見出し画像

愛書「無頼のススメ」より、2020年に必要な10の心構え

明けましておめでとうございます。

毎年の年末に、伊集院静さんの『無頼のススメ』というバイブル本を読み、翌年の心構えをしています。

この本は、逆張りの人生を「無頼に」歩みなさいということを教えてくれます。無頼とは「頼るものなし」ということであり、単なるアウトサイダーやドロップアウトのことではなく、人としての心の持ち方、生きる姿勢のことを指しています。本書において、無頼とは何かを解説している文があります。

人は生まれる時も死ぬ時も、結局は一人でしかない。この当たり前の大前提を心にとめておけば、他人からどう言われようがかまわないだろう。他人の評価を気にせず、一人で歩いているうちに、ああ自分の足で歩けるんだ、という実感を大事にするようになるはずです。

2019年は政治・経済・テクノロジーの領域で、たくさんのニュースがありました。話題になったニュースと言えば、国内政治では森友加計学園、桜を見る会。英国のEU離脱協定、ソーシャルだと#metooのムーヴメントなど。令和という新しい年号になったこともあり、記憶に強く残る1年でした。

かれこれ5年くらいやってる『無頼のススメ』の通読ですが、2020年は特にこの無頼という姿勢が必要になる1年だと感じ、2019年に自身が撮影した「それっぽい」写真とともに抱負をまとめてみました。

1. 美しいものに騙されない

中庸に立つ基準となるのは、いずれにせよ自己という「個」です。そこが定まらないと、我が身が安全かどうか、他の人はどう考えるか、あるは借り物のイデオロギーに当てはまるとどうなるか、そればかり考えます。

ADHDや鬱などが「おしゃれな病」として美しく着飾られている投稿をSNSでよく目にするようになりました。

僕には同性愛者の友人がいます。マスコミがLGBTの人に対して一方的なイメージを植え付けるような報道によって「自分は違う」「勝手な姿を投影されるのが悔しい」とかつて語ってくれました。着飾るどうこうもの行為自体を私的に批判したいわけではないですが、「美化したくない」「ほっといてほしい」という、そうした行為に躍り出ない精神疾患の患者が息苦しくなる気持ちもわかります。恐ろしいことは、影で間接的に誰かを差別してしまっていることであり、その差別が浮き彫りになりにくいことなんだなと。社会問題自体はひょこんと世に出やすくなる一方で、些細なことで大変に傷つく、生きにくくなる人が世に出にくくなる、これもまた事実なのかなと思います。

話は飛躍しますが、美しいもの・おしゃれなものをちゃんと見極めて、真の美に触れる1年にしたいです。

2. 正義を疑う

正義というものは、人間が生き死にする日々の傍らでじっとしているもので、目に見えるものでも、旗を振って叫ぶものでもありません。正義なんできちんと通らない。正しいことの半分もひと目にはふれない。それが世の中というものであろうと私は思います。

僕はどちらかといえば性悪説の人間です。「どちらかといえば」とは性善説に立つことも状況によってはあるということ。

民主主義が生み出す全体主義は日本の初等教育に強く根付いています。同質化を求める流れから異分子を排除しようとするメカニズムが働くのは必然的で、このメカニズムに日本人特有の大局に流れる習性が混ざると、いざ「正義とは何か」がぼやけることが往々に多い。それが大衆の正義なのか、もしくは個々の正義なのか。

「正義」を耳にするとマイケル・サンデルが出てくる。どんな話だったか正確には覚えてないけど、授業を見た時に、50兆円を超える世界一の軍事予算を持ち、世界で最も(?)戦争に関与している国の教授が正義について語るのは少し違和感を感じました。

結局本当の「正義」とは何なのか?これが正義ですと言えるのは一体なのか?平和主義が最高の正義なのか?僕はよくわかりません。というか、正義って本当にあるんでしょうか?

大体のことに懐疑的になる、兎にも角にも正しいとされていることに「本当にそうなのか?」と問いかける。物事が複雑になる世の中で、社会が植え付ける間違ったイデオロギーみたいなものに惑わされない、まず疑ってみる、そういったずっしりとした心持ちみたいなものが、今日には必要なんだと思います。けど、容易なことじゃなし全てに疑心暗鬼すぎると疲れちゃうから、勘・センスみたいなものに頼る、というのも大事なのかなと。

3. 大衆に流されない

「これは危ないぞ」「それは違うのではないか?」いち早くそれを感じとる直感というのは、マスコミの情報やイデオロギーに頼っているかぎりは得られない。やはり、頼るものなし、と覚悟を決めてこそ本当の個としての判断力が身についてくるはずだと思うのです。

日本人特有の大局に流れる習性、と書きましたが、日本人は外圧に弱く、大勢に流れやすい。英国の女性紀行家イザベラ・バード『日本紀行』には「どこに行ってもお人好しの日本人は、意味もなく笑いながら人の流れる方へ寄って集まってくる」と書いてあります。

この基本性質は今もあって、大衆に流されすぎた結果、無責任な事案が増えている。一方で、自分の持論が持てなくなる。どうせコレ、や社会は良くならないとネガティブになる。そして、社会はもっと不合理で不安定になる。

