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2023年1月の読書記録(小説)

1月に読んだ小説の記録。

注意
個人的な読書の思い出です。あらすじとかも特に書いてないのであしからず…。

1冊目: レモンケーキの独特なさびしさ/エイミー・ベンダー


2023年、最初に読んだ小説。読みたい本リストに入っていたものの、なぜ読みたかったのかをすっかり忘れてしまい、数年間その存在を忘れていた。図書館でたまたま見かけてすぐに借り、2日で一気読みした。


2冊目: カラマーゾフの兄弟(上)/ドストエフスキー


別にあらすじも何も知らなかったのに「自分の人生には『カラマーゾフの兄弟』が必要かもしれない」とふと思い立ち、古本屋で新潮社のものを購入。

ドストエフスキーは学生時代に『白夜』と『罪と罰』を読んだきり、二度と読むことはないと思っていた。『罪と罰』を読んだのは、大学の英語のクラスで課題図書に指定されていたから。ポッシュな英語を話すイギリス人教員の厳しい指導のもと、英語でロシア文学を読むのは、なかなかの苦痛だった。学期が終わる頃には私は(そしておそらくクラスの大半の学生が)すっかりドストエフスキー嫌いになっていた。あのイギリス人の真の狙いはドストエフスキー嫌いを量産することだったのかもしれない。

とにかく、あまり期待することもなくどうせ読み終われないだろうなと思って手にした『カラマーゾフの兄弟』だったが、なんとすっかり心を掴まれてしまった。冒頭の主要人物の描写のくだりでもうメロメロに…。

3冊目: 海と山のオムレツ/カルミネ・アバーテ


カラマーゾフの箸休め的に読んでみた。しっかり癒された。


4冊目: カラマーゾフの兄弟(中)/ドストエフスキー

生活の全てを犠牲にしてありったけの時間と気力をカラマーゾフの兄弟に注ぎ、読みつづけた(カラマーゾフの兄弟を読むため毎日定時で帰った)。

思い返せば、難所として有名な大審問官のくだりや変な悪魔が出てくるシーンなんかよりも、私としてはリーズの登場シーンが意味不明で毎回苦痛だった。仕方がないのでリーズのことは「何を言っているのか全くわからないめんどくさい女」として脳内であっさり処理し、無理やり先に進んだ。

5冊目: カラマーゾフの兄弟(下)/ドストエフスキー

この小説が、私が今まで読んだ小説の中では最高傑作だということがわかった。絶対に読み返したい。

6冊目: やし酒飲み/エイモス・チュツオーラ

スピード感と神話的な力強さで、あっという間に引き込まれてしまった本。ただ、何を言っているのかは終始わからない。蟻塚だと思ったらそれは勘違いで実は市場でした〜!というくだりなんかは、コウメ太夫かと思った。
アフリカに関する知識が自分になさすぎることを痛烈に感じた。そして未だにわからない、ジュジュって何。

7冊目: エレンディラ/ガブリエル・ガルシア・マルケス

『やし酒飲み』でマジックリアリズムっていいな〜と思い、マジックリアリズム好きの彼氏の本棚を拝見させてもらったところ見つけた本。人生初ガルシア・マルケス。短編集。
情景描写がとても美しくてなめらかで気に入った。おもしろい出来事が何も起こらなかったとしても、この"描写の心地良さ"だけで無限に読める気がするくらい。
お気に入りは「大きな翼のある、ひどく年取った男」。民衆がいかにも民衆って感じ。
「奇跡の行商人、善人のブラカマン」は神話とか民話にありがちな不条理グロという感じで、キレそうになった。なかなかキツい。
「無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲劇の物語」はエレンディラの変身ぶりが心に残った。

8冊目: 女のいない男たち/村上春樹


映画『ドライブ・マイ・カー』の(一応)原作ということになる短編集。私が特に好きだなと思った短編は「イエスタデイ」と「木野」。

「イエスタデイ」は会話の中にサリンジャーの『フラニーとズーイ』がちらりと出てきたからか、木樽はなんとなく『キャッチャー・イン・ザ・ライ』の主人公ホールデンに似てる気がするなと思った。木樽は個性的で変なやつだし、一人称の語りは結構コミカルだしで、ザ村上春樹という感じではない。

「木野」は長編のときの村上春樹の雰囲気もたっぷりあり、読み応えがあって面白かった。これを読むと、まえがきの中の最後の文章(たしか。今手元に本がないので見返せない)が意味深に響いてくる。映画のドライブ・マイ・カーに総体として一番近い短編は、意外に「木野」かもなと思った。ドライブ・マイ・カーもう一回観たいな。

途中放棄: タイタンの幼女/カート・ヴォネガット・ジュニア


私はヴォネガットが苦手なようで、以前『猫のゆりかご』と『スローターハウス5』を手に取ったことがあるものの、どちらも序盤で脱落した。いや、序盤とすら呼べない、ほんのさわりで読むのをやめたといったほうが正しい。

今回の『タイタンの幼女』はがんばって80ページほど読み進めたが、その時点でも気分が乗ってこなかった。なんでなんだろう。結局諦めてしまった。ヴォネガットに詳しい方、ヴォネガットの読み方を教えてください。

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