もうこれ以上、 “障害” を抱えるわけにはいかない! 自分らしく生きるために、私が始めた「脳内断捨離」。
なんだか疲れた。
どうも調子が出ない。
タスクは山積みで、「やらなきゃ」と思っているのに、なかなか手をつけられない。
息苦しくなってきて、しんどくなってきて、焦燥感とイライラが止まらない。
心身ともにだるくてだるくて、やる気が出ない。
9月に出版を予定しているのに、執筆を進める気力も湧かない。
調子の優れない日が、ずっと続いている。
睡眠障害も、さらにひどくなっている。
生活リズムがめちゃくちゃだ。これまでにないくらい、自律神経が乱れてるんだろうなと感じる。
きちんと整えなければと思ってはいるけれど、どうやってもうまくいく気がしない。
もしかして、年齢的なアレかな……なんてことも、チラッと考えてしまう。
でも違う。断じて違う。私は決して「○○○障害」なんかではない。
私の母は事あるごとに、「○○○障害だから」と言い訳していた。
己の体調の悪さを、なんでもそれで片づけようとしていた母に、私は嫌悪感を抱いていた。
そんな母の姿を見て、「私は絶対、お母さんみたいにはならない!」と心に決めたのだから。
というか。
発達障害と睡眠障害だけでもいっぱいいっぱいなのに、私はもうこれ以上「障害」を抱えるわけにはいかないのだ。
数日経てば、きっと回復するだろう。
そう思っていた。
しかし、一向に調子が上がってくる気配がない。
「そういえば、今日は何したっけ?」
一日の終わりを振り返ってみても、何をしたのか思い出せない。
数時間、パソコンの前に座って作業をしていたのに。
思い出せないくらい、内容の薄い時間を過ごしていたのか。
おかしいな、好きでやっているはずなのに?
副業じゃないんだから、時間もたくさんあるはずなのに?
自分のやりたいことが、何にもできていないじゃないか?
私はいったい何をやっているんだろう、と悶々とする。
気晴らしにと、本を読んでみることにした。
読書には高いリラックス効果があり、本に没頭することでストレスを68%も軽減できるという。しかも、たったの6分間でOKらしい。
しかしこれがまた、逆効果となってしまったのだ。
1冊読了できたのだが、疲れてしまって、ますますしんどくなった。
あぁ、大失敗だ。調子が優れないときに読む本は、ちゃんと選ぶべきだった。
これまでかなりの量の文章を読んできたけれど、他人様の文章を読んで、こんな状態に陥ったのは初めてだった。自分の状態が整っていないときに読んだことで余計に引っ張られてしまったのかもしれないが、このことは私に大きなショックを与えた。
こんなんで、仕事をやっていけるんだろうか?
この先、どうやって生きていこう?
「しんどい」
「無理です」
「できません」
こんなことを言えばきっと、
「これだから障害者は……」って思われるに違いない。
もしかしたら、仕事もなくなるかもしれない。
仲良くしてもらってる仲間たちにも、距離を置かれてしまうかもしれない。
ぐちゃぐちゃになってしまっている頭のなかで、そんな想いがぐるぐるとめぐる。止まらない。
久しぶりに、声を出して泣いてしまった。
弱音なんて吐きたくない。
だけど、自分を守るほうが優先じゃないか?
優先順位について考えるのは苦手だけれど、ぐちゃぐちゃな頭で泣きながら必死に考えて、決断した。
いまの私は、落ち着いて執筆できるような状態ではない。
9月に予定していた出版を、ちょっとだけ延期して、少し休もう。
そうして私は、進めていた書籍の作業を一時休止することにした。
朝。起きた瞬間、目の下がピクピクと痙攣しているのに気づく。
やっぱり、疲れているんだな。
私は、脳疲労を起こしていた。
これが長く続いて改善しないままでいると、うつになってしまうらしい。
気づいた時点で、早急に対処する必要がある。
大丈夫、心配はいらないよ。
こういうときのために、これまでにいろんな対処法を学んできたんだから。
きっとすぐに、元に戻るから。
心を落ち着かせるように、自分に言い聞かせる。
とりあえず、悪化させないようにしよう。
しばらくゆっくりして、絶対に無理をしないようにしなければ。
そんなときだった。
ショートケアで仲良くなった、私と同じような悩みを抱えている仲間が言っていた言葉が、ふいに頭に浮かんだ。
「刺激を減らしなさいって、先生に言われてて……」
刺激……そうだ!
私の脳も、刺激を受けすぎてるんだ!
刺激を減らせば、きっともっとラクになるんじゃないか!?
