見出し画像

デジタルよりアナログが効果的。スタートアップが知らないBtoBマーケティングの世界

このnoteではBtoBマーケティングの戦略の立て方から、個別の戦術や施策について順序をたてて解説してきました。

マガジンにまとめていますのでご覧ください。

前回の「BtoBの展示会で効率的にリードを獲得する方法」に続いて、今回もオフラインのリード獲得施策である「業界紙」の活用について書きます。

業界によっては「紙」の媒体が効果的

「業界紙」と聞くと、どんなものをイメージしますか。

業界に特化した新聞や雑誌などの専門媒体がまず挙げられると思います。これらは大きめの書店で流通していますが、会社単位・部署単位での定期購読という形で読まれるのが一般的です。

最近はこうした媒体もどんどん電子化していて、ウェブで読めるようになっているところも多いです。

しかし業界によっては、そもそもインターネットを使って情報収集をする人が少ないところもあります。

たとえば現場に良く出ている業界、建設業などのように職人さんが多い業界などは、デジタルマーケティングよりもオフラインのマーケティングが効果的。

そういった業界で、オフラインに特化した業界紙として知る人ぞ知る存在が、「アークカード」という媒体です。

いまだに強い「アークカード」とは

これは何かというと、はがきサイズのカードのような媒体。表面が広告でできている、いわゆる紙のDMというイメージです。

DMカードジャパンのWebサイトより

建設業に従事している人のところには、このアークカードが30部くらい束になって届くのが日常です。

届いたアークカードの裏面に自分の宛名と送付先を書いてポストに投函すると、1週間後くらいにその会社から資料が届きます。ですから、資料請求をするためのカタログのようなものですね。

ビジネスの流れはこうです。

広告主がDMカードジャパンに広告出稿すると、DMカードジャパンが自社の読者宛にカード広告の束を配布します。それを受け取った読者が興味のある広告に対して資料請求をしていく、というわけです。

すぐにでもネットに置き換えられそうなものですが、いまだに売れていて、よく利用されています。

なぜならちゃんと効果があるからです。

建設業界の皆さんはだいたい知っていると思いますし、受け取っている方も多いのです。

私も担当していた事業が建設業をターゲットとしているときは、このアークカードをよく使っていました。

例えば建設業者向けにDXを実現するバーティカルSaaSの場合は、アークカードや展示会が中心的な施策になると思います。デジタルマーケティングよりも、オフラインの施策のほうが効果が出やすい分野です。

1つの広告あたりのレスポンスが200件を超えることもあるので、これは効率の良い方法だと思っています。

ITスタートアップが知らない業界ごとのオフライン媒体

業界誌に掲載する広告の場合、効果測定が測りづらいという課題もあります。たとえば業界誌に広告を出しても発行部数はわかるけど、ブランディング効果があったのかと問われると、「良いのか、悪いのかわからなかった」となりがちです。

なので建設業においてはハッキリと効果測定ができるアークカードのような紙媒体のほうが活況という側面もあります。

こういった特殊事情が各業界にあるわけですから、BtoBマーケティングは実に奥が深いんです。

これが意外と知られていないんです。当然、スタートアップは知らないことが多くて、「差が出やすい」のはウェブの施策よりもこうした業界誌のようなオフライン施策です。

他にも有名どころだと、「ProductNavi」もあります。

ここはウェブメディアも持っていますが、A3の見開きで部品や装置を紹介したニュースレターを配布しています。こういう紙の媒体がいまでも製造業にはたくさん残っています。

株式会社インコムのWebサイトより。

あと、医療業界であれば、展示会よりもすごく小規模な勉強会のような学会に参加して営業に行っている会社もあります。

最後に

業界に特化したSaaSを提供する事業者は、オンラインの施策だけではなく、業界ごとの紙媒体も抑えることが大事です。

そこまでITリテラシーが高くない業界や、業務時間にネットをそんなに見ない建築・建設系の職種であれば、業界紙はかなり効果的でしょう。

飲食店や美容業界も同じです。仕事中にネットをほぼ見ない業種ですので、こういった紙媒体が元気だったりします。

もしかしたら、BtoBにおいてはデジタルマーケティングだけで完結するほうが特殊と言ってもいいかもしれません。業界ごとの特徴をつかんでおくと効果的な施策を選べますし、おもしろいノウハウを蓄積できると思います。


次回も引き続き「オフラインのリード獲得施策」をテーマにノウハウ記事を書く予定です。よかったらnoteをフォローしてお待ちください。

メルマガでもBtoB企業のグロースに役立つ情報を配信しています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?