その社会に対して責任を持つとすれば、まずは自分から、風潮に流されず、自分流の考え方や行動を心がけるようにしたいなと思います。

4. 七難八苦を願う

サントリーの佐治会長は、先代の存在があまりにも大きかったから、会社を率いていくにあたって、組織に必要なことは何かをよくよく考えたという。その結論というのが「どんなに辛くても、戦っている限りは最後まで立っている、そういう社員を育てていいくこと」だったそうです。

2020年はもっと、苦労しないで手に入りやすくなる、時代になるのかなと思います。昨日たまたま飲んでいたコンサルの会社の社長と話していてかなり合意したのですが、それは「最高の教育は若いうちから商いを営むこと」。価値交換をすること。お金を稼ぐこと。それがどれほど大変で苦労するか、を若いうちに身を持って体感することが、最後には誰にも頼らず、揺らがない個として生きていける最高の術なんではないでしょうか。

苦難の道あればそれを歩むこと、は結果的に得ることも多いし心身ともに鍛錬に繋がります。逆に言えば苦労しないで手に入れたものは大したものではないと。

武山中鹿之助が三日月に向かって「願わくば、我に七難八苦を与え給え」と祈ったこそ、この時代に最も大切なスタンスの1つなのではないでしょうか。今年はより一層、苦労は買ってでもしていきたいです。

5. 自分を許してあげる

「自分の正体を見極めてやろう」そう心がけていると、これは相当だめやつだな、ということが誰でも見えてくる。そこで人とつるむのはやめる。人に頼ることもしなくなる。やがて気が付かないうちに、自分の足で立って歩くようになる。

最近良くBGMで聞いているメンタリストDaiGoさんのYouTubeより。
https://www.youtube.com/watch?v=FyhG0rNwl2E

今年の後半に自分のタスクリストがどんどん山積みになって病みかけていたところ、この動画に出会いました。詳細は動画を見ていただければと思いますが、先送りの原因について・失敗を許せる自分に変わる方法について喋っています。

この自分を許す、動画内だとセルフコンパッションと言われていますが、「失敗を許せる自分に変わる」のは自分が一番に大切にしたいことです。

6. 意味があるものを大事にする

私たちが飲み屋の角の八百屋まで歩いて行くときでさえ、それが二度と戻ってこないことになるかもしれない旅だということに気がついてるだろうか?(ヘンリー・ミラー)

自身のnote「愛」の会社が「愛」について語ろうでも言及しましたが、今は情報よりも情調に価値がある時代です。

すぐ役に立つものを作ったりするものは、すぐ役に立たなくなります。作り手の細部のこだわりとか、込めた思いを熱々と語るとか、人のぬくもりを感じるようなものづくり、 もしくは入れっぱなしだったポッケのホッカイロがまだ温度を保っていたときの嬉しさ、のような感動を届けていきたいなあと思います。

7. 努力する、時々運頼みにする

渋谷のお好み屋さんにて。3卵生の黄身は15年やってる店主さんも初めてだったそうです。

麻雀に人の運、場の運、天の運の3つがあるらしいです。人の運はツキ、場の運はどの卓のどこに座るか?で開運方位学、そして天の運は文字通り天運

努力はもちろん大事で、精一杯やりきる。人の運、場の運は自分でコントロールできるから、ジンクスをつくっちゃう。そして最後の最後は全て天運に任せようと、そういう心持ちを大事にしたいなと思います。

8. 手を差し伸べる

怠けることをよしとし、物乞いに与え続けるような国家はやがて潰れるしかありません。

独占より共有、takeよりgiveする人になろう。これを意識していきます。

けど、頼られすぎても駄目だし、頼りすぎても駄目。「与えてもいいけど、しがみつかせない」という表現がいいのかなと思います。僕のおばあちゃんは80の齢で農業を営んでいますが、ああいう人を見て、年をとってもしゃんとしてられる人は、国とか制度とかにしがみつかみはせず、ここは自分でやろうと、バランスをしっかりわかってる人なんだと思います。

9. 課題の発見力を磨く

これは最近だと山口周さんのニュータイプの時代とか前作で語られていたんですが、課題の解決能力はコモディティー化してるし、VUCA化(Volatility(変動性・不安定さ)、Uncertainty(不確実性・不確定さ)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性・不明確さ))してる環境が世の中を取り巻いていて、課題を発見する能力にウェイトがおかれていると。

1900年代後半は "問題 is 明白" だったのも2000年以降は "問題 is 希少" になり、望ましい状態と現状の差分が問題とすると、その望ましい状態とは一体どんな状態なのか?という定義/発見することが本題にあたります。

「課題を見つける」こととセットで「その課題の大きさを検証する」能力まで合わせて養いたいところです。

10. 愛に向き合う

どんな哀しみにも終わりはあるということ。生き続けてさえいれば時間が解決してくれる。時間がクスリというのはほんとうです。

最後は愛。ともだちのまさきくん(@masarp)とシーシャを吸いながら、愛について語ったのが最高の年末でした。

「愛があるからできることは確かにある」。自分にとって、誰かにとって、愛とはなんだろうか?それを今年も来年も10年後も、考え、大切にして、そのために生きていく1年にしたいと思います。

---------

今年もどうぞよろしくお願いします。
みなさまよい1年を。

いただいたサポートは、今後のnote執筆のための活動費(具体的には睡眠/瞑想系グッズ)に充てさせていただきます😂