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野球が大好きだから頑張れる。鷹祭を盛り上げる切り込み隊長【TAKAism Vol4.井下真志】

ペナントレースを戦うチームの傍らで様々なファンサービスを生み出しているのは、ホークスで働く社員ひとりひとりです。

そんな私たち、ホークスを形作る中の人たちの考えていることや想いを発信していくため、

ホークス(鷹)社員に脈々と受け継がれる想い
→TAKAism

と題して、社員のインタビューをお届けします。

第4回は今年の鷹の祭典プロモーションを担当したマーケティング・コミュニケーション部の井下真志。ユニフォームデザインに込めた想いやホークスで働くことになった経緯、自身の仕事観について聞きました。

【プロフィール】井下真志(いのした・まさし)
マーケティング・コミュニケーション部。愛媛県出身。大学卒業後に5年間ソフトバンク本社で勤務後、2019年4月より福岡ソフトバンクホークスに出向、2022年4月に転籍。法人営業を担当した後、同部署では球団の一大イベント・鷹の祭典のプロモーションを手掛けるなど、チームとファンをつなぐコミュニケーション領域で幅広く活躍している。
※2023年7月1日付で異動となりマーケティング企画部イベント企画課に所属

「再生と幸運」のエメラルドは福岡の街になじむ色

―いよいよPayPayドームでの鷹の祭典が開幕しますが、今の気持ちは?

去年の11月くらいから仕込みを始めて、ユニフォーム発表をした4月から今まであっという間に日が過ぎて、いよいよ本拠地で開幕だなと非常に楽しみな気持ちです。

―これまでどんな仕事を担当してきた?

鷹の祭典のビジュアルやロゴ、TVCMの開発など、プロモーション全般を担当しました。今年の鷹の祭典の一連の流れを作り上げてきたという感じです。

―今年のユニフォームカラーはエメラルド。これまでにない色はどのようにして決まった?

コロナ禍から脱却して新しい野球観戦スタイルができつつある中で、新たなカラーとメッセージを発信したいという想いが検討段階から強くありました。100種類弱のカラーバリエーションの候補の中から、エメラルドという色が持つ「再生と幸運」という意味合いが今年の鷹の祭典にぴったりだったことが決め手になりました。

鷹の祭典は選手とファンが同じデザインのユニフォームを着用し、一体となって盛り上がるホークスの一大イベント

―今年の鷹の祭典にぴったりとは?

今年のホークスは新戦力もたくさん加わって3年ぶりの日本一を目指すシーズンであることと、今年は4万人動員かつ声出し応援も解禁されるタイミングでもあるので、リスタートの年にふさわしいカラーだと考えています。今までにないフレッシュなエメラルドで球場が染まる様子が楽しみですね。

―デザインで一番こだわった部分は?

こだわった部分はエメラルドの色味です。わかりやすい緑やブルーにするのではなく、新しいことにチャレンジするホークスらしさを色で表現したかったのですが、試作段階から上手く色味が出てくれずに苦労しました。一口にエメラルドといっても青みがかった色だったり緑がかった色だったりたくさんある中で、パソコン上で見たデザインを実際にユニフォームに出そうとすると、色味が毎回違って出てくるんですよ…。何回も何回も試作を重ねて自分が思い描いた色にたどり着いた渾身のカラーです。

苦心して完成させたユニフォームへの思い入れを語る

―エメラルドに込められた「再生と幸運」に加え、今年は「勝」をテーマに様々な取り組みを行ってきた。そこに込めた想いは?

ファンの皆さんはご存知かもしれませんが、ここ数年の鷹の祭典はチームの勝率が悪く、昨年に至ってはコロナの影響もありましたが1勝8敗という散々な悔しい結果になっていました。
選手は鷹の祭典に限らず普段から常に勝利を目指してプレーしていることは承知の上で、今年の鷹の祭典はより「勝」という気持ちを全面に押し出して、ファンの皆さんやチームの悪いイメージを払拭したいと思ってイベントのテーマに決めました。

―具体的にはどのように「勝」というテーマを表現していった?

シンボルとなる鷹の祭典のロゴ自体にも「勝つぞー!」という文字をストレートにいれたところから始まり、鷹の祭典にまつわるあらゆるものを「勝」というコンセプトに巻き込んでいきました。
勝利への想いがどうやったら浸透するかを考えた結果、今年のユニフォーム発表は大牟田北高校書道部の皆さまに協力いただいて、とにかく「勝」というワードが目立つように、ユニフォームカラーと合わせて今年の鷹の祭典に懸ける気持ちを同時に打ち出していきました。

4月に行われた鷹の祭典ユニフォーム発表会見の様子。高校生の迫力ある書道パフォーマンスで、勝利への想いを吹き込んだ。

―特に苦労したところは?

