"あの時の私"を思い出すアイコンのようなお店、渋谷の茶亭 羽當
CMに見たことのある喫茶店が映った。
渋谷にある茶亭羽當という老舗の喫茶店。
ここ、よく連れてきてもらったなぁ。
きっかけは2009年6月末。
当時、財務コンサティングル会社の下っ端だった私は、1つのプロジェクトで数ヶ月土日なく働き、それが終わったら数日休みをもらい、また次のプロジェクト…という生活。
転職して1年弱。
未経験で飛び込んでしまい、上司から怒られ続けるし、休めないし、正直選択は失敗だったと思う。
覇気というか体力はとっくに底をついていて、外を歩くのもふらふらと彷徨ってる感じ。
とにかく「疲れた…」しか頭に浮かばなかった。
そんな休みの日、「いいことあったらいいな」と神社にお参りし、その帰りに目に入ったのが整体の看板だった。
なんでかわからないけど、吸い込まれた。
もう何度も通っていた道。
「整体なんてもっと年を重ねた人が行くもの」とずっと思い込んでいたので、気にしたことがなかった(そこにあることすら気づいてなかったかも)。
それなのに、その日は文字通り吸い込まれるように入店。
初回のカウンセリングでどこが調子悪いかなど何を答えたか、全く覚えていない。
きっと「すごく疲れていて、足も痛いです」とは言えたかな?
気づいたらすごく寝ていた。
体中重い。眠い。
そんな感じで初めての整体は終わった。
そしてこの数日後、私は休職した。
職場で先輩に声をかけられた途端に涙が止まらなくなった。
それまでは人前で泣かないようにしてきたから「これはもういつもの私ではない」とすぐ判断。
そのまま早退して心療内科を調べて直行し、翌日から休職に入った。
整体はある程度続けて通うと効果的と知り、よく行くうちに担当のW先生と趣味(←ともに池波正太郎の時代小説と時代劇が好き)で意気投合して、仲良くなった。
羽當に連れて行ってくれたのは、このW先生だ。
お茶してしゃべって。
それだけだけど、本当に癒されてたなぁ。
先生とお茶するようになりだいぶ経ってから、こんな話をしてくれた。
※ちなみに普段とてもキレイな話し方をする先生が、当時の私の様子を話す時だけ言葉遣いも荒くなっていたで、それくらいヤバさを感じたらしい…。
"うつで会社を休職"という、私にとっての人生のどん底から救ってくれたのは整体だった。
うつから抜け出せた理由には、もちろん他の力も関係するけれど、整体、つまり体のほうからのアプローチをしたのはかなり大きかったと思う。
あの時、なぜ整体に入ったかわからない。
当時知識もなく、今は一般的になりつつある「体と心を両方治していく」なんて意識は全くなかったから。
ホントなんだか吸い込まれたとしか言えないけれど、今は神社の神様か亡き父か祖父母か、そんな誰かが守ってくれたのかな?と思うことにしている。
それまで気にもしなかった"体を整えること"の重大さが身に沁みたので、その後再発もなく今もなんとか不調ギリギリで抑えられるのかもしれない。
羽當は、あの時の私を思い出すアイコンのようなお店。
そして、"あの時の自分"と今とはだいぶ違う年齢、生活、感覚だなぁと気づかされるお店でもある。
また行こう。
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