けたことはない。
ちなみに、成人の尿酸値の基準範囲は、男性だと3.4 - 7.0 mg/dL、女性だと2.4 - 6.0 mg/dLと言われている。
私の尿酸値は、この5年で3.4 - 4.4 mg/dLだった。これまでずっと基準範囲だったのに、急激に上がったりするものなのだろうか?

高タンパクでプリン体を多く含むといわれる肉や魚はもちろん私も大好きだけれど、普段からそんな贅沢はまったくしていないし、アルコールだってこの10年で一滴も飲んでいない。

体型は、どちらかといえば痩せ型。
運動に関しては、軽い運動は毎日してるけど、やっぱり運動不足は否めないかなー。
過度と言えるほどのストレスは、いまは感じていないはずだけど。

私の場合はだいたいこんな感じで、痛風になりやすいといわれる要因からは、かなり外れてると思うんだけどな。

しかし、気になるところがある。
それは、遺伝的要因と体質的要因だ。

私の父に尿管結石や膀胱がんがあったから、尿酸値は高かったのかもしれない。遺伝的要因が強い影響をもたらすのであれば、ここは注視する必要がある。

体質的に心配になったのは、もしかしたら腎機能が弱っていて、尿酸の排泄がスムーズにいっていないんじゃないか? ということ。
私はもともと、むくみやすい体質だ。水分がちょっと不足気味かもしれないので、そのせいもあるのかもしれないけど。

それから、女性の痛風の発症率は一般的には低いと言われている。
しかし、年齢が上昇するにつれて発症率も上昇するらしい。
閉経が近くなって女性ホルモンが減少してしまうと、女性も発症しやすくなるのだという。その点も、非常に気になるところだった。

痛風といえば「風が吹いても痛い」と言われ、大の大人でものたうちまわるほどの激痛だと聞く。

だけど、さすがにそこまでの痛みは感じない。3年前に外反母趾が悪化したときのほうが、もっとずっと痛かった。
あのときは、ほんとに痛すぎて、まともに歩けなくて、泣きながら会社に行ったよなー。

このへんのエピソードについては、私のデビュー作『アスペルガーな私のやらかし人生』でも書いているので、もしご興味あればご参照いただけると嬉しいです♪

痛風かもしれないし、痛風じゃないかもしれない。

このままだと気になって気になって仕方がない。気になるなら、早めに受診しておいたほうがいいだろうと思った。
というわけで、念のため病院で診てもらうことにした。

痛風ではないかもしれないけど、もしかすると他に何かしらの疾患がある可能性もある。自己判断は危険だろう。

これまでずっと、会社の健康診断をきっちり受診してきたけれど、今年は退職して受診できてなかったから、ちょうどいいや。と思った。
これもいい機会だと思って、ちゃんと調べておこう。

ある意味、このタイミングでよかったのかもしれない。
私ももう、そんなに若くはないのだから。
この機会に、ちゃんと自分の身体と向き合って、不安があればいまのうちに解消しておこう!

私はそう考えた。
我ながらほんまに、なんて前向きなんだろうな。


発症から4日目。日曜日。

足はもう痛くない。痛みも腫れもほぼなくなって、普通に歩ける。
シャワーのお湯が当たると、ちょっとヒリヒリする程度。

この日も痛風について調べた。
調べすぎて、痛風にめっちゃ詳しくなった。

病院も調べて、どこに行くか決めた。
再び足が痛くなったときのことを考えて、自宅からいちばん近いところにあるクリニックに行くことにした。

自分でいろいろ調べてみて、考えられる可能性は、、、

・痛風
・虫刺され
・アレルギー(私は、スギ・ヒノキ・ダニ・カビ・ハウスダスト等のアレルギーを持っている)
・骨折やヒビ
・外反母趾の炎症

・・・といったところかな。
さぁ、正解はどれだろう??


発症から5日目。月曜日。

朝、起きてすぐにクリニックに電話し、診察してもらえるか確認した。

「痛風って、そちらで診ていただくことはできますか?」
「痛風ですか。はい、診察は可能ですよ。足が痛いんですか?」
「あの、先週の木曜日から足が痛くなったんですけど、いまは痛みも腫れも引いてます。普通に歩けるので、来院は問題ないです」

「痛風っておっしゃいましたけど、健康診断で何か指摘されたんですか?」
「いえ、そうじゃないんですけど、痛風っぽい症状が出たので診ていただきたくて。もしかしたら痛風じゃないかもしれないですけど、念のため検査したくて。初診でもすぐに検査はしていただけますか?」
「あ、はい。痛風の検査だと血液検査になりますね。検査はできますよ」

