新規開拓をしたい営業にすすめる𝕏のつかい方
「ソーシャルセリング」という言葉をご存知でしょうか。
これは文字通り、ソーシャル(SNS)を活用したセールスのこと。より正確に言えば、「SNSを通じて見込み客と信頼関係を深め、自社商品の購入に繋げる営業手法」をあらわします。
僕が経営するマイノリティという会社は、企業の営業・マーケティング支援を専門としています。なかでも特に力を入れているのが、このソーシャルセリングです。私自身が顧客開拓をするときもソーシャルセリングは欠かせないですし、実際にクライアント企業にソーシャルセリングの手法を導入することも多いです。
ソーシャルセリングは米国ではすでに実践例の多い手法であり、LinkedInが実施した調査によれば、ソーシャルセリングの実践者は非実践者と比較して、販売機会は+45%・売上目標達成率は+51%・営業成績は+78%も高い成果を出していることがわかっています。
営業のひとつの手法としてソーシャルセリングを使わないのは機会損失と言ってもいいでしょう。
今回は近年、日本におけるBtoBマーケティングでも注目されているソーシャルセリングについて、その概要と実践的な施策などを書いていきます。
独立後、新規開拓に𝕏を使うことにした
ここで僕自身のケースを振り返ってみたいと思います。
僕は2年前に起業し、いまの会社を立ち上げました。おかげさまでたくさんの方からの紹介をいただいて出だしは順調でしたが、新規の顧客開拓はしっかりとやっておかなければと思っていました。
BtoBマーケティングや営業支援の業界で定番の施策は、まずコンテンツマーケティングです。お客さんに役立ててもらえるようなノウハウ記事を大量に制作し、検索結果から訪問してもらい、問い合わせにつなげるというものです。
これはどこの会社もやっている王道のマーケティング施策です。一定の成果を生むことはわかっていますが、競合が長年積み重ねてきたことを、後発でなぞっていくのはそんなにたのしい仕事ではないなと思いました。
もっとなにかおもしろい方法はないか。たのしみながら集客につなげられることはできないか…と考えたときに、思いついたのが「𝕏(Twitter)」でした。
𝕏は毎日自分も触れているアプリですし、友人・知人の投稿を見るのも好きでした。それにBtoBマーケティングの分野では𝕏に力を入れている企業も少なかったので、「これは意外と良さそうだぞ」と思いました。
僕はこれまでも書いてきたように、マイノリティな発想を是としています。人がやってることをそのままやりたくないし、誰もやっていないことを試したいのです。
𝕏に力を入れようと決心したのは2022年の1月くらいのことだったと思います。その時点で𝕏のフォロワー数は1,300ぐらいでした。そこまで増やしたのは恥ずかしながら、地道なフォローバックだったんです。
プロフィールにこれまでの経歴を書いて、いろんな方をフォローしていると、ある程度フォローを返してくれます。ただ、それだけでは限界がきます。やっぱりオーガニックでフォロワーを伸ばしていきたいものです。
そのために最初はいろんなことをやってみました。「フォロワーの増やし方を教えます」みたいな有料noteも買いました。いろいろなコンテンツを読んで勉強して、概念そのものはわかってきました。
ただ、「理論がわかる」と「それを実行できる」にはまだ距離があります。例えば、スポーツだって本をどんなに読んでも上手くならないですよね。SNSも同じです。試行錯誤しながら学んでいきました。途中で𝕏のコンサルを何人かつけて、客観的なアドバイスをもらったりもしました。
自分の届けたいターゲットに対して、自分ならではのコンテンツを投稿しないとフォロワーが伸びないことはわかっていたので、毎日、8時・12時・19時の1日3投稿、しっかりと文章を考えて投稿を続けました。そしたらフォロワー3,000ぐらいのときに、仕事関連の取り合わせが少しずつ入りはじめました。
外資系の大手企業から新規事業の相談をしたいですとか、スタートアップの会社からは営業のことで困ってるから相談したいといった話がありました。フォロワーがそんなに多くなくても来るものだな、という手応えを感じました。
その過程で、投稿から興味を持ってもらった人向けに読み物コンテンツも用意しました。𝕏はうまくいくと拡散はしやすいけれど、流れっぱなしではもったいない。そこでストックコンテンツとしてnoteの記事を10本ほど書き上げてマガジンにまとめました。
