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キャリアも装いも、自分らしく楽しめる世界を目指して #私を語る一着

人生の転機には、いつも寄り添ってくれたアイテムがあるはず──。
パーソナルスタイリングサービス「SOÉJU personal」では、ただかわいいもの、トレンドのものを着こなすだけではなく、その人の生き方に寄り添う装いを提案したいと考えています。

その人らしい装いはどのようにして生まれるのか。自分らしい生き方を確立している女性たちの半生を紐解きながら、思い出の一着を語るインタビューシリーズをはじめます。

第一回は、SOÉJU代表の市原明日香。

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ダークスーツを着れば「正解」だったコンサルティング企業から華やかなラグジュアリーブランドへ転職した際のギャップや、一度キャリアを断念してからSOÉJUを立ち上げるに至った経緯など、キャリアとファッションに悩み続けてきた半生を語ります。

「違うこと」への肯定感と、 ドレスコードに戸惑う社会人生活の始まり

幼い頃からみんなと同じことに興味が持てず、あえて人気のあるものとは逆を選択する、「逆張り」を好む性格でした。小学校では大好きだったバスケットボールも入部希望者が多かったためにあえて別の部活に入ったり、人とは違う洋服を着たり。両親が比較的自由に洋服を選ばせてくれたので、学校にもボディコンのようなぴったりしたタイトスカートを好んではいていったりしました。

ところが、そんな自由さが周りの気に障ったのか小学高学年でいじめに遭いまして。でも卒業したらいじめっ子達とはお別れできると思い、卒業式までの残り数ヶ月間は、「人と違っても構わない」と開き直りの境地で過ごしました。そして、卒業式の晴れ舞台では「ブラウンのセットアップ」を着ました。普通は卒業式では皆が揃ってネイビーを着るものなので、かなり目立っていたと思います。でも、自分が着たいものを堂々と着て出席したことで、清々しく卒業の日を迎えられたことを今でも覚えています。

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ファーストキャリアは経営コンサルティング会社のアクセンチュアを選びました。ドレスコードはもちろん、ネイビーやグレーのダークスーツです。仕事が忙しかったこともあり、ファッショントレンドについていく余裕もなく、休日のBBQにビジネスカジュアルな服装をして行って、場違いな思いをしたこともありました。このときの「何が正解かわからない」ことへの戸惑いは、パーソナルスタイリングサービスを立ち上げようと思った原体験でもあります。

その後、事業会社への興味が高まったこともあり、友人の誘いでルイ・ヴィトンへ転職しました。新しい職場ではコンサルタント時代の仕事着であったダークスーツがむしろ場違いになると指摘され、ダークスーツであれば間違いがないであろうという思い込みを覆されました。男性はどんな職場でもスーツで通せますが、女性は職場が変わるとクローゼットの中身もガラッと変わってしまう。同じような経験をしてきた女性も多いのではないかと思います。

ルイ・ヴィトンで勤め始めたからにはヴィトンのバッグを持たなければと思い、初めて買ったのが「タイガ」シリーズでした。王道のモノグラムではなく、しかもメンズラインのアイテムを選んだことで周囲からは驚かれましたが、「みんなと違うものが欲しい」と思う性格がここでも発揮されていたように思います。

人と同じことをしたくない。うまくドレスコードに対応できなかったことも、この価値観が私の前提にあったためかもしれません。

「かっこいい女性」を目指して、 「ジェンダーニュートラル」な服作りへ

「タイガ」に限らず、これまで私が選んできた物は、メンズラインやジェンダーニュートラルなアイテムが多く、女性性の強いものは無意識に避けてきたように思います。おそらくそのきっかけは、小学高学年でいじめに遭った理由がとある女子生徒の嫉妬にあった(と感じた)こと。私が隣の席の男子と仲良くなったことをきっかけに、彼女を筆頭にクラスの女子から無視されました。この経験が、「女性性を出さない方が自分はうまくいく」と学んだ原体験だったのかもしれません。

現在SOÉJUで出している洋服の中で、あまり女性性を意識させないデザインも少なくないのは、こうした私の価値観による影響も大きいと思います。

その中でも私自身がとりわけ重宝しているのが、SOÉJUのコートワンピースです。イベントの席でも何度袖を通したかわからないほど愛用しています。

このコートワンピースを着ていると、スタートアップ界隈の男性たちにも褒めていただくことがよくあります。「それ男が着てもカッコ良さそう!メンズも作ってくださいよ!」と言っていただいたことも。単に「お洒落ですね」と褒められるだけではなく、「自分も着たい」と思ってもらえるのは嬉しいですね。

SOÉJUでも男女兼用で使えるジェンダーニュートラルなニットの展開がありますが、将来的にはもっとジェンダーニュートラルな服作りにも力を入れていきたいと思っています。