2時間ドラマの帝王・船越英一郎ばりにひらめいたのだ。
ADHDの特徴である「多動性」や「衝動性」の特性が強すぎて、目や耳に入った情報にすぐさま興味を引かれてしまう私の脳。一瞬でも興味を奪われてしまうと、その気持ちを抑えるのがむずかしく、あれやこれやと手当たり次第に行動に移してしまう。
「一見、立ち居振る舞いが物静かで大人しそうかと思いきや、行動力がえげつないよね」
まわりの人たちに、私は昔からそんなふうに言われてきた。
どうやら、外見からは目立ったADHDの特徴はみられないようだ。だが、私の脳は「超多動」で留まるところを知らず、常にせわしなく動いているのである。
その突出した行動力は、うまく活かせば大きなメリットとなるが、度が過ぎると一変してデメリットと化する。
自分のキャパシティーなんておかまいなし。本能の赴くままに行動するので、とんでもなく疲れやすい。
なのに、それが「普通」で「デフォルト」だと思っているもんだから、疲れていることに自分で気づきにくい。
頭のなかはいつも、パンパンでぐちゃぐちゃ。あふれんばかりの膨大な情報が、とっ散らかった状態で格納されているのだ。
こんなんじゃ、そりゃあ疲れるだろうよ。ねぇ?
知的好奇心を満たしたい。
どうやったって、その欲求は止められない。
そもそも、自分の好きなことをやっているわけだから、楽しいんだよね。
だから、なかなかやめられない。
しかし、これをずっと続けていれば、自分のいちばんやりたいことができなくなってしまう。そして、それがストレスとなって蓄積していく。
これが「最大のデメリット」なのではなかろうか?
自分の脳に入れる情報には、細心の注意を払う必要がある。
そんなことに、いまさらながら気づかされた。
半世紀も生きてきて、お恥ずかしいったらありゃしない。
私の場合は、脳に入れる情報があまりにも多すぎたために、それが刺激となり、がんじがらめになって、なかなか動けずにいたのだ。
多動なのに動けなくなる……なんという矛盾。
っていうか、自分で自分の脳に負荷をかけてしまってるなんて、おかしい話だよね。
相変わらず、多種多様で膨大な量の情報が、次から次へと私の脳に飛び込んでくる。
目に入ったら最後。いったん脳がキャッチしてしまった情報を制御することは、不可能に近い。
しかし、どうしてもこれを制御しなければならない。
そのためには、情報の断捨離が必要だ。
そこで私は、
「脳内断捨離を決行する!」
というミッションを、自らに課した。
自分にとって本当に必要な情報の取捨選択ができるようになれば、脳内だけでなく部屋の片づけもできそうな気がする。うん、きっとできるようになるはずだ。
やらないことをちゃんと決めて。
やることを最小限に絞って。
やりたいことに一点集中できるようにする。
まずは、その環境を整えることから始めよう。
いきなりゼロにするのはハードル高いから、少しずつ頻度を減らしていこうか。
できるところから、少しずつ。
そう、スモールステップ(ベイビーステップとも言う)でじゅうぶんなのだ。
「理想」ってやつは、自分でも気がつかないうちにどんどん高くなっていく。
この「理想」という名のハードルを、とにかく下げることが大事。
少しずつでも、いまの自分にできることをやるしかない。
少しずつでも、ゆっくりでも、何かを進められているなら、それだけでOKなんだ。
タスクがぜんぶ終わらなくても大丈夫。
半分できれば上出来、少しでも手をつけられていれば問題ない。
まったくできていなくても、明日できればいいんだ。
「いまの私には必要ない」と思うものは、思いきって断捨離する!
そう決めた私は、まず、絶賛カオス状態となっているメールの整理にとりかかった。
毎日チェックするものだから、イヤでも目に入ってくる。要らない情報まで大量に脳に入れることはしたくないし、本当に必要な情報が埋もれて見つけられなくなってしまうと困る。
ごちゃごちゃの原因のひとつは、おびただしい量のメールマガジンだ。気軽な気持ちでつい登録してしまうのだが、そのほとんどは読まれることなく放置されている。
必要性を感じないメールマガジンを、次々と配信停止していく。
フィルタリングしてアーカイブし、視界から消去する。
これだけでも、気分がスッキリしていくのがわかる。
こんなにカンタンにできるのに、なんでもっと早くやらなかったんだろう。
パソコンだけでなく、スマホも整理していく。
使用頻度の低いアプリをアンインストールして、使用しているアプリの通知もできる限り減らす。
整理整頓が得意なきっちりさんだったら、
「なんだ、それくらいのこと」
って思うかもしれない。
たしかにちょっとしたことなんだけど、この「ちょっと」が、しんどさを感じているときにはめちゃくちゃ大きいんだよね。
単純作業を繰り返しているうちに、だんだん集中力も戻ってきたし、ストレス解消にもなったような気がする。
調子がよくないときには特に、目と耳に入れる情報には細心の注意を払いたいものだ。調子がいいときならまったく問題ないものでも、調子がよくないときには毒になる可能性がある。
自らを疲れさせるようなことをするのは、絶対に避けなければ。