「再生と幸運のエメラルドユニフォームで勝って、チームもファンもハッピーになる」というストーリーは最初にできあがったのですが、鷹の祭典に限らずどの試合も勝利を目指すというのは選手にとっても私たちやファンにとっても当たり前のことなので、いかに「勝つ」という意志を自然に浸透できるようにするか、当たり前のことをいかにコミュニケーションしていくか、という点を考えるのは苦労しました。

縁起の良いユニフォームになってくれるよう必勝祈願も敢行

―ユニフォームのお披露目会では高校生のパフォーマンスもあったり、小倉城のライトアップも4年ぶりに行われたり、福岡の街や人を巻き込んでのプロモーション展開が目立った

コロナで球場から足が遠のいたファンの方は県内にたくさんいらっしゃると思っていて、そういった方に改めてホークスの魅力、鷹の祭典のお祭りムードを感じてほしいと考えていました。球団や選手からの発信だけではなく、地元の学生の方に出演いただいたり、小倉城や西鉄電車とコラボすることで、街を巻き込むということは常に意識していましたね。
大牟田北高校書道部は全国規模でも活躍されている強豪チームということで、同じく勝ちを目指している高校生たちの熱い熱量とパフォーマンスをしてもらって、鷹の祭典に勢いを付けられる素晴らしい発表会にできたなと思っています。

北九州での試合に合わせて小倉城をエメラルドにライトアップ。車体が同系色だった西鉄電車とのコラボも仕掛け、福岡の街中からお祭りムードの醸成を図った。

―エメラルドに染まった福岡の街を見て、感じたことは?

鷹の祭典だからこそのお祭り感を出せるのは嬉しいですね。
よく見ると福岡には大丸の色だったり、西鉄電車の色だったり実は街の象徴的な部分がエメラルドのカラーにあふれていて、たくさんコラボをさせていただきました。そういう縁もあってエメラルドって福岡の街にすごく馴染む色だったのかなと思います。
最寄り駅の唐人町駅からドームに向かう歩道に装飾をした「エメラルドロード」も作ったので、応援する気持ちを高めながらドームに足を運んでくれたら嬉しいです。

大丸のロゴはほぼエメラルド⁉高さ約21メートルの栗原選手巨大懸垂幕の設置が実現

今宮選手との再会。プロ野球の世界で共に働く

―ホークスに入社した経緯は?

大学卒業後にソフトバンク本社で営業として働いていた時にグループ内公募にエントリーして、念願かなって入社に至りました。もともと自分も野球をしていたので、プロ野球のエンターテインメントの仕事をしたいという気持ちが強く、ホークスで働くためにソフトバンクに入ったという感じですね。

―元々、自身も野球をやっていた?

はい、愛媛県出身で夏の甲子園にも出たことがあって、実は今宮選手とは対戦しているんです。2回戦で今宮選手の大分明豊高校に4対0で負けて、僕の高校野球人生は終わりました(笑)
甲子園で今宮選手はショートを守っていたのですが、練習試合ではピッチャーをやっていた時にヒットを打ったことがあって、それが今の自慢話になっています。

―対戦で記憶に残っていることは?

今宮選手は当時投げても打っても守っても、スーパースターでした。身長は私とあまり変わらないんですけど、オーラですごい大きく見えて「ああ、こういう人がプロに行くんだな」と思っていました。

―今宮選手とは入社後に仕事で関わることもあった?

プロモーション写真の撮影をする際に再会しました。ホークスに来て初めて会ったときは「あれ?なんでいるの?」と今宮選手も覚えていてくれていたのは嬉しかったですね。ただ今回の鷹の祭典ユニフォームについては最初「かっこいい」と言ってくれていたんですが、自分がデザインを担当したと伝えたら「じゃあ、まだまだだな」と本人から撤回されてしまいました(笑)

―甲子園を経て、今こうして一緒に仕事をできるのはすごいこと

自分が開発したユニフォームを今宮選手が着て「こういうポーズしてください」とか撮影の指示をしているのは、不思議な感覚になりますね。同世代がプロの厳しい世界で今も中心選手として活躍しているのは刺激になりますし、人生のターニングポイントとなる甲子園で戦った相手と今同じ場所で仕事をして、同じ目標に向かっているのはすごいなと、嬉しく思います。

プロモーション写真撮影の様子。選手と球団職員として再会を果たした

―球団職員になろうと思ったのはいつの時点から?

