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ソフトディバイス の歴史 連載第9回「メンバーの変遷」

この記事は、ソフトディバイスの創業者である高橋賢一が、社内報の連載記事向けに執筆したものです。ソフトディバイス の成り立ちから、高橋が代表を退きフェローとなるまでのストーリーが高橋の視点で語られています。

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起業〜数名の社員とバイトでやりくりする時代

いよいよ、SDのヒストリーの最後の側面であるメンバーの変遷を思い返してみよう。最初の立ち上げは僕一人。時々バイトを頼んではいたが狭い住居兼事務所なのでバイト一人が精いっぱい。東山のマンションに移動してからは事務所のキャパは拡大しバイトも増えた。そのころのバイトで家電やパソコンメーカに就職しその会社のインタフェースデザイン部門の設立に寄与した人も多い。彼らの活躍はSDが広く認知されるのに一役買っている。後には彼らを介してプロジェクトの受注も起こっている。
そのうち元大阪の事務所で同僚だったプロダクトデザイナーのK君が最初の正社員となった。そのあとすぐK君の勧誘で、今では僕よりも在籍が長くなった下村君も合流し3人の正社員体制になった。まだインタフェース専門ではなくプロダクト中心であった。下村君はすぐパソコンにも馴染み、インタフェースにシフトしていった時期の先鞭を切ってくれた。1980代後半には、バイトも10人近くが出入りするようになった。自由に最新のパソコン触れる環境は他にはなかった時代である。京都工芸繊維大学や精華大学などの学生バイトが多く出入りするようになり、にぎやかな学校のような活気にあふれていた。社員向けの英会話教室がはじまったのも、確かこの頃だったと思う。

中堅メンバーの独立、若手メンバーの増加

その後、K君が誘ってきた中堅デザイナーやシステムエンジニア、さらにはクライアントから転職してきたメンバーなどで短期間に正社員が10名近くなり、急速に規模が拡大した。仕事の幅が広がるにつれ、さらに広いスペースを求めて高野に移転した。若いメンバーが増える一方、中堅のメンバーはそれと入れ替わりに独立してゆき、規模はあまり変化しなかったがメンバーの平均年齢が下がっていった。彼らはパソコンの習得も早く、インターネットの普及その他の技術の急速な変化に対応していった。クライアントにまだ確立されていない手法やプロセスをどんどん先行して獲得していったので、デザイン事務所でありながら、プロトタイピングなどの開発にも手を染めることができた。他の事務所との差別化で、業界ではほとんど独占的な状態になっていた。まだほとんどのメンバーが家庭を持たず、事務所に泊まり込み状態で仕事することも度々あった。当時誰が正社員でだれがパートかは、ほとんど覚えていない。みんな社員、バイトの区別なく、新しいことに挑戦していた。バイトでもクライアントとのミーティングに参加したり、事務所にいる時間が多く、よく夕食を共にしていたことを思い出す。メンバーがほとんど京都中心の学生バイトかその延長上の社員で構成されていたからである。

海外、デザイン以外の専門、多様なメンバー構成に

そのうち学会,講演、セミナーなど対外的な活動の範囲も関西以外にも広がり、関東の大学やその他の地域からも新卒の就職希望者が集まり規模も拡大していった。東京事務所と合併していた時期は、さらに東京の5名ほどが追加される。デザイン以外の分野からのメンバーも増えた。ノルウェイや台湾からの社員がいた時期もある。分野や出身の異なるいろんな社員が増えたこと、インタフェースデザインが認知されるようになったことでだんだん会社らしくなってきた。社員全体を「グラフィック 」「アーキテクチャー」「ウェブ」のチームにわけ各directorが引っ張っていく体制ができてきたのもこの時期である。

30名規模の事務所に

さらに広い場所を求めてオフィスらしい北山に移転したことで、徹夜で床に転がって目覚めるようなことはほとんどなくなった。北山では各地からの入社希望者が面接に訪れるようになり、さらに幅広いメンバーが集まるようになった。海外も含めて毎年数名のインターンシップを受け入れるようになってきた。創立30年を迎え、八田社長に後を託した頃には正社員30人くらいの規模になっていた。過去と比較して、いろんな出身のいろんな分野の人が集まっているが、急激な社会の変化、技術の変化に対応して今後はさらに多様性、柔軟性が必要になるであろう。働き方の改革をなしつつ、成長と新陳代謝はこれからも継続しなくてはいけないだろう。
正確な数は把握していないがバイトも含めるとSDで働いた人の数は100名を超えるであろう。メンバーの中には学生時代にバイトをしていたり、社員になった後、他社に就職、数年後にSDに再就職した人も比較的多い。数多くのメンバーが家庭を持ち、どんどん社会人として成長してゆく様、福利厚生も充実し、会社自体も大人になっている様は頼もしい限りである。毎年の大文字の折には、そうした変化に隔世の感を覚える。
今はもう見守ることしかできないが、これからの新しいメンバーも含めメンバー全員が創り上げるソフトディバイス の成長を楽しみにしている。


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