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ナイーブの功罪

最近、日曜朝のJ-Waveに出演しているジェニーJENNI。YouTubeチャンネルがなかなか面白くて見ていたら、ふと、日米の文化の違いに「子供っぽさ」に対する受容度があるかと感じたよ。

アメリカの子供は大人になりたくて、大人は自己管理できないと恥ずかしいという風潮を感じたよ。

で、ナイーブを辞書で調べてみたら、日本語としてのナイーブと、英語のnaiveで、そこに含まれる話し手の意味付けがぜんぜん違う。形容する対象は同じ。同じものに対して意味づけが違うのが面白い。

naive
【形】
1. 〔経験不足であまりに〕世間知らずな、うぶな、ばか正直な、考えが甘い
・How can you be so naive? : よくそんなに単純でいられるなー。
・I thought I could do it on my own, but I was too naive. : 私は自力でそれをすることができると考えていましたが、(考えが)甘かったです。
・She is so naive that she believes everything people say. : 彼女は、人が言うことを全て信じるくらい世間知らずだ。
2. 〔子どものように〕純真な、天真らんまんな、あどけない
・In spite of her appearance, she has a naive side. : ああ見えても彼女は純真なところがある。
3. 繊細さがない、鋭さに欠ける、批判的な見方ができない
4. 〔美術の〕素朴派の、素朴な◆一見すると子どもが描いたかのように見える、単純化した技法を使った絵画。アンリ・ルソー(Henri Rousseau)などに代表される絵画を指す。
5. 〔動物が〕実験に使われていない
6. 〔人が〕投薬を受けていない、~の薬を摂取していない
【名】
うぶな人、だまされやすい人

出典:英辞郎 Pro Lite

ナイーブ
精選版 日本国語大辞典「ナイーブ」の解説
〘形動〙 (naïve, naive)
① 人の性格、感じ方、考え方などが、生まれつきのままで素直なさま。純真。また、感じやすい性質であるさま。
※一兵卒の銃殺(1917)〈田山花袋〉七「ナイーブなセンチメンタルな青年」
② 事物に手のこんだ飾りや技巧がなく、単純なさま。素朴。
※文芸的な、余りに文芸的な(1927)〈芥川龍之介〉二八「吉江氏の小品集は〈略〉何か梨の花に近い、ナイイヴな美しさに富んだものである」
出典 精選版 日本国語大辞典

出典:精選版 日本国語大辞典@コトバンク

明らかにアメリカにおけるnaiveは、有るべき状態に達していない未熟さを意味していて非難めいた表現で使われる。一方、日本語でのナイーブは、手を加えられていない純粋さを意味していて価値があるような表現で使われる。

アメリカには「自己管理できるのが大人として当然で、それが社会人の当然の責任」という共通認識があり、日本では社会的な責任を脇において、「染まっていない」純粋さに注目しているようだ。

社会人としての責任。

「日本も欧米化して個人主義が広まってきた」という見解が示されることが有るが、その都度「いや日本は古来から個人主義、というか身内主義」と思っていた。この調査でその思いが強化されて。改めて養老孟司さんが言う”公の個”の不在を実感した。(動画の2’05”)

人のナイーブさを非難するつもりはないけど、ナイーブさに価値を与えて、社会人としての責任を棚に上げるための道具にするのは、利己的でいただけない。公の個としての責任感が社会の清々しさを作る。

社会に甘えず、大人になろう。

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