……といったやりとりがあって、その後、

「来院される方は、ご主人ですか?」
と聞かれた。

「いえ、私です」
と、私は何も考えずに即答した。

「あ、来院されるのはご本人さんですね。では、お待ちしております」

……電話を切った後に気づいた。

わざわざ「ご主人ですか?」と聞かれたのは、痛風は女性にはあまり出ないと言われているからか!
なるほど、やっぱり女性が痛風で通院するのって珍しいんだな。

その後、身支度をしてクリニックへ。
血液検査をすることを想定し、何も食べず、コップ半分くらいのお水だけ飲んで出かけた。

受付を済ませ、まずは血圧測定をしてもらう。
私はいつも若干低めなのだが、特に問題はないらしい。

血圧を測ってくれた看護師さんから問診がある。
左足が痛みだしてからの経緯について話す。

その後、先生の診察。
足を見せるよう言われて、左足の靴と靴下を脱ぎ、先生に見せた。

先生は一瞥して「あぁ、外反母趾ですね」と即答。
私の左足の外反母趾を、指先でちょんとつついて言う。
「現時点で症状がないのであれば、痛風の可能性は低いですね」

「でも、外反母趾のあたりはまったく痛くないし腫れてもいないんですよ。いまは症状はすっかり引いていて普通に歩けますけど、足の甲の指の付け根あたりと、足の裏がめっちゃ腫れてて……」

先生に負けじと、私もしっかり食い下がる。

「外反母趾で、そんなに足が腫れあがることもあるんですか?」
「ありますね。たぶん痛風ではないと思いますね。検査をご希望であれば検査はできますが、どうされますか?」

と言われたので、私は迷わず返答した。

「検査したいです。もしかしたら他の疾患の可能性もあるかもしれないと思っているので、ちゃんと調べておきたいです」
「わかりました。では、採血しましょう」

そうして、私は血液検査を受けた。


検査から3日後。
発症からちょうど一週間が経った。

結果を聞きに、再びクリニックへ足を運ぶ。

診察室に入って挨拶をすると、血液検査の結果の紙をおもむろに広げながら先生は言った。

「やっぱり、痛風ではないですね」

私の尿酸値は「3.7」だった。
通常、尿酸値が5.7 mg/dL未満であれば、痛風の発症リスクが低いとのこと。

痛風じゃなかった……
よかったぁ!

もちろん、尿酸値が低いからといって必ずしも痛風の可能性がない、とは言い切れないのだが。

ついでにと言ってはなんだが、尿酸値以外の項目についても、腎機能とか肝機能とか、ちょっと気になるところがあったので、先生に尋ねてみた。

「これくらいの数値なら、まったく問題ないです。現時点では問題のあるところはどこもないですね」

あぁ、よかった!
先生のお墨付きをもらえて、これでひとまずは安心!

だけど結局、やっぱり外反母趾だと言われて、なんか釈然としないんだよなぁ。

発症の前日も外出していて、梅田の街を歩きながら「猫背で前かがみで、あんなに身体が歪みまくってたのに、歩く姿勢がずいぶんキレイになったなぁ……」なんて、鏡に映る自分の歩く姿を見ながら、惚れ惚れしていたところだったのに!

「足裏の横のアーチがつぶれて扁平足になってるんで、体重のかかり方が変になっちゃってるんじゃないですかね。整形外科などで足に合ったインソールを作ってもらうといいと思いますよ」

と言われて、診察は終わった。

甲高幅広の私の足にピッタリ合った靴を探すのは、至難の業だ。
インソールを作ることも以前に検討はしていたが、作成までには至らなかった。
これからどうするか、また考えないとなぁ。

でも、何もなくて本当によかった!

もし痛風だったなら、食事制限とかして食生活を大幅に改善しないといけなくなるんだよなぁ……好きなものが自由に食べられなくなるのは嫌だなぁ……って思ってたから。
その心配がなくなって、本当にスッキリ爽快だ。

「それまで当たり前にできていたこと」ができなくなることほど、ショックなことはない。

私は幸い、これまで大きな病気をした経験はない。が、昨年に体調を崩して適応障害と診断されて休職を経験したときに、「それまで当たり前にできていたこと」ができなくなってしまった。

まさか自分がそんなことになるなんて、自分がそうなるまで考えてみたこともなかった。だが、一度そういう経験をしたことで、健康でいられることは決して当たり前ではないのだいうことを、身をもって知ることができた。

健康であるって、やっぱり最高にしあわせなことだ。

私は「父や母や妹たちよりも絶対に長生きする!」と決めているので、これから先も健康で、ずっと好きなことをやって生きていきたい。健康なままで、楽しく一生を終えるのだ!

「自分の身体を、もっと大切にしてあげないとな」

あらためて、健康の大切さを気づかせてもらった出来事だった。
足も出費も痛かったけど、私は本当に幸運だったなと思う。

そして、思った。
「私って、どうしてこんなに前向きなんだろう」

そんなことを、深く考えるきっかけにもなった出来事であった。

この記事が参加している募集

この経験に学べ

最後までお読みいただき、どうもありがとうございます。 スキやシェア、フォローをしていただけると飛び上がって喜びます。 頂いたサポートは、創作活動の糧とさせていただきます。 今後ともどうぞ応援よろしくお願いします!