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なぜ、若者たちは夜に彷徨うのか

家でなければどこでもいい

10代、20代の若者や子どもたちが夜に居場所を求めて彷徨っています。ときには繁華街に居場所を求めて、遠く地方から都市部に出てくる若者もいます。SNSでつながった「友だち」が待っているのも、足を運ぶハードルを下げているのでしょう。そこには同じような境遇、環境を共有できる同世代がいたり、深くお互いのことを話さなくとも、時間をともにできることも安心感につながっているのかもしれません。

育て上げネットでは、昨年5月から夜の時間帯を若者や子どもたちに開放する「夜のユースセンター」を実施しています。今年の3月までの年度内で約1,000名の利用があり、今年度はもう少し利用者数が増える見込みです。


利用する若者や子どもたちの背景は多様で、一概に「こういう若者たちが来ています」とは言えません。しかし、全体的な傾向として10代が多く、女性の比率がやや高いです。そのなかで出会った女性は、夜の繁華街にも足を運んでいると言いました。一時的には、繁華街と夜のユースセンターを、そのときの気分で使い分けていたようです。女性が夜に居場所を求める理由は簡潔でした。

「家にいなくていいならどこでもいい」

夜間帯に限らず、さまざまな居場所の必要性が叫ばれるなか、どのような機能を持つ居場所が若者や子どもたちに受け入れられるのか議論がされていますが、ある女性にとっては、居場所の条件が「自宅でなければ何でもいい」というものです。つまり、その居場所がどんな場所で、どのようなリスクがあるかは一義的には無関係ということでした。

しかしながら、あるときを境に繁華街には出なくなりました。理由は、夜のユースセンターの方が「マシ」だからということのようです。それは条件比較のようなものかもしれません。外よりは室内。お金を払って食事をするか、誰からシェアされるよりも、自分の食事が無料で食べられること。または、そこにいる大人や仲間たちとのコミュニケーションの質かもしれません。家から出られればどこでもよく、その次にどういう場所が利用しやすいのかという段階がありました。


夜ユースで配布しているお弁当の一例

結果としては、その女性は本来的にご自身が思い描いていたキャリアを歩まれています。居場所があり、出会いがあり、その関係性から(支援プログラムの利用を通じて)自分自身の道を歩まれています。

食糧を持ち帰る理由

夜のユースセンターでは、eスポーツや音楽、ボードゲームなど、それぞれの利用者が好きなことを、ひとりで、または複数でやっています。スタッフはもちろんですが、見学視察に来た大人も混じります。何か「これをやる」というプログラムはなく、ときどき、季節に合わせた社会的なイベントを絡めるくらいです。開放しているスペースではなく、階段に座って話し込んだり、ソファに寄りかかって世間話をしている姿も見ます。

好きな時間(21:00まで)に帰宅をしますが、その際にはそれぞれ必要な分の食糧などを持ち帰っています。それは生きていくためのものであったり、限られた手持ちのお金を別のことに使えるようにするための「溜め」のようなものであるかもしれません。一方、なかには家族やきょうだいの分として、少し多めにバッグに詰めていることもあります。

自分自身が苦しい環境にあるだけではなく、家族もまた苦労している場合には、利用する若者たち自身が家族やきょうだいをケアする側に回っている様子も多くみられます。

みなさんの応援が必要です

11月29日時点

居場所の運営、継続の資金が不足しています。利用料金をいただかないモデルだからこそ、家にいたくない、家にいられない若者や子どもたちが来てくれます。安全であることがわかれば、友だちを誘ってくれます。利用者が増えれば、それだけ準備するものやスタッフの数が必要になり、信頼関係ができれば個々の悩み事に寄り添い、課題があれば解決のため一緒に考え、伴走を十分にできる体制が必要になります。

今回、育て上げネットでは、立川市とコミュニケーションを重ね、夜のユースセンターを現在の規模で継続するための年間運営費300万円を、ふるさと納税を利用した寄付で募れるようになりました。今年のふるさと納税は、2023年12月31日までの申し込み分までとなっています。

もし、目標金額を超えた寄付が集まるようでしたら、現状の環境を充実させるとともに、若者や子どもたちの声をカタチにできるよう、いまできていない「もっとこれがほしい」という希望をかなえられるように使わせていただきたいです。

公共としてやるべき声があることも承知しています。行政からの視察もあり、実際にやっていただけるような話もしていますが、やはり「モデル」や「エビデンス」がなければすぐに公的機関が動けるわけではないため、民間としてやれることを精一杯やりながら、行政ともコミュニケーションを重ねていきます。

夜、家に居場所がない、自宅にいることができない若者や子どもたちが安心できる居場所づくりに力を貸してください。これからの未来を一緒に作るための伴走支援には、出会いと信頼関係を積み上げられる夜のユースセンターがそのきっかけになります。

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何卒、よろしくお願い申し上げます。

育て上げネット 理事長
工藤 啓


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