そこから1年くらいかけて今年の8月、ようやくフォロワー数が1万人を超えました。そのときに振り返って思ったのが、当たり前ですが、1万人にフォローされているからって、問い合わせが急に増えることはないということです。
毎日コンスタントに投稿をしていれば、3,000フォロワーくらいのときでも十分にインプレッションが出ますし、それによって新規の問い合わせはもらえるんですよね。
結果論ですが、大事なのはフォロワー数ではありません。
フォロワーが少なかったとしても、ちゃんとコンスタントに投稿し続けて、有益な情報を提供し、常にインプレッションが出ている状態にしている時の方が、インバウンドの問い合わせが来やすい。これは実感としてあります。
そして、その中でいくつか工夫できることを学びました。
簡単に真似できるTipsとしてご紹介します。
営業にすすめたい𝕏のつかい方
𝕏に何らかの投稿をしたら、必ず「追加のアクション」をしましょう。問い合わせを待ってるだけではもったいないです。
たとえば僕の場合、自分の投稿を「いいね」してくれたり、リポストしてくれたり、返信してくれたりした人に、こちらから返信を返したり、DMを送ったりすると、かなりの確率で商談につながるようになりました。
逆に、まったく何のつながりもない人に対して突然DMを送ってもほとんど効果はありません。スルーされるのが当たり前だと思います。
ちゃんと相互フォローの関係になっていて、そのお互いのことをちゃんと認識してる状態で、かつ相手がリアクションしてくれたタイミングでこちらから連絡したときに、ようやく仕事につながる可能性が出てくるんです。
でも、「この人に連絡したい」と思っても、そんな都合よく相互フォローにはなれないですし、自分の投稿に反応してくれない。
そんなときはどうすればいいでしょうか。
𝕏はとてもおもしろく、よくできたツールです。標準の機能をちゃんと使うと、もっと主体的に動くことができます。
たとえば僕が工夫したのは、自分が将来的にお客さんになってもらいたい人をベンチマークしておくことです。𝕏では特定の人が投稿したら通知が届くように設定できます。相手をフォローした状態でプロフィールのベルマークをクリックするだけです。
僕はこれで常に20〜30人ほど通知が来るようにしています。彼らが投稿するとすぐに通知がくるので、すかさずいいねや返信などのアクションをする。
やりすぎるとよくないですが、効果的に反応するとその人が僕のことフォローしてくれたりします。で、相互フォローの状態になった後、その人が僕の投稿に「いいね」してくれたタイミングで連絡します。
𝕏を見てくれている人と商談すると何がいいかって、自己紹介がいらないことです。
「柳澤さん、いつも投稿見てます」から話がはじまるのは、営業にとってはかなり大きなアドバンテージです。たとえば僕の実力が70だとすると、SNSを見ている人は僕の実力を100ぐらいに感じているものです。
自然とその後の話もすすめやすく、受注率も格段に上がります。自分のことをSNS上で認知してもらえると、実力が上振れした状態になるんです。𝕏上でのやり取りだとしても単純接触がある状態だと「場の空気」が温まっている。その効果は相当あります。
こうしたことを僕は完全に独学で取り組んできたんですが、いろいろな事例を調べていたら、これらは実は海外ではソーシャルセリングという営業手法として確立されていることを知りました。米国ではすでにLinkedInなどで実践している人がかなり多いようです。
国内ではまだソーシャルセリングを体系化して、導入している会社は少ないと思います。そこで弊社で「ソーシャルセリング.com」というサイトを立ち上げてみました。いろんな方の事例を載せていますのでよかったら参考にしてみてください。
このnoteに書いたことはソーシャルセリングという手法のはじめの一歩にすぎません。初歩的なアプローチですが、BtoBマーケティングにおいても有効だと思います。
マイノリティでは、企業や個人向けにソーシャルセリングの手法を導入・支援する業務も請け負っております。SNSのフォロワーが多くない状態でも十分に結果につながります。
新規の問い合わせを獲得する手段として、今後試してみてはいかがでしょうか。
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