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最終決戦【世にもになるまで書いてみた・あじふらいclassic38作目・全6話】

~あらすじ~
都市対抗初優勝を狙う「ハタダ電気」。
しかし今大会を持って休部になることになった。 そんな中迎えた決勝戦。
2点ビハインドの9回裏1アウトランナー無し。
ベンチで静かに祈る4番打者の主人公。
しかしその心中はなんと「早く負けてくれ」・・・!?

これまでの作品はこちら!

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○ 東京ドーム(夜)

 ある年の都市対抗決勝戦。
 9回裏1アウトランナー無し。2点ビハインドで負けている。
 実況と解説が流れる。

実 あっと打ち上げてしまった! ライトがっちり掴んで1アウト。
  さぁ「ニホン自動車」2連覇の夢達成まで残りアウト2つ!
  対する「ハタダ電気」のバッターは今大会での引退を表明した
  キャプテンの(選手名)! 
  ラストバッターになってしまうのでしょうか!!
解 「ハタダ電気」の選手達は声が出ていますね。
  諦めない姿勢、本当に素晴らしいです。
実 「ハタダ電気」は今大会を持って休部となることが
  既に発表されています。
  勝てば初優勝そして有終の美! 
  果たして悲願は達成できるのでありましょうか!

○ 1塁側ベンチ

 1塁側ベンチの様子。古豪チーム「ハタダ電気」。
 選手達が諦めずに声を出し続けている。
 主人公のアップ。何やら必死に願っている。

主 (心の声で)俺らのチームは解散か・・・ 長いようで短かったな・・・

 主人公 今までの思い出が走馬灯のように脳内で流れている。

○ 回想シーン

 様々な場面が矢継ぎ早に流れる。
 1年目に大会準優勝で涙を飲んだ時、
 2年目に同僚がドラフト指名され胴上げをしている時。
 3年目のオフに前監督の退任が発表された時・・・

○ 東京ドーム・一塁側ベンチ(回想明け)

 主人公 物思いにふけつつ、心の中で本音を叫ぶ。

主 (心の声で)・・・・・・早く終わんねぇかな~!

 バッターが打席に立つ。
 タイトルテロップ『最終決戦』

 主人公自身の心の声をバックに、祈る選手達。

主 (心の声で)俺は(主人公名)。
  今日も4番ファーストで出して貰っている。
  まぁいわゆるひとつの「頼れる4番」だ。今日は4タコだけど。
  あ、あと今年で4年目か。・・・4ばっかだな。少し話が逸れた。
  本題に戻そう。
  知ってはいるだろうが、今大会を持ってこの「ハタダ電気野球部」は
  休部となる。
  俺らが廃部を知ったのは1回戦のミーティングの時。

○ ベンチ裏(回想)

 1回戦の試合前。
 監督が申し訳なさそうに選手の前で話し始める。

監 我が社の経営状況悪化もあってだな、
  今大会を持ってこのチームは「休部」することになった。
  突然の発表になってしまって本当にすまない。

 監督 帽子を取り頭を下げる。
 選手達は突然の通告に戸惑いの表情を浮かべるばかり。

○ 1塁側ベンチ(回想明け)

 主人公のアップ。
 一呼吸つくためか水を一口飲む。

主 (心の声で)突然の休部に俺「だけ」はなぜかホッとしていた。
  なぜかって? そりゃあアイツのせいに決まってんだろ。

 主人公の視線は監督に。若干睨んでいるようにも見える。

主 (心の声で)監督・・・ いやもうあのボケ狸でいっか。
  そもそも考えが古すぎんだよ。
  打てなかったらネチネチ小言のオンパレード。
  リクエストも全然しねぇしよ。お前の頭は昭和で止まってんのか。
  名前も普通に間違えるじゃん。半年もいたら覚えんだろ。
  俺たちに興味ねぇのか?
  てか今寝てただろコイツ。あ~マジで嫌いだわこのジジイ。
  ま、いいや。あとアウト2つで永久におさらばだし。

 主人公の目線はグラウンドに。キャプテンが打席で粘りカウント2-2に。

主 (心の声で)にしてもキャプテン粘ってんなぁ。早く三振・・・
  じゃなくてこれが「野球選手の見本」か。
  しかも怪我してんだろ? すげぇなぁ。
  ・・・早く終われなんて思ってんの俺だけだよな。
  でも頼むキャプテン!早くアウトになってくれ!!

 主人公 キャプテンに向かってアウトになれと祈っている。


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