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【ピアノ演奏】モーツァルト:ソナタ ハ長調 K. 545 第2楽章

楽曲について

この曲はモーツァルトが1788年の夏に作曲したハ長調ピアノソナタ(K. 545)の第2楽章です。

モーツァルトの創作はこの頃特に充実していました。彼自身の代表作であるのみならず、ハイドンの傑作群と並んで古典派交響曲の最高峰に位置づけられる三部作(変ホ長調、ト短調、ハ長調のいわゆる三大交響曲)が同じ時期に完成されています。

本ソナタの作曲の動機は明らかではありせんが、作品目録にはモーツァルト自身の手で「初心者のための小さいソナタ」と書かれていることから、何らかの注文に応じて作曲されたと考えられています。

「初心者のための」曲?

この「初心者のための」という表現には注意が必要であると思います。この曲がモーツァルトの他のソナタと比べて規模が小さく、技術的に平易に書かれていると言うことはできます。しかし、それはあくまで演奏という複合的な行為における物理的、機械的側面にすぎません。楽譜をよく読むと、モーツァルトは決して演奏者に求める知的、精神的水準は引き下げていないということを強く感じます。

親しみやすく、表現の簡潔さと内容の深さとを兼ね備えたこの曲は、円熟期のモーツァルトの魅力が凝縮された傑作であると思います。

モーツァルトと私

その音楽に出会ったときから、モーツァルトを愛することは、私には息をすることや心臓が動いていることとほとんど同じ意味でした。そのモーツァルトの曲を自分で演奏するという重大な挑戦を通じて、私にとってモーツァルトを弾くとは、何にも増して自らの生い立ちにまつわる呪いを解くことであり、生まれたときからあまりに深く傷つけられて来た魂を、自らの奏でる一音一音によって救ってゆくことなのだと痛感しました。

ずっと一番やりたかったことが、やっと少しずつできるようになってきました。本当の私を見て下さい。


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