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テナント【世にもになるまで書いてみた・あじふらいclassic・34作目・全5話】

~あらすじ~
主人公は「変化しない」ことを愛するサラリーマン。
そんな彼の「心の拠り所」であった「パチンコてんてん」が閉店してしまい悲しみに暮れていた。
彼の気持ちとは裏腹に、「パチンコてんてん」は見る影も無くなるほど変化していって・・・

これまでの作品はこちらから!

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○ ロッカールーム(夕方)

 仕事終わりのロッカールーム。
 主人公 声も出さず淡々と帰り支度を進める。
 若手社員A・B 話が盛り上がっている。

A (スマホを取り出し)じゃ~ん。スマホ買い換えました~
B すごっ! これ最新のヤツ?
A そ! 朝早く並んでさ、買うのに苦労したんだよー
B へぇ~ いくらすんの?
A んーとね・・・

 主人公 帰り支度が終わり、そそくさと帰宅。

○ 通勤路(夕方)

 日は落ちて、辺りは薄暗くなっている。
 主人公 徒歩で駅を目指す。
 目に映る街の風景や人々を見ては、物思いにふけている。

主 (心の声で)電話なんて誰かと連絡するだけじゃないか。
  ならガラケーで十分だろ。
  何というか・・・ 
  「変わらない」ってことも人生には必要なんだけどなぁ・・・

 徒歩で駅を目指す主人公。
 閉店作業中の洋菓子店や賑わう居酒屋、ひっそりと営業中の服屋が並ぶ。

主 (ナレーション)街並みは大きく変わってしまった。
  ここの喫茶店は、マキロンとか言う変なお菓子を売る洋菓子屋に。
  道路を挟んで向かい側の本屋は、洒落た服屋に。
  あの居酒屋は・・・何だったか忘れた。
  老舗だって味があるはずなのに、
  人はなぜ変化することを選んでしまうのか・・・

 主人公 パチンコ屋の空きテナントを見て立ち止まる。
 店舗内ではパチンコ台の撤去作業中。

主 (ナレーション)そして一番ショックなのは
  サラリーマン達の憩いの場所であった
  「パチンコてんてん」の閉店である。
  営業をサボっては打ち、ボロ負けしては二度と来ないと心で誓う。
  それでも次の日にはまた同じ台を打っている・・・
  間違いなく俺ら世代の青春だった。
  ・・・・・・ここも「変化の波」に飲まれてしまうのか。

 主人公 再び駅を目指す。
 タイトルテロップ『テナント』。


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