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ジャケット画の制作方法『after the rain』(オリジナル曲)

こんにちは。 シンガーソングライターのソーダ・ヒロです。

今回はcofumiさんとのコラボ楽曲である『after the rain』のジャケット画の制作方法について、このデザインになった経緯やこのデザインを構成する素材の紹介、またこのデザインに行き着くまでに経由した試作などもご紹介させていただければ
と思います。

今回の記事はかなり長尺になります。。
お時間よろしければ覗いてみてやって下さい。


①着想・アイデア

まず、今回の楽曲のジャケット画を制作するに当たってcofumiさんに書いていただいた歌詞の世界観から浮かぶシーンを「キーワード」として書き出してみることにしました。
歌詞の内容は以下の通りです。

「after the rain」歌詞
作詞:cofumi 作曲:ソーダ・ヒロ

雨が止んで恋も終わって 
心変わりなら僕のせいさ
風が創り出すバラッド切なくて
飛び方 oh- 忘れた鳥さ uum
自由な空見上げてるだけ
伽藍堂な時間が過ぎて uum
思い出にもたれてる
after the rain そう 君が去って
after the rain もう 空っぽの僕

あの日ふいに涙こぼしたね
君を引き止める術さえなく
風に飛ばされた思いは散ってゆく
夜空が ah- 寂しすぎるよ uum
遅すぎた気づきはアザになり
青く霞む思い出抱いて uum
虚しさにくるまれて
after the rain そう 君が去って
after the rain もう 空っぽの僕

浮かんでくるキーワードとして
・別れ
・雨もしくは雨雲
・空(空の変化が心情の表現として)
・鳥(自分との比較としての象徴)

そうした要素を一枚の画の中でどう表現するか、
この時点で頭の中の設計図はぐちゃぐちゃ、というか真っ白でした。


②描く

色々頭の中を巡らせながらそのカタチを模索していた中で、なんとなく青色の人の頭(上半身)が真ん中に鎮座する画が浮かびました。

※青い人の姿のイメージ画像

が、その画で先ほど挙げた歌詞のキーワードや楽曲を表現するには不十分と感じたので、浮かんだきり保留としてまた考え始めました。
しかし、考えても考えても具体的な形が出てこなかったので、先ほど挙げたキーワードを描いてみることにしました。

男性
女性
鳥(ツバメ)


手(別れの象徴)
口許(別れの象徴)

これらの絵は普通に紙に鉛筆で描き、いつもは絵に色はつけませんが、色々モチーフを探している中で、デッサン画に水色を用いている画像を見つけて参考にしてみました。
(そのデッサン画は顔の構造(頭蓋骨)を水色で、その上の皮膚や髪などパーツを黒で描いていましたが、僕は影として水色を使ってみました。)


③組み合わせる

先程の絵にそれ以外のイメージ画像として「傘」「雨雲」の写真を撮り、

傘と雨雲の写真

それらをパソコン上で組み合わせていくことにしました。

色々な組み合わせを試す中で、最初は下のような形になりました。

試作デザイン画像

なんらかのモチーフに見えなくもないデザインですが、自分としては、このデザインになんの意図もないことに「なんて無意味な絵だろう」即座に却下し、
「とにかく徹底的に自分の意図が込められたデザインにする!」と心に固く誓って再考し始めました。


④再考

再度デザインを考えている中で、当初ぼんやりとイメージに合った『青い人の姿』がまた蘇ってきました。

当初頭に浮かんだ『青い人の姿』のイメージ画像

どこかで何か引っかかるものがあった、というか“第一印象”が持つ“無意識な正直さ”にデザインのヒントがある、と感じ、そこからイメージを膨らませていくことにしました。

そうした中で、“この『青い人』は『主人公』の男性であり、この人の中で歌詞の内容のドラマが走馬灯のように映像として流れている”、という構図が浮かびました。
つまり、『この“人型”の中に先程描いたイメージ絵たちを収めていく』という形が見えてきました。


⑤色を落とす・散らす

イメージが固まってきて“人型”を作るに当たって、絵の素材が足りない、と感じました。
一番感じたのは“感情表現”の部分で、淡々とイメージ絵を重ねていくだけでは埋まり切らない隙間の部分には、人の形を構成する上で“感情”の表現が必要不可欠だと思いました。

そのため、これはよくやる手法ですが、
絵の具を紙に落としたり散らしたりする作業を行うことにしました。

(以前にオリジナル曲『水彩画の街』のジャケット画の制作方法の記事でも紹介させていただいた方法です。↓↓↓)

『水彩画の街』のジャケット画像作成時の様子

上の画像のように紙に溶いた絵の具を落としたり散らしたりすることで人工では作れない線や形ができるので、“感情”を表現する上でそうした無垢なものがとても合っているな、と感じ、今回この手法をまた行いました。

