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アザもちの記憶の断片

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#あざ

あっち行け!

 僕はどこか「人とは違う」と思い始めたのは保育園に通っていたときだ。当時は友達らしい友達もいなかった。だからいつも一人遊びをしているか、塀の外をただぼーっと眺めながら母が来るお迎えの時間を待っていた。母は仕事の関係でお迎えが遅くなることが度々あった。それもあってか、一人の時間を過ごすことに慣れていった。

 ある日、お昼ご飯の時間が終わって、遊びの時間になった。そのときは砂場でドロだんごを作ること

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告白ラッシュ。

 中学一年生のころ、はじめて彼女ができた。経緯は別の記事で改めて書き起こすとして、事の始まりは、クラスメイトの女の子が僕のことを好いてくれたことだ。彼女の取り巻きのクラスメイトが、

 「Aさんのことどう思う?」

 「Aさんって可愛いと思わない?」

 などと、連日質問攻めにされた。クラスメイトの反応があからさますぎて、僕は多少疑いつつも彼女の気持ちが本当であると、確信に変わっていった。僕も彼女

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身体的不調ではなく、精神的不調。

 家を一歩出れば、視線におびえる毎日。誰も見ていなくても、誰かが見ているのではないか。僕はいつしか見えない視線、在りもしない視線にびくびくするようになっていった。口元の右側にアザがあるから、右側が見えないように、意識しながら生活していた。歩道を歩くときも、いつも決まって右側を歩いた。電車に乗るときも、壁側に移動して右側が見えないように、壁を右にしてそれとなく違和感のないように寄りかかっていた。

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知的障害者とアザもち。

 僕には知的障害と診断された幼なじみがいる。わざわざ”診断された”と表現したのには理由がある。僕たちは何かしらのカテゴリーを付与されてこの社会を生きている。僕であれば男性だとか、精神障害者だとか、学生だとか、未婚者だとか、そんなところだろうか。こうしたカテゴリーは僕たちがこの社会を生きていき、人と関わる上で一定程度必要だと思う。知的障害と診断され、障害認定されることで社会から様々な支援を受けるのは

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