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8点【感想】自己責任社会の歩き方 生きるに値する世界のために(雨宮処凛)

オススメ度 8/10 (楽しい左翼を知れたから)

弱いもの、貧困者、障害者が徹底的に踏みにじられる貧困社会。こころ痛む悲惨な事件をとおして現代の病巣を描きます。希望をつなぐ“アジア大作戦”“いのちのとりで”──現場をめぐって考えたことを優しい言葉で語ります。あなたに寄り添う一冊です。
版元ドットコムより・出版社HP無し)

▷基本データ

 (じこせきにんしゃかいのあるきかた いきるのあたいするせかいのために)

【著者等】
 雨宮処凛
 (あまみやかりん)

【出版社・レーベル】
 七つ森書館

【読む前の独断と偏見によるジャンル】
 日本社会のガンについて書かれた本

【その本を選んだ理由】
 貧困で図書館で検索して出てきた新しい本やから

【貸出日・購入日・もらった日】
 2020/11/25

▷感想

 この本は雨宮処凛さんのマガジン9での連載「雨宮処凛がゆく!」の一部をまとめて2017年に書籍化したものやねん。

 せやから彼女が体験したことや、事件に対して感じたことなどがまとめられてる本やねんけど、左翼も面白いこと・楽しそうなことやってるやんってのが意外な感想やった。

 というか、ここで紹介されている松本哉さんがとんでもないキ〇ガイ(誉め言葉)で素晴らしかった。

 安倍政権が無闇にアジアの人たちとの対立を煽ってることへの反抗として行われた「アジア反戦大作戦」の一環で2015年8月29日に行われた「阿佐ヶ谷の変」(雨宮さんが命名)では、ギターやらドラムやらが大爆音で鳴り響く中、ミサイル(模造品)を積んだ迷彩車をボコボコにしてひっくり返して、ぶっ壊した後に、「戦争やめろ」、「安倍やめろ」、「NO WAR」とか叫びまくったらしいねん。
 普通こういうのってデモとして道路使用許可を取ろうとするねんけど、そうすると警察がうるさいから映画撮影として許可を取ることで警察の介入を回避するという作戦で、「コイツ、天才か?」って感じたわ。
 目論見通り、警察の邪魔は全く入らへんかったらしいねんけど、こんな訴え方があるんかと目にウロコやった。
 政治的なデモって辛気臭く行進するだけってイメージやったけど、こうやってバカらしく楽しみながら訴えるってこともできるなんて思いもよらんかったから衝撃を受けたわ。
 実際に街の人も「何の映画撮影ですか?」って聞いたりしてきて興味を持ってくれたらしいし、やっぱり訴え方って大事やなと感じた。
 いくら素晴らしいことを訴えていても興味をもってもらわへんと社会は変わらへんから何でも作戦大事やな。

 2016年9月11日から17日から一週間、東京の高円寺で開催された「NO LIMIT 東京自治区」というイベントも松本さんが主催したらしいねんけど、そこでは、各国の政府が他国との対立を自国民に煽る中、アジア諸国のマヌケな有象無象たちが勝手に仲良くなることを目的に開催されたらしくて、デモをしたり路上ライブや路上飲み会をしたりで、歌って踊ってバカ騒ぎをするってやつやねん。実際に、台湾、韓国、香港、北京、タイ、シンガポール、マレーシア、オーストリア、ドイツなどなどからいろんな人がやってきて片言英語やけど酒の力ですぐに仲良くなりまくったらしい。
 中には無一文のまま台湾からやってきた人とか、福岡からヒッチハイクでやってきた人なんかもいたらしくて、そんな人でも困らんようにマヌケゲストハウスと言うのが無料で解放されたり、寄付で募った米とかを食べさせたりとかしてたらしい。
 ワイの文章が上手くなくて狂いっぷりがいまいち伝わらんけど、最終日には「世界大バカ終結記念 鎖国反対パレード」ってのを新宿で開いて、台湾やドイツや沖縄のバンドがサウンドカー上でライブしながら中国語とか韓国語とかドイツ語が飛び交いまくるカオスな状況やったらしい。
 何しかこうやってお祭り騒ぎを各国の人と一緒にやって楽しめたらよい世界になるような気がするわ。
 今はコロナウイルスの流行により、こういった海外とか遠方との交わりは憚られるから早く治まってほしいとホンマに思うわ。

 まあ、こういったアホな話だけじゃなくて、徴兵を拒否するために、韓国からフランスに亡命したイェダりんさんの話とか、電通社員で自殺してしまった高橋まつりさんの話とか、相模原障害者施設殺傷事件を起こした植松容疑者の話とか考えさせられる話もようさん書いてて勉強にもなったわ。

 まえがきに書いてるねんけど、「生産性を求めすぎたり」や「役に立たない老人等はお荷物」、「お金を稼げないと生きていけない」が、「障害者は不幸を作ることしかできない」と衆院議長あての手紙で主張した植松容疑者の考え方と符合してしまう恐ろしさがあるっていうのにハッとさせられた。

 やっぱり基本的人権っていうのはブレイディみかこさんの本に書いていたように、「自分が持っている資源(能力、人脈、国籍等)をすべて失ったとしても、生きていてもよいこと」やと思うから知らぬ間に自分にも他人にも生産性を求めすぎたりして人権を侵害しているってのが無いようにしたいと感じた。

以上、感想終わり。

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