パーソナルスタイリングサービス誕生のきっかけ

SOÉJUはもともと、パーソナルスタイリングサービスからはじまったブランドです。そのきっかけは長男の闘病によってキャリアを中断されたことでした。

病気が発覚したのはルイ・ヴィトンを退職し、友人が経営するライフサイエンス系のベンチャー企業で比較的自由に働かせてもらっていた時期。医療業界は旧態依然とした男性中心社会だったため、外資系でキャリアを積み上げてきた私にとってはストレスも大きかったものの、辞めてしまったら自分のキャリアが終わってしまうと思いつめ、正社員であることにしがみつくようにして働いていました。

しかし長男の看病をしながら、幼い次男の育児と仕事を続けるということは現実的ではなく、退職して長男が入院する病院に通う日々を過ごしました。幸いにも長男が快復した後は、ルイ・ヴィトン時代の先輩から声をかけていただいて、フリーランスの仕事をいただく機会が増えてきました。

ところが、その時に直面したのがまたもや洋服の悩みでした。病院通いに専念していた私のクローゼットは、洗えることが最優先のTシャツやジーンズといったカジュアルなアイテムばかり。仕事のミーティングに着ていける洋服がなく、クローゼットを総とっかえの必要に迫られたのです。

またフリーランスで働くと言っても、育児と仕事の両立はそう簡単ではありません。そこで子育て中のママ達が働きやすい「うつわ」としての会社を作ろうと決意。実は自分や周りのママ達が働きやすい環境を作りたいという思いが先にあり、そのための事業としてスタイリングサービスを立ち上げたのです。

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実際、今ではSOÉJUのスタッフとスタイリストの半分以上が子育て中のママ達です。働き方も個々人の事情を優先させられるようにしており、海外から完全リモートで参加しているメンバーもいます。

こうして先に会社を作ろうとは決めたものの、会社を続けていくための事業内容を考えなければなりません。そこで考えついたのが、私自身もライフステージの変化と共にずっと悩まされ続けてきた、ファッションの分野でした。

当時、ファッションビジネスのリサーチも兼ねてパーソナルスタイリングをいくつか体験したのですが、その際にスタイリストさんからマキシ丈のチェスターコートを勧められたことがありました。その後、自分で探し歩いて出会ったのがCINOHのマキシ丈のコートです。

このコートは、止むを得ない事情でキャリアトラックを降りてから、初めて自分への投資として購入したデザイナーズものでもあり、思い入れのある一着です。とりわけ、デザイナーの茅野さんの描く女性像が好きで。大柄なことがコンプレックスになりがちな私を肯定してくれる服でもあります。きっと自分一人では手に取らなかったであろうマキシ丈のコートが大のお気に入りになったことで、ファッションを楽しむにはやはりプロのアドバイスが必要だと感じ、パーソナルスタイリングサービスを立ち上げる決心につながりました。

オリジナルD2Cブランド「SOÉJU」の洋服を展開

とはいえ予算が限られている中で、クローゼットの中身をすべてラグジュアリーブランドやデザイナーズブランドで満たすことはできません。また私自身がキャリアによって装いを変える必要性に悩まされてきたため、長く使える上質なベーシックアイテムを、手頃な価格で買いたいというニーズを身をもって感じてきました。

そこでスタイリングの土台となるベーシックブランドを目指して、オリジナルブランドSOÉJUも立ち上げました。自社製の洋服はオンラインで、忙しい女性でもお手軽にご購入いただけるようになっています。また代官山のサロンで実際にご試着いただき、SOÉJUのスタイリストがお見立てすることも可能です。

SOÉJUの洋服は、例えるなら着物のようなものだと思っています。アイテムがベーシックだからこそ、帯や小物でがらっと印象が変わる着物のように、スタイリングによって印象を変えることができますし、体形を選びません。フォーマルにもカジュアルにも使えるからこそ、ライフステージによってクローゼットの中身が入れ替わりやすい女性にとって長くご愛用していただけるはずです。

「人と違うこと」、「私らしくあること」を追い求め、試行錯誤してきた私だからこそ、同じようにステレオタイプのプレッシャーや、自分らしさの表現に悩む女性たちに、その解決の糸口となるようなサービスとプロダクトをご提供していきたいと思っています。

【着用アイテム】blouse, long knit jacket, wide pants: SOÉJU


今回のスタイリングはSOÉJUのスタイリストが担当しました。使用アイテムやスタイリングテーマはこちらからご覧ください。

あなたの「#私を語る一着」もぜひ教えてください。ハッシュタグをつけてnoteやSNSに投稿いただいた作品はSOÉJUのnoteやSNSでもご紹介させていただくことがあります。

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SOÉJU 公式アカウント:https://www.instagram.com/soeju_official/
シーズン毎にブランドとしてご提案したいスタイルをコンセプチュアルにご紹介しています。
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Direction:最所あさみ
Writer:橘田純代
Photographer:Kodai Ikemitsu
Stylist: KAZU
Hair&Make: momo