絵の具を落としたり散らしたりしてできた形


⑥再度組み合わせる

絵の具を落としたり散らしたりした色の形から使いたい部分を切り取り、

パーツを切り取る①
パーツを切り取る②

イメージ絵として描いた絵と共に一つの画面の中でそれらを組み合わせて行きました。

組み合わせ作業①
組み合わせ作業②
組み合わせ作業③

輪郭をはっきりとは決めず、顔の構造的な配置やサイズ感も無視して、
ただひたすらに全ての絵や色が“成立した状態”を探して組み合わせ続けました。
その結果、上のような配置で自分としてはしっくり来たので、この形を一つの完成形としました。


⑦サイズ感の考慮

ただ、次の問題点として“YouTubeの画郭”がありました。

CDジャケットのように正方形の画郭であれば先程の顔のデザイン一つで成立すると思うのですが、
YouTubeは長方形。顔のデザインのサイズを拡張しようにも上下の目一杯に拡げたところで左右に拡げることができず、デザインの詳細を見せることはとても困難です。

左;CDジャケットの画格 右;YouTubeの画格

そのためYouTubeの画郭に合わせてイメージを追加することにしました。
また、それと同時に“題字”を考えて行きました。

⑧題字

あくまでこの顔のデザインを主役にしたかったので、いくら余白を
埋めるからと言えどその顔のデザインの印象を薄くしてしまうような形はどうしても避けたかったです。

そうした中で題字のインパクトをどれくらい持たせるか、そこが問題でした。

当初は手書きの文字で題字を考えていましたが、なんだかデザインに馴染んでしまい、見た目にも邪魔だな、という印象でした。

手書き題字パターン

なので既存のフォントを使って考えて行きました。
ゴシック体だと文字のインパクトが強すぎる、と感じたので、明朝体で作ってみました。

左;題字が黒塗りパターン 右;題字が白抜きパターン

明朝体でも文字が黒塗りであれば文字に目が行き、
文字が白抜きであれば顔のデザインに目が行く。

「顔のデザインを主役にしたい」という当初の意図を大事にするのであれば、右の文字を白抜きにしたパターンですが、
あまりに文字の存在感が薄く、題字としての役割を果たせていない、と感じました。

ただ、そこから派生して、
「白抜きにするくらいなら、もう“線”でいいんじゃないか?」
という発想に至り、結果、下の画像のような“線の題字”になりました。

線の題字パターン


⑨イメージの追加

正直顔のデザインと題字だけでも良いかな、とも思いましたが、
やはり画郭を考えた時に顔のデザインの存在感が薄くなってしまうので、この余白の左右を歌詞の物語に関わるイメージを追加して行くことにしました。

そうした中で出て来たのが「雨雲」「雨の波紋」です。

左側に雨雲のイメージを追加したパターン
右側に雨の波紋のイメージを追加したパターン

「雨雲」「雨の波紋」どちらも歌詞の世界観を再現するには必要なイメージかと思いましたので、このイメージで作り進めて行くことにしました。

雨の波紋をこうした配置にしたのも、今回のコラボのお相手である「cofumiさん」と僕(ソーダ・ヒロ)の名前を見せる“枠”としてのデザインも持たせられたら、と思い、このサイズ感にしました。

雨の波紋の中にコラボ名を入れたパターン

ちなみに、「cofumi×ソーダ・ヒロ」の文字のデザインですが、

文字をくり抜いた“型”を作り、色の上に乗せ、

文字をくり抜いた型
左図の色の上に文字の型を乗せる

色の上に乗せた型をスクリーンショットで切り取り、その画像のプレビューにて、
今度は文字以外の黒い型を消せば(「マークアップ」→「インスタントアルファ」で範囲指定→消す)、

左;「マークアップ」ボタン 右;「インスタントアルファ」ボタン
インスタントアルファで範囲指定して黒い型の部分を消している様子
黒の型を消した状態

絵の具の色合いを持った文字が出来ます。
というか、そうした文字を作りたくて試行錯誤していたらそういう
方法に行き着きました。


⑩完成

上記のような作業を繰り返し、配置や色味の微調整を行って、ついに完成しました。

完成ジャケット画

結局YouTubeの画郭に関しては左右に黒い枠を設けてデザインを中心に持ってくることにしました。

全くの“0(ゼロ)”の状態から作品を作ることは本当に悩みの連続ですが、それ故に歌詞の世界の中に真に向き合え、またそれを通して自分の内面と向き合うことができ、苦しみが開けた際にたくさんの収穫に出会える、といつも感じます。

制作している中で副産物的に見つけられた方法や、これがダメならこういうやり方もある、といった新たな選択肢は、悩むことでしか見つけられない(見つけようと
しない)と思うので、

妥協することを諦めて、作品と向き合わせていただけたのは、ご一緒
させていただいたcofumiさんの存在が大きかったと感じます。時間のかかる僕の作業を温かく見守ってくださり励ましていただき本当にありがとうございました。


これからもアウトプットの方法を模索しながら作品作りに向き合って行きたいと思います。

長すぎる記事でしたが最後まで読んでいただき本当にありがとうございました。
今後ともよろしくお願いします。


ではまた!

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