特に、ネガティブな情報は、できるだけ脳に入れないようにしたい。
疲れたなと感じたら、目をつぶる。
視覚と脳はつながっているので、目を開けている限り、脳にあらゆる情報が入ってくる。目を閉じることで視覚情報をシャットアウトし、脳を守ることができる。
1分程度でも効果があるそうなので、気がついたときにやるようにしている。
脳に入れる情報を、減らせるだけ減らす。
特に「受動的に受け取る」情報を減らす。
必要な分だけを「能動的に取りに行く」ようにする。
これを意識するようになってから、少しずつ調子が上がってきた。
「自分で決めて動く」ということが、メンタルにどれほどの影響を及ぼすのか。私は今回のことで、身をもって深く学ぶことができた。
どんなちいさなことでもいい。くだらないことでも構わない。
ちいさな成功体験で得られた達成感や満足感が、大きな大きなエネルギーになるのだから。
優先順位も、自分で決める。
「私は、どうしたいの?」
「いま、何をしたいの?」
「何をするべきか」ではなく「何をしたいのか」。
自分に問いかけてみる。
誰にも遠慮はいらない。ましてや、自分に遠慮など絶対にしてはいけない。
自分を自由にし、わがままを聞いて、思いっきり甘やかしてあげればいいのだ。
自分のこころとからだから発せられる声にしっかりと耳を澄まし、徹底的に自分と対話して、自分で決める。
自分で決めたとおりに、心のままに動くことで、心地よい時間を過ごすことができる。
自分と向き合う時間って、本当に大切。
私にとっての「最優先事項」は何なのか。
私には、それを見極める時間が必要だったんだ。
それが、たまたま「いま」だったんだ。
いま、私がやりたいことは・・・
好きな音楽を聴くこと。
新しい歌を覚えること。
読みたかった本を読むこと。
ゆっくり野球を観ること。
脳内にある想いを、思うままに書き綴ること。
焦らなくてもいい。
いまはゆっくり、好きなことをして時間を過ごせばいいんだ。
パソコンを触る時間を少しだけ減らしてみたり、SNSから少しだけ距離を置いてみたりしながら、思いつく限りの工夫をしてみる。
調子がよくて時間的にも余裕のあるときには、SNSで仲間たちと交流するのも楽しい。
一気にあれもこれもやろうとすると疲れちゃうから、少しずつ、少しずつね。
私の不調は、優先度の低い情報で脳が占領されてキャパオーバーになっていたことが最大の原因だった。ゆえに、不要な情報を減らしてあげれば、すべてがスムーズにいくのではないかと考えている。
キャパオーバーになった脳は、イライラするようになってるんだそうだ。
たしかに、脳内の整理をしているうちに、いつのまにかイライラは鎮まっていた。「○○○障害」のせいなんかじゃなかったよ。ほんまによかった。
脳の負担を減らし、脳の消費エネルギーをいかに節約するかがカギになる。
節約したエネルギーを、「本当にやりたいこと」に使うために。
「私の『本当にやりたいこと』は何?」
そう自分に問いかけて、出てきた答えはこれだった。
このことがずっと、モヤモヤやイライラの原因となっていた。
幼いころから、「表現する」ことが何よりも好きだった。
クリエイティブに生きる。
それこそが、私が心から望む人生。
私の生きる目的は、
「この世に自分の作品を遺すこと」。
それを実現するには、言うまでもなく、もっとうまく時間を使う必要がある。それに、クリエイティブなことをやるならやっぱり、脳のパフォーマンス状態がよくなくちゃ話にならないよね。
先日の定期診察で、主治医の先生にこんなことを言われた。
診察が終わって、ファミレスで休憩。
久しぶりにひとりでゆっくりできる時間を味わって、気持ちが落ち着いてきたなと感じた。
おしゃべりや交流するのも楽しいけど、ひとりの時間も同じくらい大切にしたいな。
友人にもこの話をしてみたら、こんな言葉が返ってきた。
なるほど。
野球にたとえると、なんでこんなにわかりやすいんだろうね。
不思議なんだけど、タイガースが元気だと、自然と私も元気になるんだよね。阪神ファンなら、きっとわかってくれると思うけど。
勝ってくれたら、一気に回復できると思うんだけどなぁ。
逆転優勝アレンパ・・・願ってるんだけどなぁ!!!
目の下のピクピクは、いまもまだ続いている。
だけどなぜか、おでかけする日にはピタリと止む。なぜだ?
治まったかと思ったら、また出てくる。
なんかよくわかんないけど、体調を教えてくれるサインだと思って、あまり気にしないことにした。
そんなこんなで、ここのところ低空飛行を続けている私だけど。
いまは焦らず無理せず、好きなことややりたいことをやって、様子を見ながら徐々に、本格的な執筆活動を復活させるからね。
この一年、ずっとKindleのことばかり考えて突っ走ってきたから、ここらで少しひと休みするのもいいかもしれない。なんて思ってる。
いつか空高く飛ぶために、必要なエネルギーを養うための大切な時間なんだ。
必ずパワーアップして戻ってくるから、ちょっとの間だけ待っててほしいな。
それまで、私のこと忘れないでね。
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