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窓の外 No.8

裁判

第1回目の裁判は初めに「冒頭陳述」というものがあります。
これは起訴内容を認める、否認するなど今後の裁判を進めるにあたって必要なものです。

私の場合は「おおよその事実を認めた上、記憶が無い事を全面的に出していこう」
という弁護士の意見に従って進めていきました。

裁判官「あなたは今回起訴された内容を認めますか?」

私「やってしまった事に間違いはないと思いますが、記憶が曖昧なので覚えていないことは覚えていません。」

それから検事と弁護士の「闘い」が始まります。

私は緊張のせいで詳しいことはあまり覚えていませんが、
検事は「万引きにしては高額かつ反省が見られない卑劣な反抗。」

弁護士は「ストレスによる薬物の過剰摂取による行動であって心神喪失状態であった。」
といった内容だったと思います。

2回目の裁判の時に私を「鑑定」した鑑定医が検事側の証人として出廷しましたが、専門用語を並べたて、裁判官を混乱させるという「珍事」が起きました。
もちろん検事と鑑定医は打ち合わせ済みなので質問はどんどん進んでいき、いよいよ私の弁護人が質問をする番になりました。

弁護士「彼はどういった精神状態で犯行に及んだと考えますか?」

鑑定医「彼は恐らく解離性とんそうを起こしていて犯行を覚えていないんだと思います。」

弁護士「要するに彼に責任は無いということですか?」

鑑定医「解離性とんそうは解離性同一性障害とは違って責任は皆無とは言えません。」

裁判官「???」

正直、鑑定を受けた私ですら話の内容を理解できませんでした。

そして4回に渡った裁判の判決。

裁判官「被告人の精神こう弱状態を認め、懲役6ヶ月に処する。そして未決勾留日数中120日をその刑に算入する。」

未決勾留日数とは、言い渡された刑から引かれるというもので、私の場合は120日、約4ヶ月分の日数を刑から引かれるというものでした。

裁判官「今回犯してしまった犯罪をしっかり反省して社会に戻ってきてくださいね。」

私の場合は前回の詐欺未遂で貰った、いわゆる「弁当(執行猶予)」が取り消しになり、その時に言い渡された刑、懲役2年6ヶ月の未決勾留180日が合算で今回の刑に上乗せされました。

合計2年2ヶ月。

私は懲役刑を受けました。

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