関東の大学に進学して、1年生の時くらいですかね。私は愛媛県出身でそれまでプロ野球を生で見たことがほとんどなかったんですけど、観戦に行く機会が多くなるうちにプロ野球の世界を知って「面白そうだな」と意識しはじめました。本当は教員になろうと思って、教育学部に通っていたんですけどね(笑)。

―プロ野球の試合を観戦したことが目指すきっかけになっている

2013年に東京ドームの鷹の祭典に行ったこともよく覚えています。この時はじめて鷹の祭典に行ったのですが、球場一面が紫に染まるのを見て「なんだこれは…」と驚愕をしたのを覚えていますね。その当時は球場一周すべてが一色に染まるという光景はなかなかなかったので、初めて見た鷹の祭典の紫のユニフォームとスタンドの様子はすごく印象的に残っています。今自分がこうしてそのユニフォームを作る立場になっているのが、不思議な気分です。

ファンとして楽しんでいた鷹の祭典を、今は自分で作り上げる立場に

―念願かなってホークスで働いて感じたことは?

想像はしていましたけど、やっぱり華やかな世界の裏にはチームスタッフの努力だったり、大変な仕事をしている姿がありますよね。入社前からホークスは次々と新しい試みをしているところが魅力で入社しましたが、内部では常にチャレンジを求められる想像以上にタフな仕事です。それでも、ファンの皆さんに喜んで欲しい、チームが勝って欲しいという想いでイベントを企画しているメンバーと一緒に働いて、目標を達成した時に充実感を得られるのは入社前に思い描いた通り、いやそれ以上かなと思います。

野球と同じく仕事でも、目指すは1番バッター

―野球を仕事にすることに対して思うことは?

7歳からずっと野球に携わってきて、かれこれ20数年野球に携わっているので僕の生活や人生の一部になっているなと感じています。
野球も仕事も同じようにチームワークが大事で、一人では何もできません。いろんな人の想いや役割があって仕事が成り立っています。今の仕事でも、やるからには勝って、みんなで嬉しい気持ちを分かち合いたいというところまで考えられる点が、ホークスで仕事をする魅力かなと思います。

―自分の強みはどんなところ?

少なからず勝負の世界を経験してきたので、諦めが悪いところ。最後までやってダメなら仕方ないですが、できる術を考えて粘り強く実現に向けて動いてみるところが自分の長所でしょうか。
あと、野球ではずっと1番バッターだったので、自分から切り込んでいく姿勢。まずは自分の意思を持って打席に立つというのが、野球と同じように今の仕事のプレースタイルなんじゃないかなと思っています。

―野球の経験も今の仕事につながっている

1番バッターって、プレーボールと同時にまず最初に打席に入って対戦するポジションなので緊張しますし、チームに勢いを与えなければいけない立場なんです。恐れない気持ちに慣れているから、社会人になってもまずは当たって砕けて、良い方法を考えようと自然に思えるのは野球で染みついた精神なのかもしれません。
野球は3割打ったらいいバッターですよね。仕事でも全部が打てる訳ではないので、まずは飛び込んでいって1つでも2つでも成果が出ればいいなと信じてやっています。

―日々の仕事を頑張れる原動力は?

野球が大好きだからですかね。単純にそれには代えがたいと思います。自分が人生を通して突き詰めてきたものを仕事に生かして、さらにいろんな方に喜んでもらいたいという気持ちが、エネルギーになっているのかなと思います。

―働いている中で感情が動く瞬間は?

誰かの一生懸命な姿を見た時です。選手はもちろん、先日の鷹の祭典ユニフォーム発表で高校生が見せてくれたパフォーマンスもそうですし、お客さんの声援による球場の一体感や、高い志で働いている社員さんの姿とか。この仕事をしていると何かに一生懸命に力を注ぐ光景を見る機会が多いので、そこで感動したりやりがいを感じられているのかなと思います。

―今後、成し遂げたいことは?

この7月にプロモーション担当からイベントを企画する部署に異動になり、新たなチャレンジが始まりました。自分もそうだったように、一人でも多くの方に野球の楽しさだったり、球場に来てよかったと思ってもらうために、ファンに喜んでもらえるイベントを増やしていくのが今の目標です。

―ホークスって一言で表すとどんな会社?

アグレッシブな会社ですね。保守的ではないのが、ソフトバンクらしさ。無茶苦茶なスピード感で他にはないものをやろうとする姿勢があって、愚直で泥臭い一面もあります。苦しいけど楽しい、というような日々を過ごしていますね(笑)

―最後に今年の鷹の祭典を楽しみにしてくれているファンの方へ一言お願いします

「勝」というテーマを言っているからには、昨年の勝ち星を超えることはもちろん、勝ち越せるように、ファンの皆さんと一体になってこの夏を盛り上げていけたらと思います。勝ちましょう!

(取材・文:マーケティング・コミュニケーション部 中澤佑輔)


★勝利への願いを込めて作り上げた「鷹の祭典2023」情報はこちら




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